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1000万円で復活の一日  作者: 香詠 Koei
その2 「指輪編」
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13/23

その2「指輪編」 第1話:もう一度、ただ一目だけでも

依頼者情報

依頼者名:望月もちづき ちかい

職業:シェフ (料理長)

復活対象:恋人・田中たなか 灯里あかり


イナンナはスマートフォンに依頼者のデータを入力しながら、依頼者と復活対象の状況をおおまかに把握すると、望月誓に言った。


「復活対象がこちらの時空で亡くなってから、すでにかなりの年月が経っています。ですから、我々のサービスで彼女を復活させたとしても、その容姿は、あなたが想像されているものとは大きく異なっている可能性がありますが、心の準備はよろしいですか?」


「それは分かっています。先ほどあなたが説明してくれたように、『復活』というのは、別の時空でまだ生きている同一人物を、我々の時空に一日だけ連れてくるということですよね。もし弟子が強く勧めてくれなければ、世の中にそんな技術があるなんて信じられなかったでしょう。でも、これが詐欺でないのなら、どうしてももう一度、彼女に会いたいんです。たとえ一日だけの再会のために1000万円を払うことになっても、構いません」


イナンナは言葉を続けた。

「データによると、存命の彼女は現在48歳。そして、いかなる他の時空においても、彼女は結婚しており、配偶者は、どの時空でも同一人物です。この点について、何か問題はありますか?」


心の準備はできていたものの、四半世紀もの間ずっと思い続けてきた恋人が、実はとうの昔に別の時空で誰かの妻になっていたと知り、心が痛まないわけがなかったし、嫉妬しないと言えば嘘になる。だがそれと同時に、望月誓は灯里が別の時空で幸せを見つけていることを嬉しく思い、そして、その夫が彼女を支え、共に歩んできてくれたことへの感謝の気持ちも湧いてきた。


「もちろん、それは問題ありません。何しろ、お互いにもういい歳ですから、彼女が結婚しているのはごく自然なことです。深く考えているわけではないんです。ただ、もう一度だけ彼女に会い、心の奥にしまってきた言葉を伝えられれば、それで長年の願いは叶うんです」


イナンナは納得したように頷くと、席から立ち上がりながら言った。

「それでは、私が彼女をここへ連れてきます。到着までおよそ30分ほどかかります。どうか、それまでお待ちください」

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