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VTuberの配信事故!? 画面に映り込んだ「男の手」

「――というわけで、今週のフリートークはここまで! 次のコーナーは『みんなの甘酸っぱいお・も・い・で』だよ!」


夜の 8 時。自宅の自室で、俺はデスクトップ PC の画面をぼんやりと眺めていた。

画面の中で動いているのは、大人気新人 VTuber・夢咲あいり。

学校では誰をも寄せ付けない『高嶺の花』である彼女が、モニターの向こう側では、とびきりキュートな笑顔を振りまいている。


『えーっと、リスナーのみんなから届いたお便りを読むね……「学校で気になる子が冷たくて話しかけられません」だって? ふん、そんなの勇気を出してこっちから話しかければいいのにねー。素直になれないんだから』


(……どの口が言うんだよ)


心の中で思わずツッコミを入れる。

数時間前、放課後の資料室で「君としか話したくない」と赤面しながら耳元で囁いてきた同一人物だとは思えない。この強がりな二面性こそが、彼女の最大の魅力なのだが。


コメント欄には「あいりちゃんのツンデレ最高!」「今日も声が尊い」といった絶賛の弾幕が流れている。

いつも通り平和に進むはずの配信だった。――あのハプニングが起きるまでは。


「ええと、次のコーナーに行く前に、ちょっとお茶を……っと」


画面の中で、あいりは机の上に置いてあったマグカップを取ろうと手を伸ばした。

だが、その瞬間。机の端に置いてあった、一冊の分厚い資料ノートがバランスを崩して傾いた。


「あ……っ!」


ガタッ、と画面が大きく揺れる。

ノートが床に落ちかける直前、画面の隅――配信用の配信用カメラの死角から、スッと一隻の手が伸びてそれを支えた。

もちろん、それは彼女の手ではない。男性の、引き締まった骨ばった手だった。


一瞬の静寂。

リスナーのコメント欄の流速が、ピタリと止まった。


『……ん? 今の男の手じゃなかったか?』

『待て待て待て、今の誰だ!?』

『あいりちゃん、部屋に男いるの……!?』

『まさかの彼氏バレかあああああ!?』


コメント欄は一気に阿鼻叫喚の嵐へと変わった。

配信画面の向こうで、あいりの動きが完全にフリーズしているのがわかる。銀髪の頭が真っ白になっているのが画面越しでも伝わってくるほどだった。


「っ……ち、違っ! これは、その……!」


焦ったあいりは、慌ててカメラの角度を無理やりグイッと手前に引き戻した。

画面いっぱいに映し出されたのは、耳の先まで真っ赤に染め上げ、涙目になりかけている彼女の顔だった。


「ち、違うからね!? 今のはその……野良の妖精さんだから! もしかしたら学校の怪奇現象かもしれないし! ……って、そんな言い訳通じるわけないでしょバカ!!」


『野良の妖精は草』

『怪奇現象(イケボ)』

『言い訳が可愛すぎて逆に怪しいwww』

『おい、今の男、名乗り出ろ! 決闘だ!』


コメント欄のツッコミの弾幕はさらに加速していく。

顔を両手で覆い、机に突っ伏して「もうお嫁にいけない……」とガチで頭を抱え込むあいり。

見ているこっちは冷や汗ものだが、その慌てふためく姿があまりにも可愛くて、思わずスマホを手に取っていた。


数秒後、俺の手元のスマホがブルッと震れた。

画面に表示されたのは、夢咲あいりからの焦り切った一通の LINE 通知。


【夢咲あいり】


ど、どうしよう……!! 助けて、全部あんたのせいだからね!! 責任取ってよーーっ!!///


モニタの向こうで真っ赤になっている彼女を想像して、俺は苦笑しながら、そっと返信の文字を打ち込んだ。

【作者より】

第23話をご覧いただきありがとうございました!

ついに訪れた(自業自得の)配信事故!? 慌てるあいりちゃんの反応はいかがでしたでしょうか?

「続きが気になる!」「甘すぎる!」と思っていただけたら、下の『★評価』やブックマーク登録で応援していただけると、次の執筆のすごいエネルギーになります!


次回(8:00更新):『翌日の学校。高嶺の花がクラスメイトの前で見せた、想定外の行動とは――?』

お楽しみに!

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✨ ここまでお読みいただきありがとうございます! ✨

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