表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/74

ホーリータウンの変化①


 第48章


 ホーリーが、貴族学校から戻って数日が過ぎた時、家の前の資材や人足を運ぶ為の移動魔法陣が光った。3日前、王都からマリアさんが馬車でやって来た時も驚いたが、今回も腰を抜かすほど驚いた。


 「マリアさん、あちらに見えるのは、あなたのご主人様ではないでしょうか?」

 「ええ、予定通りですね」

 ホーリーは、マリアさんの言葉を信じていなかった。フェリクス先生一行が、本当に来るとは思わなかった。それも人足と資材を連れてなんて!!グリークさん、どうなっているのですか?


◇◇◇◇◇◇


 カーズ村からの小さな入り口に、マリアさんが馬車を引いて現れた時は驚いたが、手下のプレジーが歓迎していたので、納得して泊める事になった、そう、この騒動はマリアさんの襲来から始まった。 

 

 「マリアさん、この荷物は‥‥、引っ越しですか?」と思われる程の量で愕然とした。


 「まぁ、女性がこんなに少ない荷物で引っ越しをする訳がないでしょ?ホーリーの家に足りない物を選別して持って来ましたのよ」

 「選別してこの量、そして、マリアさんは馬車も引けるのですね、さすがです」と褒めると、にっこり笑ってプレジーに指示を出し、降り立つ姿は、凜としいて頼もしい。


 「さぁ、プレジー、運び入れて頂戴」

 「はい、わかりました。マリアさん、ここのお菓子、手に入ったのですか?凄いですね」

 「ええ、使用人を並ばせましたのよ、今回のお土産ですわ」

 

 (二人は久しぶりの再会を喜ぶ)


 「あのぅ、マリンさんは、どうしてここに来たのですか?家出ですか?」


 「まぁ、聞いてくれるの?ホーリーは嬉しい、坊ちゃんたら酷いのよ、私を置いて領土に帰った振りをしているの、ジモールとユルは連れて行ったに私だけ留守番だったのよ、坊ちゃんがいないとあの屋敷では仕事もないし、家令は旦那様に付きっ切りで、奥様は若いメイドを傍に置くような人なのに、私だけを置いて行ったの‥‥‥それでね、ぐちゃ、ぐちゃ」


 「はぁ~、では、気分転換でいらしたのですか?」

 「いいえ、仕事よ、坊ちゃんたちは、きっとここに戻る、その為にも、ここをどうにかしなくてはいけないでしょ?」


 「どうにかですか?‥‥ここは、わたしの家ですが‥‥」

 「でも、貴族が過ごすのには適さないでしょ?ご主人の生活を整えるがメイドの仕事ですからねぇ」


 「ねぇって言われても、フェリクス先生が来なかったらどうするのですか?」

 「そうね、魔法陣が動くときに王都に戻ります。今は、ここを整えるのが仕事ですからねぇ!」


 それからのマリアさんは凄かった、食べ散らかしたこたつは作業部屋に押し込まれ、ソファを移動し王都から持参した高さそうなカーペットを引き、ペストリーや絵を飾り、立派な花瓶に木や花を生ける。


 「ホーリー、カーテンはこの窓にしかないの?」

 「生地はあるのですが、まだ、作っていません」

 「そう、では、生地を見せて下さい」


 マリアさんは、ホーリーが持っていた布を3枚も重ねてカーテンを作っていく。確かに遮光の問題はあるが、使い過ぎではと思って見ていると驚くほどの出来栄えで、思わず拍手をしてしまった。


 「マリアさん、2階の部屋は寒くないですか?」

 「大丈夫よ、厚めの布団を持参してきましたから、心配ないわ」


 マリアさんは、到着してからプレジーにベット台を作らせて2階で寝起きしているのだ。朝は、お貴族様仕様の朝食で、テーブルの上には清潔な布が覆われ、美しい食器やカトラリーも並べられ、その辺に咲いている花も可愛く飾られている。自分の家で、家ではない感じがする。


 朝食を済ませると、プレジーが御用聞きにやって来て、マリアさんの欲しい物を揃える。カーズ村は、今は商人開放をしている時期で、物流が始まっているようで蜂蜜や日用品も手に入る。特大の鍋と小さなフライパンがメインだったキッチンには、沢山の鍋や料理道具が揃い、財力万歳と心から思った。


