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特別編 懲罰部隊 第3部 第5章 装甲普通科隊と装甲機動隊

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です

 日本共和区統合省防衛装備本部庁舎で、自衛隊側のトップである出師陸斗(いずしりくと)陸将は、執務室で背伸びした。


「さて・・・今日も忙しい・・・」


 出師は、執務室の前に設置されている副官室に、内線をかけた。


「コーヒーを頼む・・・」


 その時、執務室に人の気配がした。


「・・・・・・」


 その気配が誰なのか、すぐにわかり、言葉を失ったのであった。


「ヤッホー!」


 執務室に設置されている応対用のソファーに腰かけた人物が、手を振った。


「女史。普通に入るという選択肢は、無いのですか?」


「う~ん・・・無いかなぁ~」


「そうですか・・・ミンダナオ島で、物資を海輸していた[ラニーミード]級汎用揚陸艇に不法侵入して、在比米軍の兵站態勢の資料をコピーし、それを日本共和区のマスコミや新世界(ニューワールド)連合・民事局のマスコミ各社にリンクした」


「えへへへ」


「えへへへでは、ありません。恐らく、女史の事です。防衛装備本部の資料室には、行かれたのでしょう・・・?」


「もっちろん!」


「守衛職員が警戒していたはず、ですが・・・その方は・・・?」


「う~ん。多分、大丈夫かな・・・イズっち、防衛装備本部の警備態勢を、変更した・・・?」


「誰かさんが不法侵入しますから、警備態勢を変更しなければなりません。防衛装備本部総務部の警備課の責任者になった人物は、不法侵入に対して絶対に許さないと、公言している人物です。保安局警備本部から出向してきた警備事務官で、その補佐官には、日本共和区大手の警備会社の相談役を務める人物が抜擢されました」


「へぇ~」


「その2人は、これまで貴女が執筆した不法侵入に関する本や論文を読み、完璧な警備態勢を構築したセキュリティで、貴女を待ち構えていました・・・ですが、結果は・・・?」


「私の勝ちぃ~!」


「はぁ~・・・」


「ため息を吐くと、幸せが逃げていくよぉ~」


「彼らを推薦したのは、私なのです・・・警備本部から出向してきた警備事務官も、大手警備会社の相談役を務めている者も、元は警察官僚であり、警察庁警備局や生活安全局に勤めていました・・・」


