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1000万円で復活の一日  作者: 香詠 Koei
その2 「指輪編」
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その2「指輪編」 第2話:25年後、ようやく彼女に再会した

望月誓はカフェでコーヒーを飲みながら、イナンナと「彼女」が来るのを待っていた。ポケットから、世界に一つだけの銀製の指輪を取り出し、あとで彼女に直接手渡すつもりでいた。30分ほど経った頃、道路の向かい側にイナンナの赤いスポーツカーが停まった。金髪のイナンナが降りると、反対側のドアからもう一人の女性が降り立った。二人は連れ立って、カフェへとゆっくり歩いてきた。


カフェまであと10メートルほどの距離に迫ったとき、ようやく彼はその女性の顔を正面からはっきりと見ることができた。(灯里だ、本当に彼女だ!)彼の胸は高鳴り、心臓の鼓動が速くなる。そしてさらに距離が五メートルまで縮まった時、女性も彼に気づいた。しかし、25年ぶりの再会となるかつての恋人を目にした彼女の表情は、驚くほど平静で、何の嬉しさも見せてはいなかった。望月誓は少しだけ失望したが、それでも十分に理解していた。相手は何よりも他人の妻であり、自分はその人の人生における、ただの脇役に過ぎなかったのだから。


やがて二人の女性がテーブルに到着すると、望月誓が立ち上がって席を勧めた。イナンナは女性のために椅子を引き、座らせてから、二人の時間を邪魔しないよう、自分は先に席を外すと二人に告げた。


イナンナがいなくなると、望月誓はひどく気まずくなり、何を話せばいいのか分からなかった。彼の目はただひたすらに、目の前の女性をじっと見つめている。ついに彼は勇気を振り絞り、沈黙を破って最初の言葉を口にした。

「灯里、久しぶりだね。最近、楽しく暮らしているかい?」


灯里もまた彼をじっと見つめたまま、言葉を返さず、ただ静かに頷いた。驚きの表情こそ見せていなかったものの、彼女の内心は非常に緊張していた。だから席に着いてからも、両手をテーブルの下に隠し、ずっとハンドバッグを握りしめていた。しかし、望月誓の最初の一言で二人の間の沈黙が破られた瞬間、灯里の張り詰めていた気持ちも、すぐにほぐれた。彼女はまずハンドバッグを隣の椅子に置き、それから両手をテーブルの上に出し、メニューを取って、飲み物を注文しようとした。


まさにその時だった。望月誓の目が、灯里の左手の薬指に嵌められた、「存在するはずのないもの」を見つけた。


友人に特別に作ってもらった銀製のプロポーズリングは、世界に一つだけのはずだった。今、自分のポケットにしまってある一つを除いては、この世に二つ目など存在しないはずのものだった。しかし、間違いようもなく、その「二つ目」が、今、灯里の薬指に光っていた。


彼も自分の指輪をもう一度ポケットから取り出し、それが灯里の指にあるものと完全に同じであることを確かめると、ようやく全てを悟った。彼は自分の指輪をテーブルの上に置き、静かに言った。


「君の夫は、つまり、私なんだね?」


灯里はテーブルの上の指輪を見つめ、それから自分の指にあるそれへと視線を移した。しばらく考えてから彼女もようやく理解し、望月誓を見つめながら、小さく頷いた。


望月誓は灯里の瞳をじっと見つめながら、何かがおかしいと感じていた。若かった頃、付き合い始めたばかりの時を思い出す。あの頃の望月誓はいつも緊張していて、恋人を不機嫌にさせてしまうのを怖れ、灯里の表情や様子を注意深く観察していたものだ。そして今、同じようにして灯里を観察した彼が感じ取ったのは、相手がまったく楽しくなさそうだ、いや、ひどく悲しんでいる、ということだった。


「私は……君に優しくしていたかい?」


灯里は再び頷いたが、言葉はない。そしてその時、望月誓はようやく、何がおかしいのかを悟った。彼女の目だ。今にも涙があふれ出しそうなのを、必死に堪えている目だった。


「私たちの間には……子供はいるのかい?」


「ええ……娘が、一人……」


そう言った瞬間、灯里の鼻の奥がツンとなり、肩が小刻みに震え始めた。大きく息を吸い込んだ拍子に、ついに抑えきれず、「うっ」と声を漏らして泣き出してしまった。


その様子に望月誓も驚き、何かまずいことを言ってしまっただろうかと思い、優しくこう声をかけた。

「何か辛いことでもあるのかい?よかったら話してごらん、力になるから」


だが、望月誓がそうやって優しく気遣えば気遣うほど、灯里はますます声を上げて泣くのだった。


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