13. 黒幕は?
こんにちは!
よろしくお願いします(o_ _)o))
ーー 夕方、5:45、西街入口
バレット、ヴェルティ、ジャンヌの三人は、定刻より少し余裕を持って西街に到着した。
多少息は上がっていたが、軽いウォームアップだとジャンヌが軽口を叩くと、残る二人もクスクスと笑い首肯して同意する。
「さて、そろそろ目的地に向かうとしましょう。 時間も其れ程余裕がある訳では御座いません。」
ヴェルティが促し、街へ入ろうと門を潜る。
門兵らしき者に入場料を支払い、周囲を見渡すと明るさで市街地の方向にアタリを付け歩き出した。
数分も歩かない所で五人の冒険者らしき男達が行く手を阻み、声を掛けてきた。
「おいおいおい、揃いも揃って綺麗どころが何処行くんだよ? オレ達が連れてってやるからよ、遠慮無く言いな?」
その言葉を額面通りナンパと受け取った『楽団』一向は苦笑する。
「お呼びじゃ無いんだよ、むさっ苦しい野郎共が! 散りな!」
ジャンヌが苛立った様子で返答すると、相手は皆一様に腰の獲物に手をやる。
「オイ、ネーチャン。 言葉遣いには気を付けた方がいいぞ? 何せオレらは此処らじゃ有名な『終わりの始まり』パーティの一員だ。 今なら許してやっから、言い直せ?」
ニヤニヤとした笑みを顔に貼り付かせながらそう言うと、バレットが一気に距離を詰め右拳を振りかぶる。
「面白い冗談と、笑えない名詞が出たのぅ。 少し話を聞かせて貰うとしよう。」
そう言って振りかぶった右拳を、目の前の男の肝臓辺りに打ち付けた。
所謂「レバーブロー」と呼ばれるパンチだが、バレットの力で振り抜かれたパンチは男の身体が『くの字」にへし曲がり血反吐を吐きながら飛んで行く。
「あ! テメェ、バレット!」
「早い者勝ちであろ? 一人は残しておく必要があるがな。」
「…残す者は私が。 お二人共、お早めに済ませて下さいまし。 時間は有限で御座いますよ。」
ヴェルティは落ち着いてそう言うと、そのグループのリーダーと思しき男の側まで瞬時に接近し、刃を付けていない尻尾の針を両腿と両上腕の計4カ所に打ち込んだ。
直後、相手の男は棒立ちになって前から倒れる。
メンバー二人の様子に『終わりの始まり』の一人が顔を痙攣らせ、
「て、テメェら何者だ! どうなってやがる!」
と叫ぶも、ジャンヌの肘打ちが延髄辺りに直撃して膝から崩れ落ちた。
残る二人も仕留めた二人はヴェルティの元へと歩み寄り、倒れたリーダー格の男を共に見下ろした。
「ヴェルティ、何やったんだ? 毒? 殺っちまったのかよ?」
「筋弛緩系の毒と血流を隔絶する系統の毒を打ち込んだまでです。 御覧なさいな、意識はしっかりとしているでしょうに。」
ヴェルティに促されてバレットが覗き込むと、確かに意識はハッキリしている様子であり、ジャンヌに向いて頷く。
「さて、それでは必要な情報を伺うとしましょう。 時間もあまりありませんし、必要なら自白させる系統の毒も打ち込めますよ? ただし…後遺症が多々残りますので、ご自分の意思でお話しされる事を推奨致しますが。」
ヴェルティはそう告げると、恐ろしさを兼ね備えた妖艶な笑みを倒れた男へと向ける。
「わ、判った! 何でも聞いてくれ! 全て…全て答えるから、助けてくれ!!」
懸命です、とヴェルティは呟くと、三人による質問タイムが始まった。
ーーーーー
質問タイムを終えた一向は、西街の冒険者ギルド前に立っていた。
「時刻も丁度くらいでしょうか? 何はともあれ、すんなりと全てを吐いて頂いた名も知らぬ方に感謝しないといけませんね。」
「…感謝っつーなら、解毒薬くらい打ってやりゃ良かったんじゃねぇか?」
「その通りだぞ、ヴェルティ。 せめて一件落着して帰る時にまだあのまま寝ていたら打ってやると良かろう?」
「…考えておきましょう。 さて、お二方。 時間ですわ。 迅速に、恨まれる事無く、完璧に仕事を終えて御主人様の元へ戻りましょう。」
「ま、概ねアタシも賛成だ。 サッサと片付けて帰ろうぜ。」
そう言ったジャンヌは、早く帰りたいという欲そのままの勢いに西街の冒険者ギルドの扉を蹴破る。
扉は文字通り蹴破られてバラバラになり、室内に飛んでいった。
その衝撃にギルド建屋内に居た西街の冒険者達がすぐ様立ち上がって武器を構える。
緊迫した空気の中、『楽団』の三人は優雅という単語の如く、堂々と、そして華やかな空気感を持ってギルド内に踏み込んだ。
「ふむ、我々の東街と同じでムサいのぅ。」
バレットが悪態とも受け取れる言葉を吐くと、ジャンヌが吹き出す。
「バレット! お前、もっと言い方もあんだろが!」
「魔獣に語彙を求めるのか? それは中々手厳しい指摘ではないかの?」
そんな会話にヴェルティが割って入る。
「お二方、そこまで。 当初の予定通り、『今件に関わっているパーティの洗い出し、及び殲滅』を優先させると致しましょう。」