「彼らの肩書に傷がついたねぇ~私、すご~い」


 胸を張る謎の人物・・・


「お待たせしました。陸将、コーヒーです」


 副官が、入室する。


「あれ・・・?」


「ヤッホー!」


 副官がいるはずの無い訪問者に、目を白黒させている。


「君も聞いているだろう。不法侵入の常習犯だ」


「え~と、飲み物は何になさいますか?」


「昨日まで暑いところにいたから・・・アイスコーヒーをお願い」


「かしこまりました」


 副官は、出師にホットコーヒーが入ったカップを置くと、不法侵入者のために飲み物の準備を行った。


「出来た副官だねぇ~」


「どうしたらいいか、わからない。と、言った方が正しいですよ」


「え~そうかなぁ~?私が司令官や指揮官クラスに面談していると、副官の行動は、その場に立ちすくむか・・・又は、『警備を呼んできます』なんだけどなぁ~」


「貴女については、防衛局長官及び防衛装備本部長官から通達を、受けています」


「通達?何々?」


「後で、貴女の、お兄様が謝罪に来るから、何もしないように・・・と」


「・・・・・・」


 その人物から、笑みが消えた。


「もしかして・・・この事を、お兄様に報告するの?」


「もちろん、します」


「それは、ダメェェェ~!!!」


「ダメですか・・・?」


 出師が、キョトンとした顔をする。


「絶対にダメェェェ!お兄様に叱られるぅ~お兄様の拳骨は怖いぃ!」


「そうですか・・・では、ご子息に報告しましょうか・・・?」


「それもダメェェェ!隼也のカミナリが落ちる。隼也のカミナリは怖いぃ!」


 だったら、不法侵入など、しなければいいのに・・・


「では、誰に報告したらいいですか?」


「誰にも、報告しちゃダメェェェ!!」


「そうですか・・・」


「私のささやかな頼みを、聞いてくれるぅ?」


「ささやかですか・・・」


「うぅ~・・・」


「そのような目で見ても、駄目です」


「メソメソ・・・」


「ウソ泣きも、いけません」


「うえ~ん。おじさまが、か弱い美少女をいじめる・・・」


「はぁ~・・・」


 出師が、ため息を吐く。


「では、見返りを・・・」


 その時、内線電話が鳴った。


「はい」


 出師が、内線電話の受話器を耳に当てる。


『陽炎団・団長の、本庄慈警視監がお越しです』


「わかった。すぐに通してくれ」


「女史。見返りで、今回の件を不問にするつもりだったのですが・・・本庄警視監が、お越しになりました」


「・・・・・・」


 女史の顔から、血の気が引いた。


「ど、どうしてぇ~!?お兄様が、ここに来るのぉ~!?お兄様も暇じゃないのにぃ~!?」


 コンコン。


 ノック音と共に、副官が入室した。


「本庄団長を、ご案内しました」


「失礼します」


 本庄が、入室した。


「おや、先客がいましたか?」


 別に、驚く風でもなく、本庄はチラリと女史を見やる。


「へ?」


 いつもと違う本庄の反応に、女史は面食らったように、間の抜けた声を上げた。


「女史。フィリピン派遣警察局から、作戦案が提出された。警察総監部警備本部管理下の装甲機動隊を、使いたいと・・・」


「あ・・・あぁ」


 女史が、納得した。


「装甲機動隊は、警察の秘匿部隊であり、防衛装備本部自衛隊の秘匿部隊である装甲普通科隊と共同で、研究・訓練中の部隊です。我々が投入するのであれば、貴方がたも投入してはいかがかと・・・」


「女史。貴女が、今回、ここに訪問した理由もそれですか・・・?」


 出師が、女史に顔を向ける。


「こほん」


 女史は、咳払いをする。


「はい、装甲普通科隊・・・通称[鬼武者部隊]を、投入したいのです」


「陸自の装甲普通科隊及び警察の装甲機動隊は、在日米軍の監督下で、日々訓練と評価の最中です・・・彼らの存在を明るみにするのは・・・」


「海上自衛隊では、秘匿潜水艦が建造中・・・すでに、攻撃型原子力潜水艦が実戦に投入されているのに、彼らを使わない・・・マスコミ関係各社も気付いていますよぉ~自衛隊は、戦略型原子力潜水艦又は戦域型原子力潜水艦を、極秘裏に配備している。という事を・・・」


「それは貴女が、バラしたのでしょう・・・?」


「てへっ、バレた?」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「確かに、防衛装備本部自衛隊監督下で、戦略型原子力潜水艦又は戦域型原子力潜水艦に類する原子力潜水艦を、台湾の秘密自衛隊統合基地で、試験航海を行っています。ですが、それだけの事です・・・」


「そこは、問題じゃないんだな・・・」


「そこ・・・では無い」


「うん」


「では、何が問題なのでしょうか・・・?」


「それを聞いちゃう?」


「・・・・・・」


 戦略型原子力潜水艦又は戦域型原子力潜水艦が配備されているという事は、搭載されている弾頭ミサイルは、核弾頭が搭載されているかどうか?である。


 この件に関しては、防衛事務官、自衛官、政治家、議員、警察、海保で、ごく一部の者に伝えられている。





 装甲普通科隊・・・


 アメリカ合衆国陸軍及び海兵隊で、次世代歩兵の重装備化という事で、アメリカ軍需産業が開発した、人工知能搭載の一種のパワードスーツである。


 このパワードスーツを装着すると、身長2メートル、体重500キログラムになる。


 このため、パワードスーツを装着するには、身長180センチメートル、体重100キログラム以上の体格の男性でなければならない。


 このパワードスーツは、従来のパワードスーツのように身体を補助するために、開発されていない。


 あくまでも次世代歩兵としての戦闘を想定したパワードスーツである。


 そのため、防弾性能及び防爆性能も高められており、頭部及び胸部の装甲板は、7.62ミリライフル弾の直撃に耐えられる設計がされている。


 背中部分も、7.62ミリライフル弾の直撃に耐える事が出来る。


 腹部及び腕や足等でも、6.8ミリライフル弾の直撃に耐える事が出来る。


 関節部分や身体を動かす部分は、剛柔性のある特殊なゴム製であるため、ナイフ等の刃物攻撃を防ぐ事が出来る。


 武器としては、専用のガトリングガン又はロケット弾発射筒を装備するか、近接戦闘用に開発された、戦斧又は大剣を使用する。


 戦斧も大剣も、それ専用に開発されたものである。


 次世代歩兵用戦闘パワードスーツを着用していない者が持つには、あまりにも重すぎて困難である。


 戦斧の破壊力は強大であり、主力戦車の複合装甲版を凹ますぐらいの威力であり、非装甲車両であれば、破壊する事も可能だ。


 次世代歩兵用戦闘パワードスーツを装着すると、搭載された人工AIが、装着した者の体調、精神状態、発汗量、血圧、血液の流れ、脳波等の情報を収集し、健康体そのものだった頃のデータを元に、最適な薬品投与が行われる代物である。


 ただし、薬品は補助的なものであり、比較的に好戦的にする訳では無い。


 さらには音楽療法等を行う事も出来る。


 このため、次世代歩兵用戦闘パワードスーツを装着した状態であれば、ある程度に戦闘後ストレスやPTSD等の抑制する事が出来ると、期待されている。


 さらに、それらのデータは、司令本部がモニターしているため、兵士個人個人の身体的状況や精神的状況を把握しているため、状態によって、戦闘の継続や戦線後退の指示も的確に出す事が出来る。


