第24話 出発
前回のあらすじ
イチャついた
「ごめん!!」
決闘から一夜明けて。
アレンと連れ立って冒険者ギルドに赴くと、待ち伏せしていたセリアさんに深く頭を下げられた。
突然のことにわたしが戸惑っていると、セリアさんが続ける。
「昨日は全然冷静じゃなかった! 貴女とアレンに不快な思いをさせてごめんなさい! お詫びと言ってはなんだけど、私に出来ることならなんでもするわ!」
「えっと……」
わたしが困惑していると、アレンが助け船を出してくれた。
「セリア。アリシアが困ってるから、その辺で。僕も、それにアリシアも昨日のことは気にしてないよ。でしょ?」
「う、うん……。だからその、頭を上げてください」
わたしがそう言うと、ようやくセリアさんは顔を上げた。
「ありがとう。……それでその、厚かましいお願いだとは分かってるんだけど、聞いてもらってもいい?」
「……内容にもよりますけど、いいですよ」
わたしがそう返すと、セリアさんは顔を輝かせた。
「私に戦い方を教えて欲しいの!」
「え〜っと……。わたしも人から教わったんですけど……。わたしに習うよりも、その人に教えてもらった方がいいと思いますよ?」
「その人って誰?」
「シルフィさんって言う人なんですけど」
シルフィさんの名前を口にすると、セリアさんは驚きを露にする。
「シルフィって……、あのシルフィ!? 『疾風の戦乙女』の異名を取る、Sランク冒険者の!?」
「はい、そのシルフィさんです」
「彼女は今どこにいるの!?」
「たぶん、帝国国内かと……」
そう言うと、セリアさんはギルドの出入口に向かって行った。
そしてその前で一度立ち止まり、わたし達の方に振り向く。
「教えてくれてありがとう! それと、今度会ったら私のことは呼び捨てで構わないから! それじゃあね、アリシア!」
はじけるような笑顔を残して、セリアさん……セリアはギルドを去って行った―――。
◇◇◇◇◇
わたしは気を取り直して、クエストボードの方に向かう。
そこから、次の町に着くまでにこなせるクエストを吟味していく。
するとアレンが、ある一つのクエストを指差した。
「これなんてどうかな?」
「どれどれ……」
わたしはそのクエストに目を通していく。
アレンが指し示したクエストは、ある町までの商隊の護衛だった。
それ自体は普通だったけど、商隊の目的地が竜人の里だった。
わたしはこのクエストを受けることにした。
◇◇◇◇◇
それから一週間後。
旅支度もしっかりと済ませ、わたし達は商隊の馬車が停まっている停留所に向かう。
そこで、商隊のリーダーと挨拶をする。
「クエストを受けていただいた方達ですよね。道中、護衛をお願いいたします」
「お任せください」
その後軽い説明を受け、リーダーにわたしとアレンが乗る馬車に案内された。
そこに着くまでの間辺りを見回すと、わたし達の他にもちらほらと冒険者の姿が確認出来た。
そして馬車に着き、わたしはアレンと並んで御者台に座る。
アレンは手綱を握ると、わたしに言ってくる。
「最初は僕が馬車を引くから、アリシアは休んでていいよ」
「それじゃあ、お言葉に甘えるね」
わたしがそう言うと同時に、商隊の列が竜人の里に向かって動き出した―――。
◇◇◇◇◇
途中何回か挟んだ休憩の度に御者を交代して、今また僕が御者をやっていた。
アリシアは僕の足を枕にして、すやすやと眠っていた。
そのあどけない寝顔を見ていると、自然と笑みが零れてくる。
前世での僕達の関係は悲惨な結末を迎えたから、今世ではこの関係を大事にしたい。
そんなことを思っていると、アリシアが身動ぎをし、そして目を覚ます。
「う……。ううん……」
「おはよう、アリシア」
「……うん。おはよう、アレン……」
アリシアが身体を起こそうとしたので、僕はそれを片手で押さえる。
「まだ休んでていいよ」
「……それじゃあ、そうするね」
そう言ってアリシアは、再び僕の足に頭を乗せる。
僕は心地よい重さを足に感じながら、手綱を引くことに集中した―――。
目指すは竜人の里。
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