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貴族学校の2回生①


 第31章


  貴族学校が始まる為に、ケルフ、プレジー、アレクサンダーと一緒に寮に戻ったが、2度目の貴族学校に参加する平民は、残念なから0人。全領主様が、貴族学校へ魔力持ちを送り込むことを敬遠したからだ。


 当然、新入生も少ない。


 「魔法学校って、名前、変えた方がいいのでは?」

 「今年の入学者は、平民の数の方が多いらしいよ」

 「もう、魔法学校でいいじゃん!」


 「そうなると、貴族の数が減って国が成り立たないのでは?」と珍しくプレジーが真面目な意見を述べる。


 「領主様の文官たちと関わってわかっただけど、国って、平民だけでは回らないんだよ。村、街、領土全体が上手に循環し、国を助けて、国に助けられて、上手く機能する事が必要だ。それには、頭が良くて、たくさんの魔力を持った皇族、お貴族様がいなくては駄目なんだよ」


 「すごいね、プレジー、そこまで勉強したんだ」

 「叔父さんが、子供たちに話した内容だよ。平民と貴族の違い」と、ケルフは暴露する。


 「なんだ、凄いのはマコーミットさんなのか‥‥」

 「ケルフ!!俺は本当にそう感じたんだ!」と、プレジーは叫んだ。


 「まあまあ、ホーリーは、貴族学校が始まる前に、ベル商会に、買い物に行くんだろう?」

 「そうね、野菜や小麦粉などは持参したけど、もう一度、氷室を購入して、食料を入れる予定よ」

 「僕たちも一緒に行っていい?」

 「いいわよ、マコーミットさんとの交渉も気になるし、一緒に行きましょう」


◇◇◇◇◇◇


 翌日、箱馬車にケルフとプレジーを乗せて、ホーリーは、平民の商店街のベル商会を訪れた。


 「ここよ、この辺一帯が、すべてベル商会だと思うわ、私も詳しくは知らないのだけどね」


 「すごいね、ベル商会って、あのリンさんのだよね?あの人、こんな大きな商会の商会長だったんだ」

 「叔父さんが言っていたけど、実は、貴族学校では有名な人だったらしいよ」


 「どんな風に?」

 「優秀過ぎたんだよ。色々な魔術具を作れるから貴族に縁付けば、それなりに成功したのに、彼は、王都を離れて、プラザ町に小さな魔術具屋を開いたんだ。まぁ、理由があるけどね?」


