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第2皇子の依頼②


 第21章


 ゆっくりお茶をしてから、作業部屋も案内する。床底から粘土も取り出して、フェリクス先生に見てもらう。


 「これは、この村の粘土で、3人で捏ねた粘土です。形を作って乾燥した物がこちらで‥‥、」と、平たいまな板のような作品も勇気を出して見せた。


 「本当に、窯はまだ使ってないのか?」


 「はい、貴族学校で習ってからと思ってました」


 「‥‥‥」


◇◇◇◇◇◇


 作業部屋で轆轤ろくろの説明をしていると、アデル、ミル、リウスが訪ねて来た。


 「ホーリー、食事を持って来たよ。後で、お母さんも来るから、お腹が空いたら、先にこれを食べなさいって、言って‥‥‥ました」


 アデルは、美しいフェリクス先生驚いて、言葉が少しおかしくなっている。


 「クリフトル先生、ケルフとプレジーの妹たちとお友達です」

 「こちらは、貴族学校の芸術教室のクリフトル先生です」


 3人は、急いで頭を下げ、「こんにちは」と挨拶する。クリフトル先生も頷く。


 「村はどう?」とホーリーが聞くと、

 「魔物が、溢れ出すのは明日みたい、警戒するように言われました。それと、ホーリータウンがなかったら、間に合わなかっただろうと、偉い人が言ってました」


 「兄さんも、剣士の人に戦い方を教えてもらってる」

 「え!!ケルフも戦うの?」

 「魔法が使える人は、全員で戦うようにと指示が出て、叔父さんも部隊に入ったのよ」


 「文官までも‥‥」


 「今は、魔力不足だからね‥‥」


 「‥‥ホーリーは、女の子だからいいの?」とリウスが聞く


 「彼女は、ここにいるだけでいいんだよ。魔術師たちは、今、森全体の結界を魔力で強化しているが、この村に、もう1つ、綻びができると、この村も、守らなくてはならなくなる。その為に、僕の移動も許可された。移動魔法陣への魔力提供だ」


 「‥‥‥、では、先生はここに滞在するのですか?」


 「昼間だけだ。ここには、さすがに泊まらないよ。無理だね‥‥」


 「ハハハ、そうですよね。あちらでお茶を入れなおしますね」


 クリフトル先生とホーリー、女の子3人のテーブルは流石に分けて座らせた。


 アデルは、さっき入れたピーチティに興味があるのか、じっと見ている。(飲みたいのか?)


 「先生、お茶のセットが二人分しかないので、さっきの粘土で作成してみたいのですが、ご指導願いますか?」


 「ああ、そうか、いいね。手袋も持参してきた、見本を見せよう」


 また、作業部屋に入り、クリフトル先生は簡単に5客のカップ&ソーサー完成させた。


 「‥‥‥、私も、今と同じように制作するのですよね?」

 「いや、ティーポットがないだろう?」


 「イヤイヤ、そんな大物、無理ですよ。失敗します」

 「私がここまで指導して、できないとは‥‥」


 その場の重い空気に、意を決して挑戦したが、やかんと鍋が合体したようで、脂肪がたまっているティーポットが出来上がった。


 「‥‥‥」

 「なんと言うか、不味そうなポットだな」


 ホーリーは、肩を落として反省しているが、女の子3人の目には『すごーい』と感激して、星がキラキラしている。


 「ホーリー、凄いよ、このポット、真っ白だよ!!」


 え?そこ?ここの粘土は、磁器なの?ぶよぶよのティーポットも、美しい形のカップ&ソーサーも白い、まぁ、先生の作品には、美しい花の絵があり気品が溢れているけどね。


 「ここの粘土だから?」


 「素材とイメージの違いが大きく関係している。研究するにはいい場所だ。あの森がここの土に影響を与えていると考えると、今後は、もっと違う粘土が出て来て、色々、面白くなるかもしれない」


