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ホーリーの仕事


 第24章


 ホーリーは、騒動の後、お風呂に入り、次の日まで眠った。快調だ!


 朝、目が覚めると、アレクサンダーに餌を与え、水汲みの前に、ホーリータウンの点検だ。点検しても、ホーリータウンには被害はなく、土を掘り返した跡しか変化はなかった。


 お花畑が出来上がっていて、その花の多さには驚いたが、あまりの美しさにアレクサンダーと散策しながら、花を積んで持ち帰った。


 バケツ3つの水と花を持ち帰り。家の近くまで来ると、カーズ村の門から木を叩く音が聞こえた。


 「シママ!どうしたの?」

 「ホーリー入村の許可をしてくれよ。入れない!」

 「そっか、シママはカーズ村の人間でないから入れないのだね。今、許可します」


 シママを招き入れ「どうしたの?学校は?」と聞く。

 「スタンピードで、しばらくはお休みだ。街は冒険者で溢れて、治安がとれていないからね」


 「そう、もしかして冒険者って、魔石狙い?」

 「まぁね、冒険者って言っても、にわか冒険者みたいな人達ばかりで流れ者が多いんだ。それに、商人達も、集まって一気に人口が増えた感じだ」


 「そう、だから、学校に通うのは危なくてね、今は、母さんの薬局も薬草がなくなって閉店してる」

 「あっ、シママ、アロエありがとう。すごく助かったわ」

 「あのアロエ、何に使ったの?」


 「色々よ、後で教えてあげる。先ずは家に行きましょう。ご飯は食べた?」

 「今日、移動魔法陣でカーズ村に人足と入ったから、少しお腹が空いている」

 「じゃ、一緒に何か食べましょう」


 ホーリーはお茶を入れ、カーズ村からの差し入れをシママと一緒に食べ始める。

 「ホーリーは、しばらくこっちに居れるの?」

 「そうよ、ケルフが復学できるまでは、ここで待つ予定」


 「外のレンガは焼いたの?」

 「そう、1階の壁に貼る予定だけど、まだまだ足りないよね。窯に火を入れる事が出来たから、しばらくは、レンガや色々な物を制作するわ」


 「人足に頼んだら?すぐに貼ってくれると思うよ」

 「貼るだけではなくて、少しデザインにもこだわりたいの、芸術的にしないといけないから‥‥」


 「??」


 「じゃ、僕も手伝うよ。当分、カーズ村に居る予定だからね」

 「カーズ村は、酷いの?」

 「うん、半壊の家が多いし、建て替えが必要な家もあるみたい」

 「そう、大変だね。でも、こっちの畑には芋もあるし、食べ物の心配は不要かしら?」

 「あの村は、相当、貯蔵しているから平気だろうって、伯父さんが言っていた」


 「何から手伝う?」

 「そうね、荷車の補強をお願いしてもいい?レンガを運ぶに為に補強しないとね」

 「そっか、わかった。食堂に置きっぱなしの材料で作るか?」

 「お願いします」


 2人で人足たちが簡単に作った荷車の改良に取り掛かる。シママはカーズ村に居るグリークさんから大工用具を借りてきて、測ったり、切ったり、貼ったり、叩いたりして荷車が完成した。


 「完成に2日もかかったけど、これでいいんだよね?」

 「ええ、大丈夫よ。今、粘土の採掘場は3ケ所なんだけど、芸術の先生が、スタンピードの影響で、土の性質が変わるかも知れないと言うの、だから、それぞれ3か所の土でレンガを作ってみようと思って‥‥」


