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第31話 再出発

前回のあらすじ

追い返した

 

 そして三日後。

 わたしとアレンはユハナとイオさんに別れを告げて、商隊に合流する。


 あれから、男の人達があの二人と旅館にちょっかいをかけることがなくなった。

 アレンが説得(物理)したのも大きいのかもしれない。

 そのことで二人からは、とても感謝された。


 別れ際、イオさんとユハナがわたし達に言う。


「この度は我が旅館の危機を救っていただき、誠にありがとうございます。このご恩は決して忘れません」

「今度来る時はウチの旅館も綺麗になってるハズだから、楽しみにしてて」


 そして二人は揃って、深々と頭を下げた。


「「またのお越しをお待ちしております」」


 そんな二人に見送られて、わたしとアレンは旅館を後にした―――。




 ◇◇◇◇◇




 商隊に合流して、この町までやって来た時と同じ馬車に乗る。

 なんとか集合時間に遅れずに済んで良かった。


 そして定刻になり、竜人の里に向けて再び出発した。


「そう言えば……。あれだけの大金、どこに隠し持ってたの?」


 道中暇なので、あの町にいた時に聞かなかったことをアレンに尋ねる。

 するとアレンは、手綱を引きながら答えてくれた。


「隠し持つだなんて人聞きの悪い。アレは今までに貯めた、クエストクリアの報酬金だよ」

「……それにしても貯め過ぎじゃない?」

「使い道が無かったモンだからねぇ」


 そう言って、アレンは飄々と笑う。


「物欲無さ過ぎじゃない?」

「いや、そんなことはないよ。必要な物とかはその都度買ってたりしてたんだけど、全然減らなくて貯まる一方だったんだよ。だからもう減らすことは諦めて、ほったらかしにするしかなかったんだ」

「ふ〜ん。そういうものなの?」

「そういうものなんです」


 わたしの言葉に、アレンは頷く。


 それからわたし達は、他愛ないお喋りをした。


 その日は、商隊は森の中で一夜を過ごすことになった―――。




 ◇◇◇◇◇




 その日の夜。

 馬車の荷台で眠っていたわたしは、外が騒がしくて目が覚めてしまった。


「なんだろう……?」


 寝惚け眼のまま馬車の外を見回すと、魔物が商隊を襲っているところだった。


 それでわたしの意識は覚醒して、同じ馬車で眠っていたアレンの身体を揺する。


「アレン、起きて! 商隊が魔物に襲われてる!」

「…………なんだって!?」


 するとアレンは飛び起きて、馬車の外へと飛び出る。

 わたしも彼の後を追う。


 商隊を襲っていたのは、ダークウルフと呼ばれる夜行性のBランクの魔物だった。

 この魔物は群れで行動し、個体自体の能力も比較的高い。


 だから場合によっては、Aランク並の危険度にもなる。

 例えば、そう―――今のような不意討ちを受けた時とか。


 辺りの状況を素早く確認したアレンは、わたしに指示を出す。


「僕は前にいる冒険者達の援護をする! アリシアは後ろを頼む!」

「分かったわ!」


 そう言ってアレンと別れて、商隊の後ろ側にいる冒険者達の援護に向かう。




 後ろの方で戦っている冒険者達に合流したわたしは、素早く敵の数を索敵魔法で確認する。

 敵は十匹ほどで、今冒険者達が相手しているので全てのようだ。

 だけど彼らは、少しだけ苦戦をしていた。


 わたしは魔法で彼らの援護をする。

 それで多少は戦闘が楽になったらしく、彼らは次々と魔物を討伐していく。


 そして最後のダークウルフが討伐された後、アレンに合流するためにわたし達が乗っていた馬車に向かって行った―――。




 ◇◇◇◇◇




 全てのダークウルフが討伐された後、他に魔物がいないか確かめるために、付近の哨戒をする。

 何が起こってもいいように、二人一組で哨戒にあたる。

 わたしのペアはもちろんアレンだ。


 商隊から少し離れた場所まで来たその時、ソレを見つけた。


 ソレは近くの木にもたれ掛かるようにして、蹲っていた。

 わたしとアレンは警戒しつつソレに近付く。


 近付くにつれて、ソレの正体も明らかになってきた。


 ソレ、というかその人は黒髪の女の子で、間違ってもこんな夜更けにこんな場所に居ていい人ではなかった。


 わたしは急いで彼女に駆け寄り、安否を確認する。

 幸いにも、規則正しい呼吸をしているから、死んではいないようだ。


「大丈夫?」


 女の子の身体を揺すりながら、わたしは尋ねる。

 すると彼女は、うっすらと目を開けた。

 その目はアイスブルーの色で、とても澄んだ瞳をしていた。


 そして―――。


「―――おなか、すいた……」


 ―――開口一番に、そう言った。






腹ペコガール登場、か……?




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