5.親友
「どういうこと…?」
「待って整理できない。」
食堂で、男女2人が頭を抱えている。
それもそのはず、シュベルは土日での出来事を
そのまま伝えたからである。
女神戦争のことも全てだ。彼らを信頼してるからこその
行動だが…功を奏するか…
「正直、自分も分かってないんだけどね…
けど、彼女は、あなたしかいない。の一点張り…」
「いやいやいや、言っちゃ悪いけど、俺の兄とかルシアの
おばあちゃんとか…その、もっと他の強い人がいるだろ…?!」
「正論だわ、シュベルよりも絶対他の人を選んだ方がいい。」
「いや辛辣…だけどほんとそうなんだよな…」
本当に同感だ。なんで自分なんだよ…ってもちろん
なる。だが…正直言うと、ちょっとワクワクしてる。
自分がもしかしたら世界を救うかも、そうじゃなくても
旅に出れる。
けど流石に口には出せないね、頭おかしいやつになっちゃう。
「…一回説得してみるのはどうだ?」
「せ…説得??」
「だって、お前偶然それを見つけたんだろ?なら、
絶対別のやつになってた可能性もあった。なら、
自分以外にもいいやつがいるからって言ったら…もしかしたら
諦めてくれるかもしれないぞ…?」
説得…か。
説得…だが、あいつの言った言葉が忘れられない。
拒否権はない。
そして、自分はその言葉になぜか肯定的な
思考をしてしまう。さっきも、旅に出れるとか、
正直思いたくもなかった。…もしかしたら、既にそういう
呪いみたいなものにかかっているのかもしれない。
「…また考えてみるわ、ごめんこっちから話したのに。」
「…なんというか、気をつけてね?なんかあったら
私たちに言ってね?」
「そんな、死ぬわけでもないんだから大丈夫だよ。」
シュベルはそういうと、食堂を後にし…ようとした、が、
「あっ!!」
「「びっくりした…!?」
「魔法…!魔法を教えてくれないか…!?」
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「はぁ…!」
「おいおいまっすぐ飛んでないぞ!」
「もっと的に狙ってー!」
手を前に突き出すシュベルを、
練習場のベンチに座るラインとルシアが見守っている。
___魔法とは、5つの元素からなる魔術と、人類が生み出した
3つの魔術からなるものである。
火、水、地、光、そして闇。これらが第5元素であり、
それぞれ基本を中心とした派生技が存在している。
そして、人類が生み出した魔術、それは、
空間、召喚、そして神秘。
これらは大昔の人類が作った魔法であり、
これらもそれぞれ派生技が存在している。
そしてそして、それらを使うために使うのが、
人間…いや、生物一つ一つに存在している「魔素」である。
そしてそしてそして、シュベルが今やろうとしているのは、
火魔法第一派生技の、「ファイアーボルト」である。
炎を手の上に出現させ、前方に飛ばす技である。
派生技の中でも一番簡単な分類で、一番扱いやすい万能な魔術だ。
「ねぇ…!なんか的遠くない?!」
「こんぐらいが普通だ!」
(昔から魔法は得意な方…!第5元素の基本は全てできていた…!)
と言っても「基本」というのは、その魔法を
実体化___出現させるだけである。
この学校の入試もそのぐらいであり、基本ができれば入学できる。
…そのため派生技は一度もやったことないのである。
「…ねぇ、今どんな気持ちでこれやってる?」
「えっ?」
「まず、魔法は気持ちなの。」
精神論かよ…と思ったが、ある昔のすごいもこう言っている。
『想像せよ、予が魔術を扱い、邪を祓う姿を。』
精神というより、魔法を使うこと全体を想像しろって
ことだと思う。
「ちゃんと魔法が的に当たっている想像を___
「この世界の偉大なる炎の女神よ、我に火の理を授け、
そのものに前へと進む活力を齎せ…!
ファイアーボルト…!」
(手に魔素を溜めて、火を生み出す…そして、それが勢いよく
前方に飛び出し、的の胸を貫く…!)
手を飛び出した炎は勢いよく放たれ、的に命中した。
「はっ…!?」「えっ?」
…意外と行けるかもしれない。
自分にそう思わせるような出来事だった。




