表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/69

第2皇子の依頼①


 第20章


 夏も終わり、ホーリーは9歳になった。9歳になっても最年少で最下層は変化なしだ。


 その中で、変化が見られたのは、フェリクス先生が、たまに指導してくれるようになった事だ。


 きっかけは、樹脂の手袋だった。樹脂の手袋は、以前からあったがフット感が違うらしい。ベル商会は、2人のサイズが分からず、沢山用意してくれたうちの1つが、フェリクス先生の手にピッタリだったようだ。


 庶民の消耗品が、お貴族のお目にかなったと言う事だ。


 それと、基礎魔法で結界魔法を習ってから、陶器の焼き上げも出来るようになった。お皿数枚に結界を張りながら一気に燃やす事が出来たのだ。


 失敗も多いが、ケルフもコツを掴んで、陶芸の練習で毎日が充実している。


 最初の頃は、フェリクス先生の指導を受けているので、嫌がらせや、襲撃に遭うのではないかと、ビクビクしていたが、そう言う事もなく、私たち3人は空気のような存在で、話しかけられもしないが、嫌がらせも受けない。


 理由は、フリーネ伯爵令嬢である。彼女は退学にこそならなかったが、1年間の休学を余儀なくされ、来年、また1年生で入学するらしい、これは芸術教室でながれた噂話であって、真相はわからない。


 そんなこんなで、私たちは、予定通り1年で、退学して帰省できそうだねと、話した翌日の早朝、部屋のインターフォンが鳴り響いた。


 「はい、なんですか?まだ、5時前ですが?」


 「ホーリーさん、至急、第2皇子が面会を希望されています」


 「え?今、こ、困ります。まだ、パジャマで無理です、本当に困ります!」


 「しかし、第2皇子は、すでに、ホーリーさんのお部屋の前で、待機していらっしいます」


 「うっそー!ここは、女子寮ですよ。何?どうゆう事ですか?」と聞いても返事はない。


◇◇◇◇◇◇


 ドアをそっと開けると、皇子といつもの側近たちが立っていた。


 「第2皇子、おはようございます。あの‥‥、どのようなご用でしょうか?」

 「ここでは説明できない、申し訳ないが、入れてくれないか?」


 ホーリーは、仕方なく、手前の小さく仕切りで囲った、机と椅子に皇子を通す。

 「ホーリー、側近たちを廊下で待たせる事は出来ない、彼らにも協力してもらう事があるんだ」


 側近の一人が、建物の見取り図をホーリーに見せ、トントンと指し、もっと広いだろうと示す。


 「女性の部屋なのに‥‥‥」と、ブツブツ言いながら、中に通すと、10人位の側近は全員入って来た。ホーリーのお気に入りのテーブルの上に地図を広げ、皇子はせっかちに説明する。


 「今、君の友達と、マコーミット・カーズ氏にも声をかけているが、君が一番、重要になる。聞く所によると、君は、土地と家を森の近くに持っているらしいね?」


 「ええ、はい、持ってます」


 「その森でスタンピードが起きるらしい‥‥」

 「え?」

 「え!!私の家やカーズ村は、大丈夫なのでしょうか?」


 「今は、森の結界で、溢れ出してはいないが、時間の問題だ。それで早急に部隊を送りたい」


 「早く、送って下さい。お願いします。軍馬でも2日はかかります」

 「そうだ。だから、君の家の起点を使いたい」


 「‥‥‥、起点ですか?起点を使うと、どうなるのでしょう?」


 「本来なら、カーズ村に部隊本部を送り込みたいが、あの村は平民が村長で、屋敷の結界だけが、マコーミット氏になっている為に、移動魔法陣が置けないのだ。村長が、マコーミット・カーズ氏であれば、王都から移動魔法陣がつなげられるのだが。そこで、マコーミット氏の提案は、君だった」


 「しかし、森の向こうの領土にも、所有者がいるのではないですか?」


 「溢れ出しそうな場所が、カーズ村が1番近い」


 「でも、大勢の部隊を送り込むには、広場のような場所に魔法陣を描くのですよね?」

 「君は、もしかして建築資材を運ぶような、想像しているのか?部隊の人間は全員が魔力持ちで、大きな魔法陣は必要ない。どうだろう?君の家の起点の近くに、魔法陣を置ける場所はあるか?」