 しかし、まだテスト段階であるため、アメリカ陸軍及び海兵隊でも実践に投入されていない。


 アメリカ合衆国は次世代歩兵の在り方のため、各国と意見交換するため、次世代歩兵用戦闘パワードスーツを同盟国に輸出した。


 その1つが、日本である。


 日本では防衛装備庁主体となって、陸海空自衛隊派遣された自衛官で編成された自衛隊統合任務部隊装備評価試験部隊で、次世代装備品の評価試験を行った。


 その傘下の部隊の中に、装甲普通科隊がある。


 自衛隊体育学校に属する陸上自衛官で、身長180センチ、体重100キログラムの男性を集めて、装甲普通科隊に装甲普通科中隊に所属させた。


 装甲普通科隊は、本部、本部管理中隊、装甲普通科中隊、後方支援中隊で、編成された隊編成の部隊だ。


 単に身長180センチ、体重100キログラムの男性陸上自衛官が必要と言う訳では無く、体育学校に属する学生でなければならない。


 基本的には、体育学校対象競技種目からレスリング、ボクシング、柔道から優先的に選抜していたが、それ以外の種目出身者も存在する。



「装甲普通科隊及び装甲機動隊のフィリピンへの投入は、真[オペレーション・THK]の部隊行動案を拝見して、知っていますが・・・どのように使うのですか?秘匿部隊であり、試験評価中の部隊でもあります。それなりの実戦データが取得出来なければ、世間に明るみにする必要はありません」


 スタッフが淹れたコーヒーを飲みながら、出師が口を開く。


「もっちろん、装甲普通科隊及び装甲機動隊が活躍出来る現場に、投入しますぅ~」


「ふむ・・・装甲普通科隊は、兵士相手を想定して訓練を行っているが、装甲機動隊は暴徒化したデモ隊等を制圧するためと、火災現場のビルや倒壊寸前のビルでの要救助者を救助するために編成されている。自衛隊のように戦闘が目的では無い・・・」


「嘘はいけないなぁ~お兄様・・・いえ、本庄慈警視監」


「なんだと?」


「装甲機動隊は、確かに暴徒化したデモ隊やビル火災や地震等の災害で倒壊寸前のビルから要救助者を救助するために研究と評価・訓練を行っている・・・でも、それはマスコミにバレた時に使う、カバーストーリーでしょう?」


「・・・・・・」


 本庄は、コーヒーカップに口をつける。


「本当は、テロ対策及び要人の警護を目的とした訓練と、評価を行っている。そうでしょう?」


「それは、警察の最高機密だ」


「あぁ~認めたぁ~!!」


「うるさい!」


 ポカン!


 本庄の、拳骨が落ちる。


 警察総監部警備本部傘下で評価・試験・訓練を行っている装甲機動隊は、警察庁警備局傘下で評価・試験・訓練を行っていた時に、隊員の選抜方法は、全国都道府県機動隊、管区警察局機動隊の武道小隊に所属する機動隊の警察官から体力、知力、身体的に健康な男性を選抜し、さらに厳しい選抜基準を設けて、選抜された警察官を集めた。


 機動隊としての能力はもちろんの事、捜査官としての捜査能力、犯人の生死を問わない制圧力を持つ優秀な警察官を選抜した。


 自衛隊のように体育学校に在籍する者のみで選抜した訳では無く、かなり規模を大きくした選抜方法を採用した。


 ただし、当時の警察庁警備局の上層部の圧力により、特殊急襲部隊(SAT)、銃器対策レンジャー部隊、銃器対策部隊、NBC対応部隊、特殊救助隊等のテロ対処部隊や専門性の強い部隊からは、隊員を引き抜いていない。


 あくまでも機動隊傘下の武道小隊から選抜・採用した。


 目的としては、デモ隊暴徒化対策、災害救助であったが・・・これは表向きの話である。


 実際は、次世代歩兵用戦闘パワードスーツは、アメリカと同盟国だけに広まったように見えたが、アメリカと同盟関係に無い仮想敵国や対立国でも、似たような装備が開発・評価試験を受けている事が把握された。


 そのため、将来的にはテロリストやゲリラ等にも次世代歩兵用戦闘パワードスーツが配備されると危機感を覚えた警察庁警備局は、それらに類する装備を持ったテロリストやゲリラを検挙するために研究・評価・訓練を行っている。


「それで、何に使うのだ?」


 どうやら本庄は、それを問い質したかったらしい。


「簡単だよぉ~石垣君の警護と、包囲網を突破するための作戦に、使うの~」


 ブゥゥゥゥゥ!!


 2人の中年男性が同じタイミングで、コーヒーを吹き出した。


「なんですか、それ?」


「おいおい、そのために使うのか・・・?」


「だって、ひー君との約束が、あるもん!絶対、約束は守るもん!」


 言葉遣いはアレだが、女史の表情は極めて真面目である。


「・・・陸将」


 1つため息を付いて、本庄は出師に向き直った。


「私が責任を取ります。ここは、彼女の要請を受け入れてくれませんか?」


「・・・わかりました」


 本庄に、そこまで言われては、無下にも出来ない。


 承諾するまでに、タイムラグがあったのは、何だかんだ言っても妹のような存在である女史に対して、激甘である本庄に、呆れただけである。

 特別編 懲罰部隊 第5章をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

 次回の投稿は4月18日を予定しています。

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