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ホーリータウンの変化②


 第49章


 建築ラッシュが続く中、4人は古代数式の解析に挑む、下っ端のホーリーはスプリンド先輩から手渡された魔法陣に数式をはめ込むだけだが、見ても意味が全然分からない。これは数式が解けても魔法陣が書けなかったら役に立たないのでは?と思って見ていると、スプリンド先輩が話しかける。


 「理解できるか?」

 「まったく、出来ません。初級魔術教室では魔法陣はすでに出来上がってましたけど、なぜ、スプリンド先輩は1枚1枚手書きで仕上げるのですか?複雑な魔法陣だからですか?」


 「君は代筆屋だったよな?」

 「はい、そうです」

 「文章を清書する人間がいる様に、基本の魔法陣を書いて生活している人間もいる。それを貴族は買い取り使っている、だが、今回は基本の魔法陣を使っての解析は不可能だ」

 「そうですよね、それにしても先輩のように、難しい魔法陣を、1から魔法陣をかける人は貴族学校でも少ないのですか?」


 「そうだな、最終学年で魔術教室にいる者は出来るかも知れないが、アガシー先生の教室で残っているのは僕だけだ」


 「おおおぉ、それは素晴らしいです。ずっと、テストに合格していると言う事ですよね?」

 「そうだ、しかし、僕は魔法陣を描く場合は君のように魔力を必要としていない。君はどうして書き写す時に魔力を使った?」


 「わかりません、いつも、焦って書いていると魔力を使ってしまうようです」


 「愚か者」

 「‥‥‥」


 「代筆屋、僕が書いた魔法陣を描く練習をしろ、使えそうになったら魔法紙に描く許可をだす」

 「はい、わかりました」


 スプリンド先輩が練習用に渡してくれた紙は、再生紙ではなく見た事もない綺麗な紙で、ホーリーは魔力を使わないように丁寧に写し始める。


◇◇◇◇◇◇


 現在、アガシー先生、スプリンド先輩、リンさんはホーリーの家の2階に滞在していて、フェリクス先生の家の隣にゲストハウスが建築中である。アガシー先生は、フェリクス先生の家が気に入ったようで、同じような建物をグリークさん注文したまま、こちらで生活している。


 リリーさん達は小麦の刈り入れで忙しくて、食事の準備も大変そうなので、今日は珍しくホーリーが昼食を用意する。彼ら3人は食にうるさい人間ではないので、簡単なサラダと初めて作るパスタにした。


 小麦粉娘としては、記憶に残っているパスタを再現してみたくなって、心が躍る。大体、スープカレーを考えた時に気づけよって、自分に突っ込みを入れながらキッチンに立つ。


 生パスタを大量に作って冷凍しておく?乾燥までするとどうだろうと、色々考えながら捏ねていく。捏ねる事は得意なので、すぐに完成、魔法でカットする事もできた。味付けはトマトベースにして、出来上がりは最高に美味しかった。食事をする3人にも好評で、リンさんは商売の話をしたそうだったが、今はお店を増やす時期ではないと思いとどまったようだ。


 その後、一人お留守番のフェリクス先生もやって来てパスタを食べる。マリアさんと従者2人は王都へ買い出し、ベル商会にも寄ってもらって会長の用事も済ませて帰って来る。


 「先生、ゲストハウスの基礎工事ありがとうございます。グリークさんが泣いて喜んでました」

 「いや、彼にはもう少し頼みたい事があるんで、気にしなくていい‥‥」


 (気にした所で、グリークさんへの無理難題が無くなる訳ではないので、まったく気にしていない)


