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特別編 懲罰部隊 第3部 第4章 X部隊とは

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です

 フィリピン諸島ミンダナオ島。


 菊水総隊陸上自衛隊第14機動旅団第15即応機動連隊管轄区域。


『敵襲!』


 無線機に響く声は、どこか悲鳴に似た声だった。


「兵力は?」


 中隊長である3等陸佐が、中隊指揮所の地下施設で、無線で聞いた。


『M3[スチュアート]を3輌含む1個歩兵中隊が、前進中!』


「M3[スチュアート]・・・敵は、軽戦車3輌を含む歩兵中隊に、間違いないか!?」


『間違いありません!』


「了解した!貴官の小銃小隊のみでも対処出来る兵力だが・・・敵は、残存部隊と言っても米英比連合軍だ。ただちに、火力支援中隊による火力支援を要請する。近くに16式機動戦闘車の小隊が展開している。彼らも急行させる」


『了解しました!それまで、監視を続行します』


 そこで無線が切れた。


「中隊長。最近になって、敵部隊との遭遇率が増加しています」


 情報担当の係幹部である2等陸尉が、報告する。


「中部方面特科連隊傘下の第14特科隊に連絡し、敵陣地に対して砲撃を実施するよう連隊本部に具申しては、いかがですか?」


 運用・訓練担当の係幹部である2等陸尉が告げる。


 他の係幹部たちも、頷く。


「これまでの遭遇は・・・どのくらいの規模だ?陸海空で、報告してくれ」


 中隊長の言葉に、情報担当の係幹部が、ミンダナオ島と周辺海域の地図を広げる。


「第15即応機動連隊の指揮下に置かれた第2外人普通科連隊が、敵中に孤立してからの情報です・・・スール諸島を拠点に、米英比連合軍は残存部隊に加えて、増援部隊を組み込んだ状態で、ミンダナオ島での非正規戦闘を繰り広げています。非正規戦闘には歩兵部隊のみによる遊撃戦もあれば、軽戦車を使った遊撃戦もあります。さらにホロ島の飛行場から爆撃機を発進させて、ミンダナオ島を含むフィリピン諸島への空襲を実施しています」


「それに関しては帝国陸軍航空隊及び海軍航空隊が迎撃戦闘機を出撃させて、爆撃機や護衛戦闘機を迎撃しているな」


「はい。ホロ島の飛行場に関しても、帝国海軍の高速戦艦及び重巡洋艦による艦砲射撃と海上自衛隊の護衛艦による精密誘導の艦砲射撃で、たびたび無力化していますが・・・」


「敵は、恐るべき工兵部隊による建設工兵活動によって、飛行場を修復しています・・・」


「うむ・・・」


 運用・訓練担当の係幹部の報告に、中隊長が腕を組む。


「帝国陸海軍も我々の史実の教訓から・・・無理な上陸作戦や侵攻エリアの拡大には、消極的です・・・」


「そうだったな」


 菊水総隊司令官付と組む作戦チームから派遣された幹部自衛官が、聯合艦隊司令長官を含む陸海軍の高級幹部たちに、自分たちの史実を教えて、さらには、彼らの作戦行動を批難した。


 天皇陛下も、中国との戦争に、まったく勝利出来ない事を知り、原因は陸軍の無謀な作戦行動にあると考え・・・厳しく陸軍首脳部を叱咤した。


 そのため、陸海軍は、補給態勢と海上交通路の安全確保が重要であると考え、無理に戦線を拡大するよりは、海上防衛と海上警備・・・本土の防衛態勢を構築する事を、優先した。


 そのため攻勢が、よちよち歩きなのである。


「ある意味では・・・あの無能な2等海尉は、正しい事をしたと同時に、間違った事もしてくれた。という事だな・・・」


 中隊長の言葉に、幹部たちは頷いた。





「射撃用意!」


 小銃小隊長である2等陸尉が、叫ぶ。


 偽装された96式装輪装甲車の車長席から上半身を出した状態で、双眼鏡を覗く。


 隣の銃座では、12.7ミリ重機関銃のレバーを2回引き、機関銃手が狙いを定める。


「16式機動戦闘車の砲撃音と同時に、射撃を開始!」


 小銃小隊長が、無線機に叫ぶ。


 周囲の樹木や繁みに潜んでいる小銃手及び無反動砲手、機関銃手が、銃器の照準器を覗く。


 16式機動戦闘車の砲音が、響く。


 彼らの前方100メートル程の距離で前進するM3[スチュアート]3輌を基幹とする1個歩兵中隊の叫び声が、聞こえたような気がした・・・


 しかし、その前に3輌のM3[スチュアート]が、105ミリ砲から発射された対戦車榴弾に被弾し、爆発炎上した。


「発射!」


 16式機動戦闘車の砲音を聞いた瞬間、84ミリ無反動砲を構える砲手が叫んだ。


 84ミリ無反動砲の砲口から閃光が発し、装填された榴弾が発射される。


 発射された榴弾は、ジープに被弾し、ジープが爆発炎上した。


 突然、戦車3輌と指揮官が搭乗しているジープが爆発炎上し、敵軍は大混乱した。


 再び16式機動戦闘車の砲音が響き、装甲兵員輸送車や高射砲を搭載した装甲車に対戦車榴弾が被弾した。


 装甲兵員輸送車や、高射砲を搭載した装甲車も、爆発炎上した。


 残された歩兵や工兵は、闇雲に手動装填式小銃、機関銃、短機関銃等を乱射し始める。

 

