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『ここは乙女ゲームの世界らしいので全力で攻略します(※違います)』  作者: Risa


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5/12

5


私は重大な事実に気付いていた。


(神様イベントがまだ来ていない)


異世界転生といえば、まず神様だ。


夢の中に出てくるとか。

光の空間で会うとか。

謎の声が聞こえるとか。


つまり――


(まだ条件を満たしてないだけ)


私は真剣に頷いた。


「メアリー」


「はい、お嬢様」


「神様ってどこにいると思う?」


メアリーが固まる。


「……神様、ですか?」


「うん!会いに行こうと思って」


「どちらへ?」


「夢の中とか?」


「行けません」


即答だった。


私は考えた。


(なら別ルートだ)


神様イベントには複数パターンがある。


・夢

・祈り

・聖地

・石像


私は立ち上がった。


「お庭に行ってきます!」


「何をなさるのですか」


「神様召喚するの!」


「やめてください」


庭の奥。


白い石像があった。


たぶんどこかの貴族の祖先か何かだろう。


でも関係ない。


(こういうのに宿るんだ)


私は真剣な顔で石像を見上げた。


「神様」


「…………」


当然、返事はない。


私は一歩近づく。


「神様ですか?」


「…………」


沈黙。


(まだ条件不足)


私は頷いた。


次の手段だ。


私は石像の前に正座した。


そして目を閉じる。


「寝れば会えるはず……」


「お嬢様?」


メアリーの声が遠くなる。


「夢の中イベント……」


そのまま私は横になった。


数分後。



「お嬢様!!!!」


「起きてください!!!!」


肩を揺さぶられて目を覚ます。


父様がいた。


かなり疲れた顔だった。


「何をしている」


「あ、お父様おはようございます」


「今神様待ちです」


「待つな」


「あと外で寝るな!」


即答だった。


「えぇー」


私は真剣に説明する。


「普通、寝たら会えるんですよ!」


「誰に聞いた」


「異世界なので」


「どこの異世界だ」


父様は石像を見る。


次に私を見る。


そして深いため息。


「これはただの庭の装飾だ」


「えっ」


私は石像を見る。


ただの石だった。


「じゃあ祈りイベントは?」


「ない」


「聖地は?」


「ない」


「神様は?」


「知らん」


私は静かに立ち上がった。


(おかしい)


(ここまで何も起きないのは逆に伏線)


「なるほど」


私は頷いた。


「まだ神様ルート未解放ですね」


「そんなものはない」


その日の夕方。


庭の石像は、なぜか少しだけ綺麗に掃除されていた。


理由は誰も語らなかった。


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