 「研究?」そんな事する暇はありませんと、心の中で訴える。


 あまりにも不細工だったティーポットは、不採用になり、先生が新しくセット用にティーポットを作成してくれて、お茶を入れる。


 3人は、興味深々でお茶の淹れ方を見て、ホーリーが配るお茶を嬉しそうに飲んだ。


 「ホーリー、さっきの果物は何?なんて言う果物?」

 「あれは、桃だよ。私も初めて見て、氷室に入れていたの」と氷室を指す。


 「これは、お肉とか、果物、チーズを入れておくと、冷たくなって、腐りにくくなる箱よ」


 『ほ~~』と言って3人は蓋を開け、『冷たい~~』と言って蓋を閉める。


 「王都は本当にすごいんだね。お父さんの言う通りだ。物価が、物凄く物が高かったって、毎日10回以上言っていたけど、珍しい物だもん、高いはずだよね」


 クリフトル先生が、

 「‥‥桃は、王都の北にある地方でしか取れない貴重な果物だが、良く手に入ったな?」


 「先生のおかげですよ。手袋のお礼にベル商会から頂いたのです」

 「‥‥‥、君のこの無様な手袋が売れたのか?」

 「そうです。腕までの長さで肘の所が搾れるので、取れずに最後まで作業できますので、病院や料理店、汚い現場でも使用頻度が増したそうです」


 「でも、先生用は、短くて、見た目も綺麗ですよね」

 「ああ、私が少し助言したからナ」

 「‥‥‥」


 お茶と軽食が終わると、クリフトル先生は王都に戻り、交代でリリーさんがやって来た。リリーさんは随分と疲れている様で、畑に目もくれず、どっしりと食堂の椅子に座った。


 「リリーさん状況はどうですか?ケルフ達も戦っているのですか?」

 「いいえ、まだ、習っただけ、森の中では剣士様たちが戦っていて、明日の状況次第で参戦する事になると言われているの、そこで相談だけど、年寄りと子供を、ホーリーの家に避難させてくれないか?」


 「もちろん、いいですよ。でも、明日もクリフトル先生が、移動魔法陣の為に来てくれるので、2階で過ごしてもらうようになりますけど、お年寄りは、階段の上り下りは大丈夫でしょうか?」


 「ああ、みんな畑で鍛えているから心配はない」とリリーさんは自信をもって答えた。


 その日のうちに、子供7人と年寄りが2人が2階の何もない部屋に入った、アデルたち3人以外は、赤子が2人、歩き出した幼児が2人で、老人は、子守と家事をしながら、畑仕事もこなす達人だった。


 カーズ村の老人と子供たちは、朝、6時頃から起きて、朝食を食べて、畑に出ている。ホーリーは、賑やか1階でも、頑張って寝ていたが、お年寄りに水が足りないと言われ、何とか起き上がり、朝食を取り、アレクサンダーと水汲みに行く。


 この家の水瓶にも、魔法陣が必要だと真剣に思った。後で、フェリクス先生見てもらおう。


 アレクサンダーは3人からすでに、水と餌をもらっていたので、魔力を与えるだけで素直に運んでくれる。川までの道は、完全に覚えている様で、ケルフでも動いてくれそうだと感じ取った。


 「アレクサンダー、ケルフ、大丈夫かな?村の為に無理してないかしら?」ホーリーは、アレクサンダーに額をつけて心配そうに聞いた。


◇◇◇◇◇◇


 早朝、移動魔法陣からは支援部隊と神官も移動して来た。こんな沢山の人を受け入れられるカーズ村って、本当にすごいと、感心していると、フェリクス先生会った。


 「先生、おはようございます。今日は早いですね。そちらの方は?」

 「ああ、僕の従者たちで、ジモールとユルだ。窯に火を入れるには、僕らだけでは大変だろう?」


 (隣の村では、この国や領土の為に、大勢の人が魔物と戦っている緊急事態に、窯に火を入れていいのだろうか?大体、何を焼くの?)


 「初めまして、ホーリー・ペーターです。この魔馬はアレクサンダーです」


 「魔馬は刻印付きか?」

 「そうですよ。元はペーター家のですが、私が引き取らないと処分されそうだったので、引き取りましたが、今では、頼りになる相棒です」


 「ああ、いい魔馬だ」と言って、2人は、アレクサンダーを撫でてくれる。


 「所で、先生、何を焼くのですか?」


 「初めはレンガだろうな?内装が終わっていない部屋は落ち着かない」


 「は、はい‥‥」


 「土地魔法で、彼らは土が集められるし、レンガくらいは簡単に出来る。1号機にはレンガ、2号機には食器類、3号機には何を入れる?」


 (この人、勝手に窯に名前つけて、火を入れる気満々だよ。危機管理はどこに行った~~)



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