18. 駆け引き-2
こんにちは!
…最近毎度すみません( ;´Д`)
担いだ荷物を床に降ろすと、近くのテーブルが跳ねる。
其れ程までに重量のある毛皮である事が判り、ギルマスは一筋の汗を流す。
「コイツは、もしかして…。」
「あぁ、此処ででも、奥ででも構わねぇから広げてくれ。 買取希望だ。」
ニヤリと口角を上げ、迅は自信たっぷりに言う。
ギルマスはゴクリと唾を飲み込み、丁寧に折り畳まれた毛皮を持ち、迅達を誘って奥の部屋へと進んだ。
奥の部屋は何も置いていない広い部屋であり、大物の鑑定に使用されている様子である。
ギルマスは迅に了解を得ると、縛っていた紐を切り、毛皮を広げた。
「こ、コイツぁ…、マジかよ!」
「緊急依頼の獲物で間違い無ぇか?」
「…あぁ、間違い無い。 こんな個体はまず居ない。 それより何より…、なんでこんなに傷が少ないんだ!?」
「一撃で仕留めたからな。 威力のせいで首の所は少し毛皮が欠けちまってるが…。」
「そんなモン些細な問題だ! この化け物を一撃で仕留めちまう方が余程重大な問題だ!!」
ギルマスが見るからに焦っている。
その証拠に額や頬を流れる汗の量が尋常で無い。
微かに震える手で熊皮を丁寧に鑑定すると、迅へと向き直る。
「お前か、コイツを仕留めたのは?」
「『俺達』だ。 3人の誰かが欠けても仕留め損なってただろう。 結果が『一撃』なだけであって、それまでの過程が無けりゃ多分仕留めて無ぇどころか、あの世逝きだっただろうぜ。」
「…、お前らのギルドカードを寄越せ。 更新だ。 エルフの嬢ちゃんが『ソルジャー』にジョブチェンジするのも、恐らくその『過程』であった何かが要因なのか?」
「あぁ。 まぁ、そんなトコだ。」
ギルマスは納得した様に一つ頷くと、3人を残して部屋を出て行った。
するとリィナが近寄り、小声で迅に話し掛ける。
「ちょっと、ジン…。 私、デッドベアをやっつけるのに何もしてませんよ?」
「あぁ。 だがパーティを組むんだろ? それなりにランク上げて貰わにゃ収入がなぁ。 それに…。」
「それに?」
「今からが本当の勝負だぞ、リィナ。」
言葉の真意が判らず、首を傾げるリィナ。
バレットは既に事態には着いて来ておらず、迅の少し後ろでじっと立って事の流れを観察している。
暫く待たされた後、ギルマスが部屋へと戻ってきた。
「待たせたな。 お前らは特進事例に該当した。 Gの二人はC、Dの嬢ちゃんはBだ。」
「おぉ、ありがてぇ話だが…、可笑しな結末だな? この依頼の条件ってなぁ、どういう条件だったっけか?」
「…何が言いたい?」
「んじゃハッキリ言わせて貰うが、ランクアップが甘ぇんじゃねぇかっつってんだ。 俺達3人でこの化け物を仕留めたっつったな? 依頼条件と照らし合わせて、B一人とC二人で仕留められる獲物だったのか?」
ギルマスは答えない。
答えないと言うより、答えられないのである。
特進事例自体が今迄数える程度しか無い上に、Gランカー二人所属のFクラスパーティがAランカーが相手取る様な魔獣を倒した事例など歴史を遡っても聞いた事が無いのである。
「…兄ちゃん、それならどの待遇なら納得するっつーんだ?」
「パーティのエースアタッカーの俺がAランク、バレットとリィナはBランク、パーティクラスはBクラス以上が希望だ。 これ以上は負からねぇぜ?」
流石に吹っかけ過ぎたか?と迅は考える。
ギルマスが腕を組み、難しい表情をして此方を査定するかの様に見始めたからだ。
だが此処で引く訳にはいかないのは迅の方もである。
CランクとAランクでは受けられる依頼の種類や報酬が段違いである。
生活資金を稼ぐには、当然高条件の方が良い。
暫く無言の攻防が続いたが、その緊張をギルマスが溜息と共に切り裂いた。
「…良いだろう、お前の条件で。 此方としても腕の立つAランカーが増えるのはありがたい話だ。」
「話の判るおっちゃんで良かったぜ。 礼と言っちゃ何だが、熊皮は言い値で構わねぇぜ?」
「…吹っかけるかもしれんぞ?」
その言葉に迅はニヤリと笑う。
「そんな事しねぇ、出来ねぇだろ、おっちゃん? そっち側の人間のニオイがしねぇぞ? 笑わせやがって。」
やれやれ、といった態度でギルマスも笑うと、再びカードを持って部屋を出て行った。
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