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『ここは乙女ゲームの世界らしいので全力で攻略します(※違います)』  作者: Risa


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6/12

6


私は重大な事実に気付いた。


(今まで方向性を間違えていた)


魔法がない。


神様も出ない。


黒魔術も存在しない。


つまり。


私は庭で拾った枝――仮聖剣一号を見つめる。


(答えは最初から目の前にあったんだ)


剣。


そう。


剣である。


異世界といえば剣だ。


勇者だ。


騎士だ。


冒険者だ。


私は立ち上がった。


「メアリー」


「はい、お嬢様」


「お父様は?」


メアリーが少し考える。


「執務室かと」


「なるほど」


私は走った。



数分後。


執務室。


父様は書類を読んでいた。


私を見るなり嫌な予感がしたらしい。


眉間を押さえる。


「……何だ」


まだ何も言っていない。


ひどい。


私は机に手をついた。


「お父様」


「うむ」


「剣術を教えてください」


沈黙。


父様は数回瞬きをした。


「……剣術?」


「はい」


「何故」


「剣士ルートだからです」


「何のだ」


私は胸を張る。


「この世界の」


「違う」


即答だった。


しかし私は負けない。


今までの検証結果を説明する。


「魔法なし」


「うむ」


「黒魔術なし」


「うむ」


「神様イベントなし」


「そうだな」


「つまり剣です」


「何故そうなる」


私は机を叩いた。


「消去法です!」


父様が頭を抱えた。


「お父様」


「何だ」


「勇者になるには努力が必要なんです!」


「勇者はいない」


「騎士!」


「お前は令嬢だ」


「主人公!」


「何のだ」


父様のツッコミが追いついていない。


私は仮聖剣一号を取り出した。


木の枝である。


「これも見つけました」


「庭の枝だな」


「聖剣候補です」


「枝だ」


私は枝を掲げた。


「これを使いこなせるようにならないと」


「使いこなすも何も枝だ」


父様は深いため息を吐く。


長い。


かなり長い。


そして。


「……木剣なら」


「えっ」


私は固まった。


「最低限の護身術くらいは覚えてもいい」


私は目を見開いた。


(来た)


イベントだ。


ついに来た。


主人公育成イベントである。


「やったぁぁぁぁぁ!!!」


父様は知らない。


娘が今、


人生初のチュートリアル戦闘イベント


だと確信していることを。


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