 89式5.56ミリ小銃や5.56ミリ機関銃NIMINIを装備する小銃手及び機関銃手は、照準補助具を装着しているため、正確な照準で、射撃を行う。


 木の上で、身を隠している小銃小隊の指揮下に置かれている狙撃手と観測手は、生き残った指揮官クラスを探し、発見すると、その頭部にM24対人狙撃銃の7.62ミリライフル弾を命中させる。


 無反動砲手は、ジープやトラックに無反動砲の砲弾を撃ち込み、爆発炎上させる。


 狙われていたジープが、停車状態では狙われると気づき、ジグザグ走行しながら7.62ミリ重機関銃を乱射させた。


「中隊火力支援!」


『了解!』


 小銃小隊長が、中隊内で編成されている迫撃砲小隊に連絡した。


 81ミリ迫撃砲L16を装備する中隊麾下の迫撃砲小隊が返答した後、迫撃砲弾を装填する指示を出した。


 少しした後、迫撃砲弾の飛来音が響いた。


 ジープがジグザグ走行する地点に、迫撃砲弾が着弾する。


 炸裂音と共に破片が飛散し、非装甲のジープに襲い掛かる。


「撃ち方やめ!」


 異変に気付いた小銃小隊長が、射撃中止の合図を出す。


 小銃小隊の隊員たちが、射撃をやめる。


 白煙が薄れると・・・手を挙げている兵士がいた。


 それも、1人や2人では無い。


 10数人規模の兵士たちが、手を挙げている。


「銃器や手榴弾、ナイフ等の武器を地面に置け!ゆっくりと・・・だ!」


 小銃小隊長が拡声器で、英語で警告する。


 警告を受けた兵士たちは、言われた通り、小銃や銃剣を地面に置き、手榴弾も地面に置いた。


「ジープに乗っている者は、エンジンを切って、ジープから離れろ!」


 生き残ったジープに搭乗する兵士が言われた通り、エンジンを切って、下車する。


「1班!2班!前進!3班は、前進の援護!」


「ドローンからの情報では、周囲に敵影はいません!」


 ドローンの操作員が、報告する。


『おかしな真似をする奴は撃て!巻き添えは気にするな!!』


 小隊長付陸曹の声が、響く。


「そうだ。敵は俺たちを殺そうとしている。何を考えているか、わからない。疑わしきは殺せ!だ」


 小銃小隊長も、告げる。





 菊水総隊陸上自衛隊第14機動旅団第15即応機動連隊・宿営地。


 連隊指揮所が置かれている木造の建物内では、会議が行われていた。


「南方作戦総監部から、新たな部隊行動方針が決められた」


 第15即応機動連隊・連隊長の樫原(かしはら)(かおる)1等陸佐は、連隊の幕僚たちを見回して、言葉を発する。


「真[オペレーション・THK]・・・?前回、届いたのは[オペレーション・THK]だったのでは・・・?」


 情報担当の第2科長の3等陸佐が、つぶやいた。


「前回の部隊行動方針では・・・あのお花畑思想の2等海尉に、第2外人普通科連隊への撤退の説得させるための部隊行動案でしたが・・・今回は、アメリカ軍、フランス軍の外人部隊を主力とした、その他の多国籍軍独立軍を参加させた、第2外人普通科連隊の救出及び連合国米英比連合軍残存部隊と増援部隊の混成部隊を一掃する部隊行動計画・・・」


 運用担当の第3科長である、2等陸佐がつぶやいた。


「そうだ。総監部では、自衛隊、米軍、仏軍、帝国陸海軍等の連合軍参加国による合同会議が開かれた。我々及び同盟国や参加国は、ともかくとして、帝国陸海軍も渋ったが、部隊行動案を承諾してくれた」


「しかし、よく承諾してくれましたね・・・」


 総務を担当する第1科長である3等陸佐が、つぶやいた。


「帝国陸海軍にも・・・あの女狐の存在が、確認されたらしい・・・」


「あの女狐とは・・・?」


 樫原の言葉に、幕僚の1人が尋ねた。


「いや、なんでもない」


 樫原は、首を振った。


「近々、前線部隊による合同会議が開かれるだろう・・・前線指揮は、在比米軍米陸軍所属の准将が行う事に内定している。総指揮は在比米軍司令部と菊水総隊自衛隊南方作戦総監部が合同で、行う」


「大日本帝国陸海軍は・・・?」


「前線部隊にも戦闘部隊を派遣するが、帝国陸海軍は、現在、南太平洋での防衛線を構築に人員を回している始末だ。とても、今回のような大作戦に投入出来る大部隊を参加する事は出来ない」