 「私の家、1軒しかありませんから、どこでも大丈夫ですが、こちらからの魔法陣は、アレクサンダーの馬房の広さで大丈夫ですか?彼も連れて行きたいので‥‥‥」

 「軍馬を持っているのか?では、馬房に移動魔法陣を設置しよう。君にも来てもらうがいいか?」

 「勿論、行きます。心配ですから‥‥」


 「では、準備をして、その馬房で会おう」


 第2皇子軍団は、アレクサンダーの馬房へ移動し、移動魔法陣の準備を始める。ホーリーは、簡単に着替え、箱馬車に氷室や着替えなど適当に箱馬車に移動して、部屋の魔法陣を次々に発動してから、急いでアレクサンダーの元に駆け付けた。


 そこには、既に、ケルフとプレジー、マコーミットさんも待機していて、目で挨拶すると、魔法陣を作っている人たちに駆け寄り、ブレスレットから正確な起点の位置情報を伝え、移動魔法陣を完成させた。


 最初に行くのはホーリー、アレクサンダーと箱馬車、ケルフとプレジー、マコーミットさんと第2皇子の軍団で、その後、精鋭部隊がどんどん送り込まれる。


◇◇◇◇◇◇


 移動を終えると、ホーリーの家の前の広場に、移動魔法陣が、浮かび上がっているのを確認できた。


 「ホーリー、父さんと一緒に入り口を開けて、早く!」   

 ケルフとプレジーは凄く緊張している。カーズさんは、領主様から連絡が入っていたようで、既に、あの小さい入り口で待っていた。


 「うん、わかった。ケルフとプレジーも気をつけてね。マコーミットさんも、何かお手伝いする事があれば、おっしゃって下さい」


 「ありがとう。行って来る」3人はカーズ村へと消えて行った


 その後は、移動魔法陣からは、続々と騎士たちが現れては、カーズ村に移動して行く。お昼ごろには落ち着いてきたようで、移動する人は、文官や後方支援部隊に変わった。


 その間、ホーリーは、家の点検と水汲み、箱馬車に置いてある氷室から食料を出し、食事をした。


 久しぶりの我が家、のんびりお茶をしている場合ではないが、戦う事は出来ないし、料理もいまいちで、ホーリーが、カーズ村に入った所で邪魔になる事はわかっている。


 ここでの待機が自分の仕事だ。


 そして、昼寝、早起き過ぎで、実は眠い、食堂に置いてある揺れる椅子は、昼寝用のベットになっている。


 1時間くらい眠っていると、誰かがドアを叩く「ケルフ?」かと思っていると、フェリクス先生だった。


 「先生!!どうしたのですか?」


 「嫌、ケルフの村で、スタンピードが発生すると聞いてね」

 「!まさか、先生、窯を見に来たのですか?」

 「まぁ、そうだな。所で、この家に結界は張ってないのか?不用心だな」

 「まだ、着いたばかりで、油断してました。すいません」

 「できそうか?」


 「‥‥‥」

 「来なさい、教えよう。領主の結界が弱まり、今回のスタンピードが起きている。この村全体に君の結界を張る事が可能だかどうする?」


 「教えて下さい、お願いします」


 二人で外に出て、窯に案内をしながら、村と家に結界を張る魔法を教えてもらった。

 「結構、魔力を使いますね」

 「まぁ、一度、結界の登録すれば永遠だ、大量の魔力消費も仕方がないだろう。それに、今後は微量だ。今まで寝ていたんだ。これくらいの消費は大丈夫だろう?」


 「はい、そうですね。‥‥所で、この窯はいかがですか?」


 「ああ、いいアイデアだ。下から一気に焼き上げる方法は思っても見なかった。今の結界魔法が役に立つな?」


 「あっ!本当にそうですね。窯全部に結界魔法をかければ‥‥、思いつきませんでした」


 「では、お茶をもらおうか?」


 「‥‥‥」


 「先生、馬車から氷室を魔法で移動できませんか?氷室の中にお茶やお菓子が入っています」


 「‥‥‥」


◇◇◇◇◇◇


 フェリクス先生は、リンさんの移動魔法陣を改良して、ホーリーの家にも移動するようにしてくれた。


 ホーリーは、お茶を取り出し、桃を切り、ピーチティを入れ、少し腕を上げたクッキーにはジャムとクリームを添えて、フェリクス先生にお出しした。


 「平民にしては、趣味のいいお茶だな。気に入ったよ。しかし、平民の家に入ったのは初めてだが、この家は少し変わっていないか?」


 「先生、そこは芸術的だと言って下さい。芸術教室に通って、これからこの壁に色々なレンガを貼るのですよ。夢が広がります」


 「ああ、そうか、まだ、内装が終わってないのか?それなら、仕方がないな~~」


 (内装は終わってますが、価値観の違いをどう説明していいかわからず、無言を通す)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