 最初の場所で粘土層を掘り起こし、捏ね始め、生成し、乾燥して、荷車に焼く前の状態のレンガを並べた時、シママは、腰を抜かした。


 「ホーリー、凄いね。ヤバイ、魔法って、ヤバイよ!」


 「本当はね、2、3個なら、直ぐに焼けるの、でも、魔力切れになると、辛いからやらないのよ」


 「焼く事も出来るなら、窯は必要ないのでは?」


 「窯がなくて、あの壁一面にレンガを貼る事は出来ないでしょ?一日3枚が限界よ」

 「そうか、でもここまで作れるのは、本当にすごいね。貴族学校行って良かったね」

 「まぁね、私もそう思ってる。この後、植木鉢も作りたいの、お花を植えて家に持ち帰りたいからね」


 「どんな形?丸いの?」

 「う~~ん、丸いのはよく見かけるよね?じゃ、四角にしてみる?こんな感じはどう?」


 「大きすぎるよ」

 「では、こんなのは?」

 「う~~ん」


 2号機に入れる植木鉢は、大小色々な形にした。明日は、キノコの置物や、妖精の置物、陶器の椅子等も作ってみる予定だ。


 「後は、薪を集めて、小麦粉を捏ねて、火を入れて、明日の朝を待ちましょう」


 「なんで、小麦粉?」

 「3号機は、バン用に改良したから‥‥」

 「??」


 しかし、窯に火を登らせる魔力は残っていなかったので、結局、焼き上げは次の日になった。その間、花を選んだり、粘土の調査したりしてのんびり過ごす。


 翌日、

 「さぁ、一気に行くわよ」ホーリーは、結界を意識して、フェリクス先生の教えを思い出し、窯に火を入れた。


 「ふー、成功だわ」

 「このままでいいの?」

 「いいのよ。本当は窯の火は、消してはいけないのでしょうけど、最初に、魔力で焼き上げて、薪や炭は補助してくれているらしいわ‥‥」


 「本当にすごいよ、父さん達も見に行きたいけど、仕事中だからね。カーズ村の人たちも、早く家が欲しいから仕方がないね」


 「それで、大量のパンはどうするの?」

 「夕食前に窯に入れるわ」

 「そうだ、シママって、ウサギを解体できる?」

 「ウサギか~~、僕は町の子だから綺麗には出来なよ。皮を剥ぐのだろ?」


 「そう、私も無理、お肉が食べたかったのに‥‥」

 「魚はどう?」

 「魚は焼けばいいのよね?」

 「母さんはパイに入れてくれるんだ。美味しいよ」

 「そう言う料理はちょっと無理ね。ウサギの肉は、煮たり焼いたりできるでしょ?」


 「それじゃ、捕まえて、カーズ村の人に頼むのは?」

 「あっ!名案です。そうしましょう」


 「ウサギは捕まえられるの?」

 「多分、大丈夫、サクッと捕まえられるよ、魔法でね」

 「なんでも魔法で出来るんだね。羨ましいよ」

 「できない事も多いのよ。薬は出来なかったから‥‥」

 「??」


◇◇◇◇◇◇


 ホーリーとシママは、アレクサンダーと一緒に、ウサギの岩場に来ている。ここは、ウサギの生息地だったはずだ。そう、ウサギの‥‥‥、


 「ホーリー、あのウサギ、額に魔石が付いているよ。魔物では?」


 穏やかで、ふわふわしていて、毎回、食べるのに罪悪感があった可愛いウサギたちが凶暴化している。


 「スタンピードの影響かしら、待ってて、捕らえてみるから」

 「大丈夫、魔物だよ、僕、ちょっと怖いよ」

 「そっか、ホーリータウン全体に移動されると、おばさんや子供達に危険が及ぶ恐れがあるよね。仕方ない、結界を張ろう。ちょっと待っててね。私以外は、入れない様にするから」


 ホーリーは岩場全体に結界を張り、一人で岩場に立ち、氷魔法で3匹のウサギを倒す。


 「ホーリー、カッコ良すぎるよ。あ〜僕の友達は凄すぎるよ!」

 「ありがとう。でも、魔物の事は、二人の秘密にしてくれる?フェリクス先生に相談したいから」

 「わかった。次の粘土の採掘場所が近いからだろ?」

 「そう、結界の内側だから、次のレンガはあそこから採掘してみましょう」


 家に持ち帰ると、魔石は簡単に取れて、見た目はウサギだ。夕方、訪れたリリーさんが、解体してくれたので、シママと二人で食べてみるか考える。


 「鑑定魔法が必要だわ‥‥、毒は入ってないよね?どうしようか?」

 「俺、腹を壊した時の為に、薬草を持ってるけど?最初は俺が試食しようか?」

 「その薬草、毒に効くの?それに怖いのが、食べた後に凶暴化したりしない?」

 「そんなの怖くて食べれないよ。僕たちじゃなくて、明日、蛙や虫に食べさせてみる?今は、リリーさんのお弁当を食べようよ」

 「そうだね、そうしましょう」

 「明日、蛙を捕まえる事にしましょう」

 「あいつら、なんでも食うからきっと成功するよ」


 翌朝、初めて自分だけで、焼き上げたレンガが出来上がっている。先生と作ったレンガと一緒だ。大木の場所の粘土は、スタンピードの影響はなかったんだと、確認する。


 「ホーリー、植木鉢も焼き上がったよ。模様も綺麗に浮かび上がったね」

 「フフフ、初めてにしては、上出来ね」


 「今日は、花の植え替えと、蛙や虫探しね」

 「リリーさんが、お花はホーリーの好きにしていいって、言ってたよ。それで、昨日のお肉は持った?」

 「ええ、焼いたお肉と生肉を持ったわ」

 「昼食の弁当は?」

 「持ったわ、パンとソーセージとお茶よ」

 「ホーリー、その辺の芋も食べようよ」

 「わかった、洗って持って行きましょう、あっちで焼けばいいよね」

 「‥‥‥」


 花畑に植木鉢を運び、土を入れる。その前に数か所ウサギの肉を仕掛ける。小動物が現れて食べてくれるのを期待したり、虫が食べる様子を観察できたらいいと考えて無造作に置いておく。


 「ホーリー?どの花を移す?」

 「全然、わからないわ?これ、野菜じゃないよね?花でいいのよね?」

 「お花畑なんだろう?花の種類とか知らないよ」


 「じゃ、花は、蕾が多いのを植え替えましょう。シママは、お芋を焼くから木を集めてくれる」

 「わかった。こっちの植木鉢は土だけ入れるんだよね?」

 「そう、やっておくから大丈夫よ。土の移動は得意なの」


 荷車に乗ったままの植木鉢に畑の土を魔法で移動する。この魔法は初歩の魔法で楽ちんだと思っていると、シママが走って来た。


 「ホーリー、大変だ、ウサギの肉が全部なくなっているよ~~、食べたのはアレクサンダーだ!」


 「え~~~!!」


 アレクサンダーは、ホーリータウン全体にホーリーの結界が張られてからは、自由に走り回ってる。大声で、「アレクサンダー!!」と呼べば、戻って来るからだ。意志の疎通が簡単になって、魔力の消費も減った。


 「近くに芋もあったし、食べちゃったんだ。食べちゃダメって、言い聞かせなかった私のせいだ」


 「でも、元気そうだし、暴れ馬でもないよ、大丈夫そうだね」

 「アレクサンダー、拾い食いは駄目だよ。馬がウサギの肉を食べるって思っていなかったよ。まったく‥‥本当に大丈夫なの?」



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