「規模としては、どのくらいですか・・・?」


「陸軍では、1個独立旅団を投入するらしい・・・」


「7000人規模ですね・・・」


 1個独立旅団は・・・2個歩兵聯隊基幹として砲兵大隊、工兵大隊、騎兵大隊等の戦闘部隊及び戦闘支援部隊と兵站部隊、憲兵部隊が組み込まれた状態で編成された、独立旅団である。


 師団内に編成されている旅団は、2個歩兵聯隊を基幹として編成された師団指揮下の旅団である。


 独立旅団の指揮官である旅団長は、少将である。


 大日本帝国陸軍では、諸外国陸軍のように准将という階級は存在しない。


 独立旅団は・・・自動車化歩兵部隊を基幹とした自動車化歩兵旅団、機甲化編成された機甲旅団、徒歩化歩兵部隊で編成された徒歩化歩兵旅団、騎兵化編成された騎兵旅団が存在する。


 フィリピンは森林戦や山岳戦が主流であるため、動きやすい徒歩化歩兵旅団が、ベストであろう。


 徒歩兵と言っても、徒歩で行動する訳では無い。


 自転車を装備しているため、体力的な補助は充実している。


 さらに独立旅団は機動力及び運用性を向上するため、自衛隊や米軍による介入が行われており、作戦行動能力は、史実の独立旅団とは比べ物にならない。





「連隊長。この資料にあります。X部隊というのは、どのような部隊でしょうか?」


 運用担当の第3科長が、尋ねる。


 彼は、連隊の運用を担当する幕僚であるため、連隊の指揮下に置かれた部隊も指揮しなければならない。


「X部隊というものは、防衛局自衛隊の公式上には存在しない部隊だ。防衛装備局傘下の自衛隊の部隊として組織された、連隊扱いの部隊である」


「つまり秘匿部隊という事でしょうか・・・?」


「そうだ」


「ですが、どのような部隊か概要を説明していただけなければ、部隊運用のための部隊行動案を作成出来ません。秘匿部隊というのは理解しますが、安全な部隊行動基準立案のために、情報を開示してもらえないでしょうか・・・?」


 第3科長である2等陸佐の言葉は、もっともな事である。


 前線部隊で、在比米軍、仏軍、その他参加独立軍派遣部隊、大日本帝国陸海軍派遣部隊の共同部隊行動をする場合・・・第15即応機動連隊が前線部隊の総指揮を執る事が高いからだ。


 もっとも敵と対峙し、さまざまな戦闘を経験しているのも、第15即応機動連隊であるからだ。


 敵をある程度に知っている・・・これに勝るものは無い。


 今回の戦闘では、米軍及び仏軍等の外人部隊が投入される。


 彼らは南太平洋での戦闘や、在中米軍の指揮下で中国での戦闘に参加している。


 確かに、連合国米英蘭豪新国の正規軍や義勇軍と戦っている経験はあるが・・・フィリピンでの連合国米英比連合軍と戦うのは、初の経験である。


 菊水総隊陸上自衛隊第14機動旅団及び第12機動旅団は、連合国米英比連合軍と戦っている。


 もちろん、在比米軍や新世界(ニューワルド)連合・加盟国・非常任理事国であるフィリピン共和国傘下の国軍もフィリピン攻略作戦に従事した。


 在比米軍とフィリピン軍は、在比米軍在比米海兵隊の指揮下で、フィリピン海兵隊と合同の海兵部隊を組織し、ルソン島等の島嶼に強襲上陸し、内陸部に侵攻した。


 菊水総隊陸上自衛隊水陸機動団も、第1水陸機動連隊と島嶼戦を専門にしている西部方面普通科連隊と南西方面普通科連隊、在日米海兵隊から島嶼戦の教育訓練を受けた第12普通科連隊の派遣部隊で構成された上陸専門連隊を組織し、フィリピンの島嶼に強襲上陸した。


 フィリピンに最も近い台湾領の島嶼から第12機動旅団は、第12ヘリコプター隊と1個普通科連隊を完全装備状態で、ルソン島にヘリボーン作戦を実施した。


 フィリピンの戦いの緒戦は、在比米海兵隊とフィリピン海兵隊、水陸機動団第1水陸機動連隊を中核とした上陸専門部隊であったが、第14機動旅団も、戦闘が内陸部になるにつれて、投入された。


 大日本帝国陸軍と、海軍陸戦隊と緻密な連携行動が出来るよう日々訓練し、在日米海兵隊に島嶼戦の指導を受けていた。


 そのため、第14機動旅団がフィリピンに派遣されてからは、スムーズに共同部隊行動が出来、予想よりも早く、フィリピンの戦いでの正規戦闘を終結させた。


 そのため、そう言ったプライドが、第14機動旅団第15即応機動連隊には、存在する。


「貴官の言う事は、もっともだ。私から、旅団司令部及び総監部に話をして、X部隊の詳細を報告させよう」


「お願いします」


 第3科長は、頭を下げた。


「しかし・・・小規模な部隊行動だと思っていたが・・・実際は、大規模な部隊行動になった・・・な」


 しかし、あの女狐・・・もとい、女史の影響力は恐ろしい。

 特別編 懲罰部隊 第4章をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

 次回の4月11日を予定しています。

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