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第2皇子の仕事


 第25章


 「皇子、国王陛下へのご報告はいかがなさいますか?」側近のルーツィが聞く。


 「カーズ村での作戦と被害状況は、逐一、報告してきたが?不服か?」

 

 「いいえ、ホーリータウンの件は、協力を得たと記載されてますがよろしいのですか?」


 「彼女の事は報告しないつもりだ。実際、彼女は一度もカーズ村に入っていないし、救護所として自宅を使用させてもらっただけで、既に、補償は私の移動魔法陣で払っている」


 「そうですが、もっと調べる価値はあると思います」


 「土地はホーリーの名で購入しているようだ」


 「まぁ、そうですね。しかし、ペーター家はどうしようもない連中でしたね。平民を、騙して魔力奴隷にするとは、彼女も‥‥」


 「王室では、ペーター家の領土が消えた事は、魔力の枯渇が理由だろうと考えられたが、僕は、違うように思えるんだ。実際、父上の魔力量も減り始め、母上の魔力でどうにかこの国は持っているが、一人一人の魔力量はどうだろう?僕や君たちは、特に変化は見られないよね?」


 「それは、我々は家名も名乗っていませんし、馬車や魔馬等にも刻印をつけていません」


 「昔は、家名を名乗ると、それによって、魔力が減ると言い伝えられていたが、貴族は見栄っ張りが多い、多少の魔力消費など気にせず、王都で行き交う馬車や魔馬に、家名の刻印をつけて走らせる事がステータスだった。しかし、今はどうだ?」


 「愚の骨頂ですね。特に、フリーネ嬢の件が噂になってからは、まったく見なくなりました。そして、スタンピードの起こる前に、伯爵家の領土邸全てと領土の一部が消滅、王都の屋敷の地下も消滅し、近くに、亜人の死体が発見されました」


 「不思議だったのは、教室での彼女は、伯爵家の令嬢とは言えないような行動していた事だ、だから、僕は、彼女は何かを知って、何かに怯えているかを探ろうとした」


 「しかし、伯爵家を調べ始める前に、彼女も伯爵家一族と一緒に領土に戻っていた為に全滅だ。王都の屋敷の地下の使用人達が行方不明だし、皆はどう思う?」


 「関係している人物は、ホーリー・ペーターですよね?」


 「彼女が関係しているのかはわからないが、彼女とマコーミット氏は、はやり優秀だと思った」


 「下級文官のマコーミットですか?彼は、貴族学校を辞めてから、一旦、故郷に戻り、その後、王都に戻って来て、男爵家の3女と結婚した男ですよ?まぁ、職場では、博識で仕事は出来ると聞きましたか‥‥」


