23.マッドサイエンティスト?
ニオベとパラスは、遠慮なく食べるなぁ。
いきなり高級メロンを一つずつ食べたよ!
言っとくけど、一切れずつじゃないからね!
結構大きいヤツを、フォールで一つずつだよ!
しかも、それが当たり前とでも言いたげな顔をしている。
きっと、植物に変えられる前は、二人とも男達からイイものを貢がれて、贅沢な暮らしをしていたんだろうね。
これが野郎共の前なら、二人ともカワイイ娘ぶって食べるところだろうけど、今は男の視線が無い。
だからだろうね。食べ方が下品だった。
マジでって言いたいレベル。高級メロンを四分の一に切って、そのまま口を大きく開けて、かぶりついていたよ。
ほっぺたにメロンの種をつけているし。
ニオベの雰囲気が急に変わった。
どうやらエネルギーを補給してレーダーの精度が上がったようだ。
「北西50キロのところに2株発見です!」
「分かった。じゃあ、行くよ!」
私は、再び転移魔法を使って、目的の町……と言うか村へと急いだ。
食べている途中だけどイイよね?
私達が出たところはオンコ村。
なんか、微妙に変な名前だけど……。
オをウに変えたがる人もいるだろうし、マを挿入したい人もいるだろうし……。
チを挿入したい人もいるか。
ニオベのレーダーが、今までになく強く反応しているっぽい。
さすが高級メロンパワーだね!
そして、私達は彼女のナビに従って歩くこと十五分。
目的物を発見した。
お目当ての植物は、二株とも、その村のある民家に庭に置かれていた。
とりあえず、両方とも無事っぽい!
でも、その植物達の前には穴が掘られていた。多分、これから持ち主が地植えしようとしていたところなんだろう。
さて、このまま二株とも、人の姿に戻して良いのだろうか?
お金を出して買った人がいるわけだからね。
一応、所有者に話をしないといけないよね?
と言うわけで、
「ごめんください!」
私は、その民家の人の掛け合うことにした。
「誰?」
家の中からマッドサイエンティスト風の男性が一人、出てきた。関わりたくない雰囲気が全身から漂ってくるよ。
やっぱり、変な植物を買うだけあって、変人ばかりってことなのかな?
じゃあ、私もミチルさんも変人ってこと?
ちょっと傷ついたよ、私。
でも、ここで落ち込んでいる暇はない。
早速交渉だ!
「実は、この食虫植物を探していたんです。この植物は、魔法で姿を変えられた人間でして……」
「断る!」
「はっ?」
「なんてね」
「えっ?」
「でもダメ!」
「……」
「だったらどうする?」
なんだ、こいつ?
初対面の人間に、こんな意味不明な対応をしてくるとは、ふざけた野郎だな。もしかして、私をおちょくっているのか?
それに、なんか全身から他人を小馬鹿にしたような雰囲気も感じるし、やっぱり関わりたくない人種だったよ。
第一印象が大正解!
ハッキリ言って性格……いや、存在自体がおかしい。
でも、避けるわけには行かない。
この二株を何としてでも手に入れなければ。
「一株金貨1枚でどうですか?」
「別にタダであげてもイイよ」
「ホントですか?」
「まあ、俺の発明品と戦って勝てたらね。でも、戦わないんだったら金貨100枚でもあげない」
「……」
「どう? 戦ってみる?」
これって選択肢は一つしかないよね?
どんなモノが出てくるか分からないけど、ここは戦うしかない。
やっぱりミチルさんを連れて来れば良かった。
レッドドラゴンの力なら、ラヤみたいなのが相手じゃない限り、何が出て来ても勝てるはずだもんね。
仕方が無い。
私は、
「戦います!」
この変人の要求……つまり戦闘を受け入れることにした。
要求ってHじゃないからね!
多分…………。
えっ?
戦いって、Hな戦いじゃないよね?
普通にバトルだと思ったんだけど、Hバトルとかじゃないよね?