「悪い悪い。 バレットはイジり甲斐があって、つい話し込んじまうのサ。 さて、んじゃま一丁暴れ倒しますか。」
「考えなさ過ぎであろう、ジャンヌ。 一先ず関わりがあるかどうかくらい聞いてやらぬか。」
そんな事を言いながらバレットは手近に居た冒険者の胸倉を掴み、持ち上げて聞き込みを始める。
ジャンヌもそれを見て慌てて聞き込みという名の恫喝を行う。
「お二方、程々に。 御主人様の名に傷が付く様な事態になりましたら、不詳ヴェルティ、貴方達と相討ち覚悟で制裁に乗り出しますよ。」
「わーかってるって、ヴェルティ! 御主人の名前に傷付ける程バカじゃねぇよ!」
「その通りであるぞ、ヴェルティ。 ほれ、お主もサッサと聞き込みをせぬか。 我等の仕事ばかりが増えるわ。」
ヴェルティは肩を竦めて軽く溜息を吐くと、周囲を囲む西街の冒険者達では追えない速さで、尻尾の自白毒を乱れ撃ちするのであった。
ーーーーー
ーー夕方、5:50、中央街ギルド前
「オイ、リィナ。 腹は括れたか?」
迅の問い掛けにリィナは徐に首を振る。
「むむむ、無理ですよぅ! 何でジンが居るのに私が色々言わないといけないの!?」
「何でってお前、俺達のリーダーはお前じゃねぇか。 今更何言ってんだよ。」
「私がそういうのダメっぽいからジンが私と組んだんじゃないんですか!?」
涙目になりながら訴えるリィナを見、肩を竦める。
「ったく…、今回だけだぞ? ちゃんと見て聞いて、どんなモンかしっかり肌で感じて覚えろよ?」
迅の一言に涙目のエルフは、ぱぁっと晴れやかな笑顔に変わる。
その笑顔はずりぃぞ、とジト目でリィナを見遣ると、ギルドに向き直った。
「ちっと早いがまぁ問題無ぇだろ。 行くぞ、リーダー。」
「もう! リーダーって呼ばないでって言ってるじゃないですか!」
リィナの訴えをスルーし迅はギルドの扉に手を掛けたが、そのまま押し開かず止まる。
リィナの頭上に?が幾つか浮かぶも、迅の表情より何事かが起きたと判断する。
トンガリ耳をピクピク動かし中の物音を聞こうとすると、怒号や何かの破壊音やらが聴こえてきた。
「…剣は抜いとけ。 いつでも斬るか魔法撃てる準備しとけよ、リィナ。」
「わ、判りましたっ!」
迅はその言葉に頷き、ギルドに入った。
「おぉ、ジンか。 すまんな、今取り込んでんだ。 依頼はまた明日受けに来いや。」
迅の顔を見るや、そう声を掛けてくる人物がいた。
「取り込み中は判ってら。 んな事言うもっと前に、他に言う事があんだろがよ。」
その言葉がスイッチになったのか、周囲の冒険者達の視線も次々と迅とリィナに向けられる。
リィナは身震いするも、ショートソードを握りしめ、背中を迅の背中に預けて対包囲用にシフトする。
そのまま少しづつ建屋内に入ると、見覚えのある顔がボロボロになった様子で迅を見遣り、目が合う。
「ッ痛ゥ…、へへ、格好悪ぃトコ見られちゃったな。」
「お前確か、村に居た…」
「…ギントだ。 『疾風』パーティの、まぁ何だ、一応リーダーって事になってる。 これで二度目だな、サナダの旦那…。」
「さっきも思ったんだが、どう見たってアンタのが年上だろ? 『旦那』付けなんてやめてくれや。」
「ゴホッ…、ランクも実力も、アンタのが上だぜ? …年齢を加味しても、それぐらいは普通さ。」
喋るのも辛そうなギントが自己紹介めいた事を話すと、迅はギントの髪を掴んでいた男を睨みつける。
「オイ、人が喋ってんだ。 その汚ぇ手を離せや。」
アビリティ【近接格闘術、剛】に紐付けされている[威圧]系列の最上位スキル[武神の威]が発動され、ギントの髪を掴んでいた屈強な男が震えながら手を離すと、真っ青な顔で白目を剥き、泡を吹いて倒れた。
迅はスキル発動を心掛けたワケでは無かったが、武道を修めている迅にとって当たり前の動きがスキルの発動になっているモノもある。
[絶対制空領域]にしても、自動発動スキルになっているのは、武道家ならではという事でもある。
「…ジン、邪魔する気か?」
「邪魔も何も、俺はやりたい様にしかする気は無ぇよ。 逆に聞くがな、俺の邪魔をする気かよ?」
「…やはり、お前が立ち塞がるかよ。 チッ、認めるんじゃなかったぜ全く。」
声の主は迅に真正面を向け、傍らの冒険者が持っていた大槌を受け取った。
「…やる気、って受け取るが…構わねぇよな?」
「好きにしろ。 ワシらの計画の邪魔は、全て排除せにゃならん!」
「面白ぇ、やれるモンならやってみろや!
ギルマス!!」
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そしてそして!
とうとうPV30000突破しました!
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