 「夫婦仲はどうなんだ?」

 「良くないですよ、子供もいません、ですから、村の子供達や、甥っ子のケルフの事は大事にしているようです」


 「しかし、カーズ村の子供たちは、街の学校には行っていませんよね?」

 「ああ、それは、マコーミット氏の意向らしい、彼独自の学習プログラムを組んで、街まで通わなくてもいいようにしているようだ」


 「あんな状況で、そんな事まで調べられたのか?」

 「はい、皇子のご命令で、カーズ村の聞き込みをしてました。それに、やはり、ケルフの成績を見ると疑問を持ちました」


 「悪くて?」

 「いいえ、反対で優秀過ぎます。貴族学校への入学が決まってから1、2ケ月で準備する学習能力ではないと思いました。ホーリーの方は、まぁ、別格ですが‥‥」


 「彼女の方は、母親が小さい頃から教えていたのだろう。綺麗な才女で有名らしい、だから、優秀なのは当然だ」

 「マコーミット氏の教育で、カーズ村の子供達は優秀なのか?」

 「ああ、他の平民に比べれば優秀だな。従者もそれなりの成績を収めている」


 「マコーミット、身分が許せば、こちら側に欲しいですな‥‥」


◇◇◇◇◇◇


 「第2皇子、フェリクス先生が面会を申し出ています」


 「‥‥‥、どうぞ、通して下さい」


 第2皇子は立ち上がりフェリクス先生を迎える。側近たちも後ろに立ち礼を尽くす。


 「フェリクス先生、今回のスタンピードの件はありがとうございました。ホーリーに結界魔術を教えて頂いて、助かりました」


 「いいえ、あそこは、僕も興味がありましたし、面白く過ごさせてもらいましたよ」


 「それで、今日は、何かありましたか?」


 「先程、ホーリーが芸術教室にやって来て、アレクサンダーを鑑定してくれと言い出しました。後、リン商会に買い物に出たいらしいです」


 「彼女、休学しているのに、買い物に行けると思っているのか?」とルーツィは頭を抱える。


 「‥‥‥、アレクサンダーはどうした?病気になったのか?」


 「ホーリータウンのウサギが魔物化したようで、魔石を採取した後の肉を、アレクサンダーが食べたそうです」


 「‥‥‥」


 「あのう、僕も、カーズ村でウサギのスープを食べましたが、アレは魔物の肉だったのでしょうか、僕まで魔物化に‥‥?」と一人の側近が慌てている。


 「いいえ、スタンピードが終わってからの変化だそうです」

 「先生は、その魔石は見ましたか?」


 「忘れたようです」

 「‥‥‥」


 「ううん、それで、町には何を買いに行きたいと?」

 「主に食料と花ですかね。女の子の欲しい物などわかりかねますが‥‥どうしますか?」


 「彼女は、貴族学校は休暇日のみ、学生の外出を認めていない事は知っているのか?」


 「さぁ、普通の学生の買い物は、従者がしますが、彼女には従者がいません。」

 「お抱えの職員がいるのであろう、彼女に頼んで揃えてもらうように言って下さい」


 「はい、わかりました。それで、アレクサンダー鑑定はした方がよろしいのでしょうか?」


 「そうだな、僕も、アレクサンダーの馬房に行こう。結果が知りたいし、こちら側でも鑑定をさせたい」


 「では、よろしくお願いします」フェリクス先生は言う。


◇◇◇◇◇◇


 ホーリーは、アレクサンダーと一緒に貴族学校に戻った。理由は、アレクサンダーが食べたウサギの肉の為だ。


 あの後、シママが心配して、腹下しの薬草を食べさせたりしたが、変化は特になかった。夜になってから、ホーリーも、段々と不安が大きくなって、次の日、万能なフェリクス先生に相談に来たのだ。


 例の移動魔法陣を使って‥‥


 アレクサンダーの馬房でひっそりと待っていると、向こうから大勢の団体がこちらに向かって来る。


 「第2皇子ご一行だ。先生、どうして、報告したの、内緒で鑑定して欲しかったのに、まったく」


 第2皇子は、ホーリーを見て注意する。

 「君は、休学にしてある。気軽に遊びに来ては困る。今回は大目に見るが、今後、復学するまでは、貴族学校に立ち寄る事を禁ずる。いいな!」


 「はい、アレクサンダーが魔物化したら処分されると思って、慌てました。すいません」


 「今回は、特例で鑑定するが、君も、復学したら鑑定を教えてくれる教室に通った方が良いだろう。今後もこのような事がないとは限らない」


 「はい、そうします。申し訳ございませんでした」ひたすら頭を下げる。


 その後、側近たちの鑑定が始まる。


 「皇子、大丈夫そうです」と、1人の側近が耳打ちして、第2皇子に報告した。


 「心配いらないらしい。健康だそうだ。彼は、魔馬の魔力を測定する能力がある。彼が心配ないと言うなら、大丈夫だ」


 ホーリーは、低姿勢を貫き、側近全員に頭を下げて感謝を示したが、ルーツィからは、買い物の件で、叱られ、魔石を持って来ていない事で責められた。


 「あ、あのぅ、第2皇子、アレクサンダーが食べたお肉の魔石は持って来ていませんが、魔獣化したウサギは持って来ました。フェリクス先生に鑑定してもらおうと思いまして‥‥」


 「持って来たウサギは、どうしますか‥‥?」


 その場の人の頭の上に「!!!」の表情が見えて、ホーリーは笑うの我慢しているように見えた。


 冷静なルーツィが提出するように言い、ホーリーが箱馬車を開けると、また、周りは「!!!」の表情をしているが、彼女は、慌てる事もなく籠に入ったウサギを取り出し、ルーツィに渡した。


 その後、ウサギの結果が出るまはホーリーは、寮で謹慎、その間に、買い物も受け取るように指示をだした。



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