第42話 目標
前回のあらすじ
乙女の憧れを壊した
魔法学院の授業は午前三コマ、午後二コマの時間割りになっている。
けれど今日の授業は、午前だけのようだ。
三時限目の授業が終わりお昼休みになると、クラスメイト達は教室から出て行った。
私達も教室を出て、学食へと赴く。
この学院の学食は、無料で飲食出来るらしい。
お昼ご飯に、私とアリシアさんは日替わり定食を、アレンさんは野菜炒め定食をカウンターで注文した。
注文した料理が載ったトレイを持って、空いている席に座る。
私の隣にはアリシアさんが、彼女の真正面にはアレンさんがそれぞれ座る。
「なぁ、アリシア。いい加減機嫌を直してくれよ」
「……ふん」
アレンさんは申し訳なさそうな顔をしてそう言うけど、アリシアさんは未だにぷりぷりと怒ったままだった。
たぶんアレンさんが、アリシアさんが勇者だということをぶっちゃけてしまったことが原因だろう。
そのことはすでに学院中に広まってしまったようで、遠巻きに私達をちらちらと見る視線をいくつも感じていた。
私も、アリシアさん本人からそのことを聞かされた時は、とても驚いた。
周囲の視線を気にすることなく、アレンさんは可愛らしく怒っているアリシアさんのご機嫌を取る。
「ホントにごめんって。後でチョコケーキ奢るから」
するとアリシアさんは、ピクリと反応して眉を動かす。
確か彼女の好きな食べ物がチョコケーキだって聞いたことがあるけど、それに反応したのだろうか?
「そ、そんなので機嫌が直るほど、わたしは単純じゃないわよ?」
腕を組みそっぽを向くけど、彼女の頬は若干赤く染まっていた。
「じゃあ、いらない……」
「もらうに決まってるでしょ」
アレンさんの質問に、アリシアさんは即答した。
「それじゃあ、僕はまた注文してくるね」
そう言ってアレンさんは、苦笑しながら席を立ってカウンターへと向かって行った。
そして私達がちょうど食べ終わった頃に、アレンさんがチョコケーキを持って来て、それをアリシアさんに渡す。
彼女は目を輝かせながら、フォークでチョコケーキを一口大に切り、口に運ぶ。
それを口に入れた瞬間、アリシアさんはとても幸せそうな笑みを浮かべる。
気難しい(?)勇者様の機嫌は直ったようだ。
◇◇◇◇◇
お昼ご飯も食べ終わって、わたし達は学生寮へと向かう。
わたし達に宛がわれた部屋に入ると、まず最初に廊下があったので、そこを通り抜けて行く。
その途中に、トイレと浴室へと続くドアが一つずつあった。
廊下を抜けると、やや広めな共有スペースが目に入った。
部屋の中央には、テーブルとソファーが置かれている。
共有スペースの端には、小さなキッチンも併設されていた。
それと、共有スペースには三つの扉があって、そこから先がわたし達の個室になるのだろう。
わたし達は相談して自分の部屋を決めて、一先ず各自の部屋で荷ほどきをすることにした。
と言っても、魔法袋の中にしまっていた着替えを、クローゼットの中へと仕舞い直すだけだけど……。
一通り荷ほどきも済んだので、わたしは再び共有スペースへと向かう。
するとアレンとフレイルも、共有スペースへとやって来た。
わたし達はソファーに座り、今後のことについて話し合う。
「今後のことについてだけど、二人は何か意見とかある?」
わたしがそう尋ねると、フレイルが真っ直ぐに手を挙げる。
「少しでも早くこの学院を卒業して、モミジとエミリを助けに行きたいです!」
鋼鉄の意志が感じられる眼差しで、フレイルはそう告げた。
「わたしも同じ気持ちだよ。だから、この学院には最長でも一年しか在籍しないつもり」
「……それは、飛び級して卒業を早めるということか?」
「うん、そう」
アレンの質問に、わたしは頷いて肯定する。
「だからそれまでの間に、死に物狂いで魔王を倒せるだけの力を付けよう!」
「ああ!」
「はい!」
わたしの言葉に、アレンとフレイルは勢い良く頷いた。
こうしてわたし達は、魔法学院に在籍中にクリアすべき目標を定めた―――。
アリシア「あれ? そう言えば、学食ってタダだから、奢るも何もないんじゃ?」
アレン「そこに気付くとはやはり天才……いや、勇者か」
アリシア「ア〜レ〜ン〜?(アレンににじり寄る)」
アレン「……急用を思い出した。それじゃ(アリシアの前から逃走)」
アリシア「こら、アレン! 待ちなさい! (アレンを追いかける)」
フレイル「はぁ〜……。やれやれ……」
評価、ブックマークをしていただけると嬉しいです。