私は、急に不安になってきた。
相手が変人なだけに……。
「じゃあ、俺が作った戦闘用ロボットと戦ってもらう。勝てたら、この植物はあげるけど、もし君が負けたらどうする?」
「じゃあ、金貨100枚で」
「10,000,000Wenか。了解。じゃあ、行くぞ!」
その男が両手を合わせて何やら呟いた。多分、詠唱だ。
すると、その男の家の屋根が開き、そこから三機の飛行機が飛び出した。
飛行機って言っても全長1メートルにも満たない小さなヤツね。
まあ、模型だ。
そして、それらが変形して合体すると、一体のロボットに姿を変えた。背丈は、だいたい私と同じくらいだ。
これと戦えってことか。
別に男性器が付いているわけじゃないし、Hなバトルじゃなさそうだね。
安心したよ。
「戦うのは私一人ね。あとの二人は見学だから!」
「分かった。では、その二人には手出ししないようにしてやろう」
今は、この男の言葉を信じるしかないね。
さすがにニオベとパラスに戦わせるわけには行かないだろうからさ。
私は服を脱いだ。
中には白のビキニを着けていた。
このビキニには、ミチルさんの魔力が注ぎ込んである。それで、私が超高速稼働機能を使っても、このビキニは空気摩擦で燃えたりしない……はず。
これを選んでくれたのは、私の店の客達。
ティラノ君との戦いを見ていたからね。一応、彼らなりに私の戦闘服として選んでくれたらしいんだ。
勿論、燃えない魔法を誰かにかけてもらうことを前提にね。
たださぁ。非常に布面積が少なくて、水着としてすら機能しているのか、非常に怪しいんだけど……。
普通の人なら、下の毛が絶対にはみ出ているよ、これ。
私は、脇も股も毛が生えていないからイイけどさ……。
エロスの趣味で作られた人形だからね。
って本当にイイのか?
「女王様モードに移行! 双鞭!」
私は、ここぞとばかりに物質創製魔法で鞭を二本出した。
それらを両手で持ち、まず一本目を振り下ろした。
ところが、そのロボットが目からレーザー光線を放ってきた。マジですか?
そのレーザー光を受けて、その鞭が一気に燃え上がった。
なら、
「超高速稼働!」
私は、超高速稼働スイッチを入れた。目にも止まらぬ早い動きで攻撃してやる!
「いけぇ!」
そう言いながら、私は空高くジャンプし、再び大きく鞭を振り下ろした。
このままロボットの顔にヒットしろ!
しかし、ロボットは超高速で迫りくる鞭を掴んだ。このスピードをレーダーで完全に把握していたみたいだ。
その直後、私の身体を高圧電流が走り抜けた。このロボットが流してきやがったんだ。
普通の人間なら感電死しているかもしれないね。
人形で助かったよ。でも、もっと電圧が高かったら、私の身体は燃え出していたかも知れないね。
なんだかんだでギリギリの戦いかも。
それに、超高速稼働についてこれるってマジですか?
これ、マジでヤバイかも……。
私がそう思ったのもつかの間、今度は、そのロボットがレーザーソードを出して大きく振りかぶり、私の方に突進してきた。
しかも、こいつも超高速で動いているよ!
私を目掛けてレーザーソードが振り下ろされた。
それを私は辛うじて避けて、超高速稼働でロボットの背後へと回った。すると、今度はロボットの背中からミサイルが飛び出して来た。
今度は、私はロボットの頭上にジャンプ!
するとロボットは、上を向いて目からレーザー光線を放ってきた。
これをギリギリで避ける私。
次はロボットの右側に飛ぶ。
すると、ロボットの右手が私を目掛けて飛び出して来た。
そんなの聞いていない!
まさかのロケットパンチだ!
しかも、腕部分の両側に趣味悪いギロチンのような刃が付いているよ。これで私の身体を引き裂こうって言うのか?
まさか、こんな武器まで装備しているとは、趣味の悪いマッドサイエンティストが造っただけのことはあるよ。
私は、これも何とかギリギリで避けた。
ロケットパンチは、大きく弧を描いてロボットの方へと戻って行き、再びロボットの右腕に装着された。
マジでどうしよう?
「転移!」
私は、今度はロボットの左側へと移動した。そして、一本鞭を出すと超高速でロボットに思い切り打ちこんだ。
この攻撃はロボットに直撃。
どうも、転移した直後に私の姿を見失っていた雰囲気がある。
それで、再び私を捉えた時には既に鞭が打ち込まれていたって感じだ。
もしかして、超高速はレーダーで捉え切れていても、転移は感知するのに一瞬遅れるってこと?
これなら打開策があるかも。
私は、
「転移!」
ロボットの背後、距離30センチのところに移動した。




