3.女神
「私と契約しませんか?」
「…は?」
けいやく?なにそれどういうこと?
…ん?本当にどういうことだ?
急に予想もしない言葉が飛んできて、思考がおかしく
なっているが、それもそうだろう。
急に契約しろって、そういう商売の仕方のようである。
「ぽかんとされてますね。…今、何日ですか?」
「えっいま?」
机の上にあった日付表を見る。
_________________7月12日日曜日(翻訳)である。
「7月12日だけど…」
「夏休みはいつからいつまでですか?」
「えっ?夏休みは…」
魔術学校の夏休みは基本長い。年によって違うが、だいたい
2ヶ月まるっきりが目安だ。そして、開始日はだいたい
7月中旬である。それを踏まえると…
「…今週の土曜日から9月の中旬ぐらいまでかと」
「じゃあ、その時に行きましょう。」
「どこに?」
「どこにって…
7人の女神がいる場所全てですよ。」
「え…?何言って」
「世界を救えるのはあなたしかいません。
「っ…」
「私は適当に人を選んだのではありません。あなたが
ふさわしいから、あの本を手に取るようにし、
あの手紙が落ちるようにし、あの森に来るようにした。
私があなた_____シュベルを選びました。」
正直ありがた迷惑すぎる。
やっとの思いで魔術学校に入学して、まったり魔術を
学んで、1級魔術師になって裕福に暮らす夢を
叶える最中だったのに…なんで自分なんかが…
…正直言うと、さっき言った通りこれは義務です、
拒否権はないです。」
「なっ…!?それは…」
(世界を救えるには自分だけで、彼女は自分を選んだ…
その時点で詰みなのかもしれないな…)
シュベルはため息をつきながら、ベットに座り込んだ。
「…そういえば、さっきの契約なんちゃらってのは…?」
「そのままです。私は天使の使、その能力を代償と
引き換えにあなたが使えるようにします。」
「…なんでする必要があるの?」
「私の勘なのですが、彼女らはそう簡単に真実を
明かすつもりはないような気がします。」
「…まあ世の中から隠すほどのことならばね。」
「なので、
戦う必要があるかもしれません。」
「…女神様と?」
「はい、あっ本当に殺し合うことはしないはずです。
彼女らの本質的には、皆に祝福を与える存在。そんな存在が
人を殺めるようなことはしないはずです。しかし、
普通の人間じゃ、到底勝てない。」
「…絶対に?」
「断言はできませんが、かなり厳しいでしょう。」
「契約しなくても勝てる可能性はあるのはあるのね…」
「っ!?まさか…!」
「うん、
別にいらないなら、自分は契約なしでいい」
「いやいやいや、そう簡単に勝てないですし、
私の力は膨大で強力です。」
「いや、土曜日までに本気で魔術を覚える。」
「…魔術ですか」
「うん。」
「…半強制的に連れて行く側からいうことじゃ
ないと思いますが…
けが…しても、私には治療できませんよ?」
「…そのときはそのときだな。まっ、とりあえず
自分はリビングに戻るよ。」
と、シュベルは部屋を出た。
ひかし、そのままリビングに向かうことはせず、扉の
横に体育座りをした。
…正直、カッコつけたりしてたけどなんもわかんないな。
女神が「女神戦争」の真実を隠した?
女神と戦うことになる?「私」の力は膨大?
自分だけが世界を救える?
…本当か?こいつ___シャリールが騙してるだけかもしれない。
…でも、なんで自分なんだ?
それが本当なら、別に…他にもすごい奴がいるはず…
そいつらに頼めば…
少し部屋の中の様子を見てみた。
シャリールがベットに座っている。しかし、
その顔は、少し悲しそうであった。
「……」
多分、彼女は自分がここにいるのをわかっている。
それでも詰めてこないっていうことは、彼女も
なにかしら後ろめたさを感じているのかもしれない。
シュベルは、そんな悲しい顔を見ていて、我慢できなくなった。
立ち上がり、少し顔を覗かせる。
「なあ、シャリールって言ったか?」
「…はい、そうです。」
「お腹空いてないか?」
「えっ…」
予想もしない言葉だったのだろうか、驚きの表情を見せた。
「…空いてます」
「だろうな、ちょっと待ってて」
シュベルは両親に事情を話に行った。




