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『ここは乙女ゲームの世界らしいので全力で攻略します(※違います)』  作者: Risa


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3/12

3



昼食は、いつも通り完璧だった。


白いパン。

温かいスープ。

丁寧に調理された肉料理。


(やっぱりだ)


私はフォークを止める。


この世界の食事、妙に“完成度が高い”。


味が整いすぎているというか、食べるたびに身体が軽くなるような気さえする。


(これはつまり)


私は真剣な顔になった。


「能力値上昇イベントだ」


メアリーが固まる。


「……はい?」


「きっと私が食事を作ったら。ステータスが上がるタイプの世界だわ!」


「何のですか」


「HPとかMPとか」


「ございません」


即答だった。


だが私は引かない。


異世界とはそういうものだ。


戦闘だけじゃなく、日常行動でステータスが伸びる。


つまり食事は重要イベント。


私はスプーンを握った。


「よし」


「お嬢様?」


「検証しにいくわよ!」


数分後。


私は厨房にいた。


使用人たちがざわつく。


「お嬢様!?なぜこちらに……!」


「料理で能力値が上がるか確認します」


「上がりません」


即答された。


私は肉を見つめる。


(ここで“成長判定”が入るはず)


(たぶん隠しパラメータ)


私は一口食べた。


もぐ。


……美味しい。


その瞬間。


私は目を見開いた。


「来た……!」


メアリー「何がですか」


「今、ちょっとだけ元気になった」


「ただの食事です」


私は真剣に分析する。


(やっぱりだ)


(微量だけど上昇してる)


これはつまり――


「レベル上げ要素あり」


「ありません」


即否定だった。


そこへ父様が現れる。


「何をしている」


「またリリアか!」


私は振り返る。


「あ、お父様!」


「今食事でステータス上げてるんですよ!」


「何のだ」


「全ステです!」


「ない」


即答。


私は首をかしげる。


「じゃあこれは……」


「ただの食事から栄養をとってるだけだ」


「えっ」


私はもう一度肉を見る。


ただの肉だった。


(おかしい)


(異世界なのに)


(レベルが上がらないなんて)


父様は深いため息をつく。


「いいか、リリア」


「はい」


「食事はイベントではない」


「でも体力回復しますよね?」


「するがゲームではない」


私は少し考えてから頷いた。


「なるほど」


「理解したか」


「まだチュートリアル食事ですね」


「違う!」


「何故そうなった!」


その日の夕食は、いつもより少しだけ静かだった。


シェフはしばらく「レベル上げ」という単語を避けるようになった。


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