12. さて、どうする?
こんにちは!
今回も宜しくお願いします!
女心と秋の空、とは上手く例えられたモノで、移り変わりの激しい心境なんざ読めやしねぇ、と迅は呆然とする。
その直前に顔を真っ赤にしたエルフのリィナに叱責された為であるが、判らんモンは判らんと半ば開き直って身体を拭き上げた。
タオル代わりのシャツをギュっと絞り肩に掛けると水から上がり、昨晩リィナが寝ていた場所へと向かう。
リィナはリィナで頭から湯気が上がりそうな程顔を真っ赤にしたまま、目をグルグルさせて俯いていた。
「な、なんなのよ…。 別嬪さんって…、何が言いたいのよ…!」
などと毒付くも、自身のメンタルを更に追い込む結果となり、顔を覆って熊皮の上でゴロゴロしながら悶絶する。
エルフは美男美女が多い(と言うか全て)種族の為、リィナにそういう事を言うのは決まってそれ以外の種族である。
過去を振り返ると見るからに下心丸出しな男ばかりであった為、適当にあしらっていたのだが、本日ばかりは勝手が違った。
あの朴念仁の唐変木からは下心など微塵も見られない。
それ故なのか、彼の言葉が逆に心に響き渡った感じがする。
「おぅ、お待たせだな。 顔や歯は洗ったか?」
色々と考え込んでいると、不意に迅がやってきた。
驚いてビクッと身体を震わせたが、ゴロゴロ転がっていたのをすぐに止めて身嗜みを整える。
「もうとっくに済ませています! 頭領さんはまだお帰りに、って…キャー! 何で服着てないんですか!?」
「何でって、手拭いもタオルもねぇからシャツで身体拭いたんだ。 …何だよ、俺の半裸なんぞ見てもどうっつー事は無ぇだろ。 ったく、生娘じゃあるめぇし。」
その言葉にカチンときたのか、リィナは迅に向き直って大声で
「悪かったですね! 生娘で!!」
と怒鳴るも、わざわざ純潔宣言してしまった事で再び顔を真っ赤にして俯く。
「お、おう、そうか…。 な、何か悪かったな。 ちっと、向こうで着替えてくらぁ…。」
その宣言に気不味くなり、迅はその場を去ろうと背中を向ける。
迅が動いた証拠である音に反応し、慌ててリィナは止めようと顔を上げると、迅の背中に目が止まる。
「じ、迅…。 その背中や腕は、どうなさったんですか?」
「あ? おぉ、悪ぃ。 変なモン見せちまったな。 出来たら気にしねぇでくれると助かるんだが、…難しいわなぁ。」
そう言って頬を掻く迅の背中は、背中一面に羽根を広げる鳳凰、左腕には蛇、右肩には剣牙虎の刺青が入っており、更には斬り傷や銃創と思われる丸い傷跡が無数にあった。
「その背中や腕の絵は…どうなさったんですか? もしかして…、召喚獣を身体中に!? それに傷跡も背中だけでなく前にもありましたし…、もしかして全身傷跡だらけなんですか…?」
リィナの言葉で刺青文化は無さそうな事が判る。
刺青が特に害にならない事を悟るがあまり見せたいモノでも無いのか、まだ湿っているシャツを着て上半身を隠した。
「召喚獣じゃあねぇよ。 まぁ若気の至りってヤツだ。 傷跡は…まぁ、色々あんだ。 察してくれや。」
珍しく歯切れの悪い迅を不思議に思うリィナであったが、人知れず使っていた探知魔法に頭領豹が引っ掛かったので朝食の段取りを優先する事とした。
「朝から肉とは、最高だな。 いやぁー、若い内臓ってイイや。」
元老人の迅は朝から動物性蛋白質を取った経験など何十年も前の話であり、自然とジジ臭い感想が口から出る。
「何だかお爺さんみたいですよ? 不思議な人ね。」
「完全ニ老人ダナ。 モット若イ発言ヲスル努力ヲシタ方ガイイナ。」
などと言われる始末である為、気を付けないと、と気を引き締める。
「…るっせぇ。 さて、取り敢えずメシも終わったし、サッサと片付けて街に向けて出発するか。」
言うや否や、テキパキと片付けを始める。
リィナも慌てて手伝い、頭領豹は群れの仲間達と何やら話している様子だ。
別れの挨拶なのか、何頭もの黒豹が頭領に擦り寄り猫の様にゴロゴロと鳴いていた。
二人と一頭で『ナイト・パンサー』の群れと別れると、リィナを先頭に街へと歩を進める。
「リィナ、街まではどれくらいの時間で着くんだ?」
「そうですねぇ…、このペースですと、夕方には到着するかと思いますよ?」
そうか、と頷き異世界の街への思いを燻らせる。
しかし昨日の間に片付いていない問題がある。
直近の問題としては、道連れ一号こと頭領豹である。
「なぁ、リィナ。 頭領なんだが、街に連れて入れるのか?」
「え? それは難しいんじゃないですかねぇ…? 多少ランクの上がった冒険者ならともかく、今から冒険者になる人が魔獣の使役って聞きませんし。」
やはり、と言うか当たり前か。
信用の無い人物がいきなり猛獣を従えてきて、はいどうぞからのテロ行為って流れも可能性としてはある。
それを未然に防ぐ、若しくはテロ行為を行なったとて身元が割れる様な状況なら問題が無いという寸法なのである。
「まいったな…。 何かイイ方法はねぇか?」
困った様子でリィナに話を振るがリィナも首を横に振る。
すると頭領が徐ろに口を開いた。
「仕方無イ。 人化スルカ。
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