 その後のフェリクス一行が現れてからの変化も凄かった。2階を壁で仕切り個室を作ってもらっている間に、フェリクス先生の指示で、隣に家を建て始めた。キッチンはホーリーのキッチンを使用する為に、長屋のように建築したのだ。基礎は、ホーリー家の基礎を真似て土魔法で一気に仕上げ、床は、ジモールとユルが指示を出し完成させた。ホーリー宅の2階の壁やドアが出来上がると、手慣れた人足たちは柱を建てて、屋根工事も開始。浴室のバスタブは先生が考案して、美しい浴室、トイレ、洗面所までもあっと言う間に出来上がった。魔法を駆使した工事は万能だスゴイ。


 1週間後には、ホーリーの家の食堂にドアが付き、フェリクス先生の家と繋がり、マリアさんと持ち込まれた荷物もあちらに移動して、自宅が戻って来た。(落ち着く~~)


 「先生、先生は凄いですね。グリークさんも先生のセンスの良さには驚いていましたよ」

 「そうか、彼も平民にしては素晴らしい感性だ。僕の良さがわかるのだからナ」

 「明日からは、色を塗るようですが、それは先生の考えですか?」

 「ああ、君の家との差別化は必要だろう?ペンキを塗ると家も長持ちするようだが、君は頼まなかったか?」

 「今回、頼みましたよ。先生の家よりこれ以上見劣りしたくありませんからね」


 「同じくらいの大きさにしただろう?」

 「ええ、そうですが、これでも、私の家は平民にしては大きい方なのですよ」

 「そうか、小さく感じるが、所で、麦を出荷する時に移動魔法陣を開ける予定か?ジモールとユルが王都に必要な物を買いに行きたいと言っているのだが‥‥」


 「別に先生が開けて下さって大丈夫ですよ。駄目な理由があるのですか?」

 「僕は、領土に戻っている事になってるからな~~、面倒だし、君に頼みたい」


 「先生、家まで建てて、買い物にも行かせるのですか?」

 「しかし、布団が紙クズでうるさいらしいぞ、気の毒だろう?」


◇◇◇◇◇◇


 次の日、アレクサンダーは、環境の変化で機嫌が悪く、フェリクス先生の2頭立てに箱馬車を引かせて王都に買い物に出かけた。メンバーはホーリー、ジモール、ユルでの買い出しだ。


 最初は、上級貴族御用達のお店で注文を済ませ、スイーツが並ぶお店でマリアさん指定のお菓子を買い、ベル商会では寝具といつもの食料品を購入して、これ以上は積み込めない程の荷物と一緒に戻ると、アガシー先生、リンさん、スプリンド先輩が、食堂でくつろいでいた。


 「アガシー先生、リンさん、スプリンド先輩、どうして家にいるのですか?」


 「いや、フェリクス先生が家を建てたと聞いて、君も元気になったのだろう?古式数式の事を聞きたくてな、それで、どこまで解いた?」


 「見てもいませんよ。目が覚めてから、次々にお客様がいらして忙しいのですから‥‥」


 「では、明日から作業に入るか?」

 「ここでですか?」

 「ああ、ここにはフェリクス先生の従者がいるし、ケルフの従者もいる。どうやら、我々は従者がいないと研究が進まないようなのだ」


 「まさか、家を建てるつもりですか?」

 「ああ、一応、依頼はした」

 

 ホーリーは、塗装の為に魔法陣の許可を出していた食堂の隅で小さくなっているグリークさんに目をやるが、平民が、お貴族様の依頼を断れない事を知っているので、近くに寄って行き。


 「料金はたくさん頂いて大丈夫ですよ。人足に払うお金も多めにしてあげて下さい。これからもっと無理を言われる事も覚悟した方がいいですよと、アドバイスもする」と、


 「今度の家はどのくらい時間が貰えそうか?フェリクス先生宅のように魔法で手伝ってくれるのかな?」


 「あ~~、それはないですね。適当でいいのでゆっくり建てて下さい。しかし請求は忘れずに!!」


 カーズ村も忙しくなり、リリーさんの料理はプレジーが運び、そろそろ麦の刈り取りが始まるのでホーリータウンの人口は一気に増えた。人足がいる間に、馬小屋やトイレ、農作物を一時的に置いておく小屋も増設した。


 「グリークさん、小屋ですが、大きめにお願いします。収穫が終わったらアレクサンダーの馬房にしたいので、馬が増えて機嫌が悪いのですよ。自分は自由に歩きまわっているのに‥‥」


 「馬房って、アレだろう?貴族学校にあったような感じか?」

 「そうです。屋根があって、小部屋も付いている。あのような感じです」

 「了解、そっちはそっちで頑張れ、こっちはどうにかするから‥‥」

 「ありがとうございます」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