 「このパスタは魔法で作ったのか?」

 「勿論、そうです。今回は大量に作りましたからね。美味しかったですか?」

 「ああ、作り方が見たいので、もう一度作ってくれないか?」


 「もう卵がないので作れませんよ、それに魔力を結構使ったので無理です。明日でいいですか?」


 「明日は、窯に火を入れるがパンはどうする?」

 「そうですね、明日はパンを捏ねますからパスタは次の日にしましょう」と話していると、アガシー先生が、


 「いや、明日は、この装置で実験するから魔力はこちらに使って欲しい」と言って来た。

 「どのような実験ですか?」

 「その土地の魔力量を計る実験だ」

 「なるほど、その土地の魔力量を計測して置いて、消滅しそうな土地を限定するのですね」

 「そうだ、まずはそこから初めて、本当に魔力が消滅したら土地も消滅するのかを検証する」


 「しかし、ここは魔力が多そうですよね」

 「森の近くの領土は多いと考えられるな」

 「どうしてですか?」

 「魔物が多いし、ここは不可侵の為、現在は何も調査もされていないんだ」

 「不思議な土地と言う事ですよね?森は大きいのですか?」


 「ああ、川があっても山がないだろう?平地だが森だけが存在しているだけの土地で、王都の2倍はある」

 「そ、そんなに広いのですか?人が住めないなんてもったいないですね」

 「君は知らないで、ここを買ったのか?」

 「そうですよ、教育機関は貴族学校が初めてでしたし、その様な事を教えてくれる教室はありますか?」


 「貴族は、一般常識を家庭内で習う、知っていて当然だ‥‥が、平民は知らなくて当然か」

 「この森が解明されないのは、誰も入れないからだ」

 「そうですよね。結界に綻びが出来ただけで魔物が溢れるのですから、魔物が多く生息していて、誰も入りたいとは思いませんよね」


 「そう言う説もあるが、スタンピードは森の中にある魔法陣が起こしていると言う説もある。結界が薄れると魔法陣が発動して、魔法陣から魔物を呼び出すと言う調査結果も残っているんだ」


 「それは、どうやって調査したのですか?」

 「昔は、他国から調教されたワイバーンやグリフォンを購入して空から調査で来たのだ。今は、第1皇子が帝国に連れて行っているので不在だが、ワイバーンやグリフォンを乗りこなすにも魔石や魔力が必要になるので、いても調査できない」


 「でも、森は魔力が溜まっていると考えられているのですよね?」

 「そうだ、魔力がなくては魔法陣は発動できないだろう?」

 「ああぁ、そうでしたね」


 「では、明日はアガシー先生のお手伝いをするでよろしいでしょうか?」


 多少、心残りなフェリクス先生も承諾したので明日の予定は決定した。


 「先生、そろそろお迎えの時間ですよ。マリアさん達が待ってます、行ってあげて下さい」


◇◇◇◇◇◇


 移動魔法陣を動かす為にフェリクス先生は王都の馬房の往復をしてくれる。今日は、彫刻に必要な物を多く購入して来るので、送り迎えは先生がする。ホーリーは、フェリクス先生がなぜ王都に行かないか不思議だが、大人の事情があるのだろうと思って、あえて聞かないでいる。


 夕方、カーズ村のみんなが村に帰り、ケルフが迎えに来て確認をすると入り口は閉鎖される。


 「ケルフ、明日、森の丘陵地の方で実験するけど来れそう?」

 「明日か、明日は叔父さんと麦を乾燥させる為に魔力を使うんだよ」

 「ああ、風魔法で?」

 「2人とも基礎の風魔法しか使えないから、乾燥できるかわからないけど‥‥」

 「そうか、それにしてもケルフ、全然、顔出さないね?プレジーもフェリクス先生の家にしか現れないし、もしかして避けてる?」


 「ま、まさか、でも、僕、この前のテスト落ちてるから、行きづらいのは確かだけど‥‥」


 「まぁ、いいわ、明日は小さな実験だから、何かあったら言ってね。私も基本の風魔法は覚えているから」

 「わかった。それじゃ、帰るね」

 「うん、また明日」


 ケルフと一緒に結界を確認し、家に戻ろうとした時、移動魔法陣が光った。皆さんのお帰りだと、思って見ていると、現れたのは、大きなワイバーンと知らない青年、フェリクス先生一行だった。


 「なぜ??ワイバーン?この国にはいないはずでは?」


 ワイバーンが現れると、アレクサンダーが現れ、いきなり突進して行った。


 「アレクサンダー!!駄目よ、あなたでは敵わない、ダメ、ダメダメ~~~アレクサンダー!!」



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