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第38話 南大陸

前回のあらすじ

今後の目標を定めた

 

 竜人の里から中央大陸を経由して、二週間ほどで南大陸にある魔法王国、その王都にたどり着いた。


 船で直接南大陸まで行くルートの案もあったけど、その場合は船代が馬鹿にならないほど高額になる。

 この案はすぐに棄却された。


 もう一つの案として、フレイルにわたしとアレンを乗せて大陸間の移動をするというのもあった。

 竜人族はドラゴンの姿になれば、大陸間くらいは難なく移動出来ると魔王時代に聞いたことがあった。

 だからフレイルに運んでもらおうとしたけど、彼女は大陸間の移動どころか、人を乗せての飛行をしたことがないと言った。

 彼女の能力を疑うわけじゃないけど、人を乗せて大陸間を初めて移動するというのは、不安要素しかなかった。


 だから最終的に、大陸間は船で移動して、途中中央大陸を経由するというルートを取ることになった。




 ◇◇◇◇◇




 魔法王国の王都は、帝都に引けを取らないほど繁栄していた。

 区画は綺麗に整理されていて、建ち並ぶ建物の景観は壮麗の一言に尽きる。


 それと、行き交う人々の中には、冒険者らしき人が数多くいた。

 たぶん、王都に冒険者ギルド本部があるからだろう。

 冒険者にとって王都は一種の聖地、冒険者の本場と言ってもいいほどだった。


「ふああぁぁぁ……」


 王都の街並みを見て、フレイルは感嘆の声を上げていた。

 彼女は今まで、竜人の里以外の大都市を見たことがないと言っていたから、物珍しくあるのだろう。


 キョロキョロと辺りを見回しているフレイルに、わたしは注意を促す。


「フレイル。よそ見をしてると、危ないよ?」

「だ〜いじょぶですって! 私はそこまでトロくは……きゃっ」


 注意したそばから、フレイルは通行人にぶつかりバランスを崩す。

 彼女はわたしの方に倒れ込んできて、慌てて彼女の肩を掴み身体を支える。


「だから言ったのに」

「はい……ごめんなさい」


 わたしがそう言うと、フレイルはしゅんと肩を落とす。


「今度からはちゃんと気を付けてね?」

「はい、気を付けます」


 わたしの忠告を、フレイルはきちんと聞き入れた。

 するとアレンから声が掛かる。


「二人共。いつまでそうしてるんだい?」

「ん?」

「え?」


 そう言われ、改めて自分の状況を確認する。


 倒れかけたフレイルをわたしが支えていて、彼女の顔が間近にあった。

 アイスブルーの綺麗な瞳が、わたしを見上げている。

 見ようによっては、女の子同士でそういうことをしようとしているように見える。

 その証拠に、わたし達の側を通り過ぎる人がチラチラとこちらに視線を向けていた。


 わたしは素早くフレイルの肩から手を離す。

 フレイルもわたしから、ほんの少しだけ距離を取る。


 なんとも言えない空気がわたし達の間に流れる中、アレンが声を掛ける。


「それじゃあ気を取り直して、魔法学院に向かおうか」

「そ、そうだね」

「は、はい」


 ぎこちなく返事をして、彼の後をついて行った―――。




 ◇◇◇◇◇




 通行人に時々道を尋ねながら、わたし達は王立魔法学院へとたどり着いた。


 学院の校門の側に立っていた守衛さんにここに来た理由を話すと、あっさりと中に入れてくれた。

 こういうことは、何度もあるらしい。


 そして守衛さんに案内されて、学院の受付へとやって来た。

 受付の人は四十代くらいの女の人で、彼女はわたし達に声を掛ける。


「こんにちは。本日はどのようなご用件で?」

「あの、この学院に入学したいんですけど……」

「途中入学ですと、推薦状が必要となりますが、お持ちでしょうか?」

「あ、はい」


 そう言って魔法袋から、推薦状が入っている封筒を三人分取り出して、受付の人に渡す。

 彼女はそれを受け取り、中を確認する。


 一瞬だけ驚いたような表情をしたけど、すぐに元に戻る。プロ意識が高い人のようだ。


 確認が済んだのか、彼女は顔を上げる。


「……はい、確認しました。この推薦状は学院長へと渡しておきます。後日軽い入学試験があるので、後で試験案内を配送しておきます。……ところで皆様は、宿泊されている宿はお決まりですか? 試験案内はその宿に配送するのですが……」

「いえ、まだ決めてないです」

「でしたら、当学院と提携している宿をご紹介いたしますね」

「ありがとうございます」


 そう言ってわたしは頭を下げる。

 宿の紹介までしてくれるなんて、思ってもみなかった。


 そしてわたし達は受付の人に宿を紹介してもらい、学院を後にしてそちらへと向かって行った―――。






三人での新生活が始まります。




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