 「貴族嫌悪?」

 「それもあるらしいけど、貴族たちによって、王都から追い出されてらしいよ。思い通りにならない平民は、追放するって時代で、今なら、考えられないよ」


 「だから、僕たちに、良くしてくれたんじゃない?」

 「ああ、あの時は、叔父さんに会う前だったし、僕たちは何も知らなったからな‥‥」


 「それなのに、第2皇子とも取引しているって、伝えたの?」


 「そこは、勿論、伝えたよ。叔父さんは、どちらの事情も理解しているからね」

 「マコーミットさん!なんて!優秀!」


 3人でおしゃべりしながら、ベル商会に入った。

 「こんにちは」

 「まぁ、ホーリーさん、ジェシーさんから色々と聞いていますよ、いつも、ありがとうございます」


 「また、氷室の購入をお願いしたいのですが、出来ますか?」

 「大きさは、どうしますか?」

 「この前と同じ大きさのと、小さい物を1つずつ下さい。後、食材も一緒に購入したいのですが出来ますか?」

 「はい、出来ます、これらの食材も、氷室に入れてご用意しておきますね。それで、今日は新学期の買い物ですか?」


 「はい、ケルフとプレジーの分もお願いします」

 「あぁ、彼が、平民の貴族学校の2回生になる方で、カーズ様ですね。今後ともよろしくお願いします」


 ケルフとプレジーは、思いっきり、頭を下げていつもの女性店員に挨拶する。


 「それで、交流会の衣装は準備されましたか?」


 「交流会?」


 「交流会って、何ですか?平民に関係あるのですか?」


 「交流会とは、2回生になると、履修する教室内で、上の学年の生徒さんと一緒になるので、その前の顔見せのような会と聞いていますが、聞いていらっしゃらないのですか?」


 「はい、聞いてません、出席しないとダメなのでしょうか?」


 「リン会長ですら出席されたようですよ。出席は必須ではないでしょうか?」


 貴族嫌悪のリンさんですら出席した会に、欠席する事は出来ないとケルフとホーリーは思う。


 「‥‥制服ではいけないのですか?」とケルフが小声で聞く。

 「リン会長は、制服で通したようですが、より、目立つと思われますよ」

 「そうね、鋼のメンタルを持ち合わせないと出来ないよ、ケルフ、制服参加は無理だと思うよ」


 「衣装のお店を紹介して下さい」と、3人は頭を下げる。


 女性店員が紹介してくれたお店は、当然、ベル商会直結のお店で、下級貴族も利用しているお店だった。

 「2人で出席するなら、衣装も合わせた方が良いと思いますが、他にパートナーはいらっしゃいますか?」


 「いいえ、2人で会わせます」

 「色の統一が無難ですが、好きな色はございますか?」


 「僕は無いけど?ホーリーはある?」


 「カーズ村って、何色が多い?」

 「緑?土色かな?」

 「ホーリータウンは、レンガ色?土色?後は小麦の生産が始まったから、黄金色?」

 「黄金色は、目立つだろ?」


 「ここは、農民らしく、土色にする?」


 「ウウン、ゴホゴホ」と、デザイナーが咳を始めたので無しだとわかる。


 プレジーが、「スタンピードで、薄紫の魔石がたくさん捕れたから、薄紫にしたら?魔石を衣装の飾りに付けるとか?どうかな?」


 デザイナーは、プレジーが取り出した魔石を見て、いい案だと褒める。ケルフとホーリーは、衣装に興味がないので、2人の案を採用して、オーダーする事にした。


 「では、出来上がりましたら、ご連絡します」と告げられて、ベル商会の本店に向かった。


 すでに、クリフトルさんに面会の予約を入れておいたので、クリフトルさん執務室に案内された。


 「初めまして、ケルフ・カーズで、カーズ村の村長をしています。今回の件、ご協力ありがとうございます」と、マコーミットさん指導の定例の言葉で会談は始まった。


◇◇◇◇◇◇


 「こちらこそ、助かりました。まさか穀倉地帯が消滅するとは思ってもいませんでしたから、マコーミットさんが手を差し伸べて下さり、感謝してもしきれません」


 「王都での食料の流通は大丈夫なのですか?僕たちの領土では、穀物の抱え込みが始まったようですが‥‥」


 「まだ、それほど、影響は出ていません。王都の平民には、その様な情報が回りませんから、パニックにはならないでしょう。それに、国王陛下は、国の面子にかけても王都を守ると信じています」


 「それは、交易の為ですか?」

 「そうです。今、このような状況で、交易が途絶えたらそれこそ大変になるでしょう。交易が、生命線と考えるなら、他の領土を犠牲にしても、ここを守り抜くはずだとね。しかし、我が商会としても、他の領土から作物が入る事は、本当に有難い事で、今回の提案をこちらも喜んでいます」


 「あのぅ、もしもの時は、平民に作物を売りますか?」とホーリーは聞く。

 

 「当然です。我々は、平民ですから、彼らが飢えない事が、この商会の役目です」


 「わかりました。後、交流会の事はご存じですか?私たちは、今日、初めて聞いたので‥‥」


 「確か、貴族学校のホールで行われるようですよ。我々も詳しい事は知りませんが、今年の主催者は在学中の第2皇子で間違いないでしょう」


 「それなら、早めに教えて欲しかったです。交流会には先生方も出席なさるのでしょうか?」

 「勿論、その為の交流会です」」

 「フェリクス先生も教えてくれなかった!!もぅ!」


 「衣装の方は、大急ぎで仕上げますが、ダンスの方は大丈夫ですか


 ケルフとホーリーは「ええ、踊りません!」と、決意表明をする。


 「どこかに逃げ場は必ずあります。交流せずに、隠れていればいいのです。私たちは、平民で、基本、芸術教室の生徒ですから、きっと、大丈夫です」


 クリフトルさんは、出来の悪い子供を見る様に、2人を見て、更に、助言する。


 「2回生以上は、この交流会で、受けたい教室の先生方に認められないと、入室を認められないようですよ。この制度によって、リン会長は、酷く、苦労したと聞いたことがあります」


 「そんな‥‥、魔術教室に通いたいのに‥‥」



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