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第23話 決闘を終えて

前回のあらすじ

試合に負けて勝負に勝った

 

 セリアさんがわたし達の前から立ち去り、遅れてどっと疲労感がやって来た。


 ……つ、疲れた……。


 セリアさんの攻撃を捌くのは結構本気を出していたから、とても疲れた。

 そんなわたしを気遣ってか、アレンが尋ねてくる。


「それで。どうする、アリシア? クエストを受けるつもりでギルドまで来たけど」

「……今日は疲れたから、もういいや。明日でも別に構わないし」

「そっか……。それじゃあ、宿に戻ろう」


 そしてわたし達もギルドの前から立ち去り、アレンが泊まっている宿に向かう。


 その道すがら、わたしは彼に尋ねる。


「ねぇ、アレン。アレンの剣を受け止められる人は三人もいないって言ってたけど、二人は確実にいるのよね? 一人はわたしだとして、もう一人は誰なの?」

「アリシアもよく知ってる人だよ」

「?」


 アレンがそう言い、わたしは首を傾げる。


 ……わたしが知ってる人というと……シルフィさんかな?


 そう予想したけど、答えはその斜め上だった。


「もう一人は、魔王アリュシーザだよ」

「…………」


 その答えに、わたしは絶句する。

 知ってるも何も、前世のわたし自身だった。


「……それ、実質わたし一人じゃない」

「そうとも言うね」


 アレンはヘラヘラと笑い、わたしは溜め息を吐き、質問を変える。


「はぁ……、まぁいいわ。質問を変えるけど、アレンの好みのタイプって何なの?」

「知りたい?」

「知りたい」


 わたしは即答する。

 好きな男の子の好みのタイプは、一人の女の子として是非とも知っておきたい。


 するとアレンは、包み隠さずに教えてくれた。


「まず、髪の長さはセミロングで」


 うん。


「愛嬌のある顔立ちをしていて」


 うんうん。


「胸は控えめで」


 うんうん……うん?


「本人にその気はないのに、同性からモテて」


 う〜ん?


「誰に対しても優しく接して」


 う〜ん??


「実は意外と甘えん坊で」


 う〜ん???


「好きな食べ物がチョコケーキな、そんな女の子かな?」


 それってもしかしなくても……。


「……わたしじゃない!」


 わたしは思わず叫んでいた。


 いや、アレンの好みのタイプがわたしだったのは素直に嬉しいけど!


「まぁ、そうとも言うね?」


 アレンは悪びれもせずに、笑顔でそう返した。

 それを見て、わたしは苦笑する。


「まったく……。変わらないわね、アレンは」


 その笑顔を見て許しちゃうあたり、わたしも彼に甘いと思う。


 その後も他愛ないお喋りをしながら並んで歩き、アレンが泊まっている宿にたどり着いた―――。




 ◇◇◇◇◇




 ここで一つ、問題が発生していた。

 僕が泊まっている宿が満室で、アリシアが泊まれる部屋が無かったのだ。

 だからまぁ、そうなることは予想してたんだけど……。




 浴室から、ぱしゃぱしゃと水音が聞こえてくる。

 僕はベッドの端に腰掛け、その音を気にしないように心掛ける。

 けれどそう思えば思うほど、かえって水音が大きく聞こえてくる……気がする。


 アリシアの泊まれる部屋が無かったので、結局僕と相部屋になった。その分、宿泊費を割引してもらった。

 恋人同士なんだから問題ないと思うけど、それはそれ、これはこれだ。


 夕飯も食べ終え、そして今、アリシアはシャワーを浴びていた。


 ……いや、まぁ、前世でも似たような経験はあるけど、慣れるとは全然思えなかった。


 そんなことを思っていると、ガチャリという音が聞こえた。

 そちらを振り返ると、ラフな格好で濡れた髪をタオルで丁寧に拭っている、風呂上がりのアリシアがそこにいた。


 上気した素肌が妙に艶かしく、彼女に見惚れていると、僕に声を掛けてきた。


「お風呂上がったよ、……? どうしたの?」

「!? いや、なんでもない!」

「? そう? ならいいけど……」


 アリシアは怪訝そうな顔をするけど、追及はしてこなかった。


 ……アリシアに見惚れてたのがバレたと思ったけど、そうじゃなかったみたいだ。


 ホッと一息吐いて、着替えを持って浴室に向かう。

 そして浴室のドアに手をかけつつ、アリシアに忠告紛いのことを言う。


「アリシア、その……。僕も男だからさ、そんな薄着だと、その……色々困る」

「!?」


 アリシアは風呂上がりが原因ではない別の理由で、顔を真っ赤にする。

 彼女が何か言ってくる前に、僕は逃げるようにして浴室に入った。


 冷静になろうとお湯を頭からかぶり続けていたら、軽くのぼせてしまった……。






初々しい(?)二人。




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