24.機械音痴!
私には、男性と円滑に交流するための機能が色々搭載されている。
単に鞭を振り回すだけの存在ってわけじゃないし、ただ蝋燭を垂らして喜ぶ変態ってわけでもない。
ましてや、色気を振りまくしか能が無い女でもない。
搭載されているのは普通に考えたら変な機能……って言うか変な魔法ばかりだ。
でも、男性に媚びを売るためだけにしか使っちゃいけないってわけじゃない。戦いのために使うのだってありだ!
「機械音痴魔法!」
これが、私の持つ初公開の魔法。
多分、ナニコレって思われただろうね。
一般的には、機械に詳しい女性よりも機械音痴で男子に頼る女性の方が、男子のプライドを傷つけないし、喜ばれるよね?
それで、私は大多数の男性が、私と気分良く付き合えるよう、機械音痴の女性を演じる魔法が使えるんだ。
ある意味、計算する女だけどね……。
これを知った時、アホみたいな魔法って思ったよ。
でも、使い方次第で武器になる。
取扱説明書:機械音痴魔法を発動することで、アキ-108号は、触れた機械類の誤作動や機能停止を意図的に起こせます。これにより、アキ-108号は男性の前で機械音痴の女性を演じることが可能です。
取扱説明書:また、魔力で動くものでも、全体が金属でできていて見るからに機械っぽいモノに対しても機械音痴魔法は発動します。
取扱説明書:但し、機械仕掛けでも、大人の玩具だけは誤作動や機能停止を起こすことは出来ません。逆に直します。
取扱説明書:アキ-108号は魔力で動く大人の玩具です。そのため、アキ-108号自身に機械音痴魔法が降りかかることはありません。
ロボットの背後30センチのところに転移して、機械音痴魔法を発動した手でロボットに触れた。
すると、
「プスン!」
ロボットがショートしたのか、機能が完全に停止した。
そのままロボットはフリーズ。
このロボットが大人の玩具仕様になっていない証拠だね!
つまり、このマッドサイエンティストは、魔導士エロスとは発明のベクトルが違っているってことだ。
お陰で助かったよ。
もし、このロボットに大人の玩具としてのファクターが入っていたら、この魔法は発動できないからね。
さらに私は、
「出ろ!」
ロープを出して、このロボットを縛り上げた。
勿論、亀甲縛りだけどね。それしか出来ないからさ。
そして、私はそのロボットを木に吊るした。
「私の勝ちでイイかしら?」
「まさかマルチタスクとはな。それにしても、色々な魔法が使えるようで、君は非常に興味深い。まあ、約束だ。この植物は君にあげよう」
「有難う。では……」
私はHP……ハレンチパワーを最大値まで上げた。
またニオベとパラスが睨んでいる。
毎回こうだと、私だって傷つく。
でも、まあ、仕方が無いんだよね。
その分、
『優越感があるからイイか!』
なんて最近は思ったりなんかしているよ。
私は、これら二株の捕虫葉に指を差し込んだ。
すると、次の瞬間、鉢が壊れて、
「ボン! ボン!」
これらの植物が人間の女性の姿に戻った。
同時に私のHP表示は2,000,000/2,000,000から1,999,878/1,999,878に変わった。
二人合わせてHP122か。
助けた娘達のステータス画面が見えた。
片方がHP62、もう片方がHP60だ。
なかなかだね。
私は、ここでHPを65まで下げた。
HPを下げないとニオベとパラスが口をきいてくれないだろうからさ。
ただ、下限値の50まで下げなかったのは、助けた娘達に負けちゃうから。
それで、少し底上げしたんだ。
さらに私は、物質創製魔法で彼女達の服とブーツ……女王様仕様のヤツね……を出してあげた。
「これを着て」
「あ……有難うございます」
「どこのどなたか存じませんが……」
「他の娘達も全員助けたから。ほら、ニオベとパラス。この二人のことは分かるかな?」
「はい。二人も無事だったんだ!」
喜ぶディスプロシ島の娘達。
この様子を見ながらマッドサイエンティストは、
「まさか、本当に人間だったとはな……」
と言いながら前屈みになっていた。
裸の彼女達を見て反応しちゃったかな?
まだ服を着ていないもんね。
いや、ちょっと違うっぽい。
こっちに視線が動いた。
しかも、なんかエロいエネルギーを感じる。
そうだった!
私の恰好も相当エロいんだった!
水着として機能しているかどうか怪しいレベルの布面積で、しかも白。
ある意味、全裸よりもエロイんじゃないかって!?
さらにHP65だし。
完全に、私をロックオンしているよ!
「どうだ。ここで俺の発明の手伝いをしないか?」
「いいえ、遠慮します!」
「まあ、そう言わずに。手伝ってくれた賃金は、俺のマグナムで払うからさ」
それって、得するのはアンタだけでしょうが!
賃金じゃなくてチン○ンだし!
こっちには何のメリットも無いよ。
とにかく、ここをさっさと離れたい。
なので、
「転移!」
ニオベとパラスと、さらに助けた二人を連れて、私は強引に連続転移魔法で100キロほど離れた人通りのない路上に出た。
もう、あのマッドサイエンティストの姿は見えない。
多分、追ってもこないだろう。
「早く服を着て!」
「「は……はい!」」
私は、二人に急いで服を着てもらった。
で、これから自己紹介。
「私はアキ。植物にされたニオベを買ったのがきっかけで、ディスプロシ島で植物にされた娘達を探していたの」
「私はオリガ。まさかHPを分けていただけるとは思っておりませんでした。本当に有難うございます」
HP62子ちゃんはオリガって言うのね。
じゃあ、もう一人のHP60子ちゃんがヤーナか。
「私はヤーナです。本当に有難うございました」
ビンゴ!
まあ、ここで別の名前が出てきたら、それはそれで怖いわ。
これで一先ず、全員救出完了!
私は、
「連続転移、行くよ!」
ニオベとパラスとオリガとヤーナを連れて、ビナタの町に向けて連続転移に入った。
ただ、私は一つ気になることがあった。
凄くバカみたいなことなんだけどね。
助けた女の子達のHPなんだけど……。
ニオベが50、パラスが48、ヴァナディスが98、ナヴィアが87、ジジムが64、アイカが67、レイラが65、レナが64、オリガが62、ヤーナが60で合計665なんだ。
もし、サタンを意識していたら666にするんじゃない?
この辺、どうなんだろう?
まあ、イイか。
魔王……多分、沼尾だけど、そいつに会ったら聞いてみよう!
そんなこんなでビナタの町に到着。
私は、連続転移のヤリ過ぎでエネルギーがエンプティ直前状態になった。
急いで腹ごしらえしなくては。
と言うわけで、
「出ろ!」
私は物質創製魔法でフランクフルトを出した。メロンとバナナは、さっき食べたんで、別のモノが食べたい。
と言うか、フルーツじゃなくて肉が食べたい。
Hな方の意味じゃなくて、純粋に『食欲の方の食べたい』だからね!
それで、フランクフルトを頬張ったんだけど、ここは道のド真ん中で、しかも人通りが結構多い。
「うーん、おいしい!」
って私は声を上げていたんだけど、道行く男達は、私に変な……と言うかHな視線を送ってくる。
女性達からは思い切り嫌悪の念が湧き出ている。
一瞬、
『なんで?』
って思ったけど、次の瞬間、私も、
『あっ! しまった!』
と思ったよ。
HP65のままで、しかも布面積の極めて少ない白の水着のままだった。
それでフランクフルトを喜んで頬張っていたら、いくら何でもマズイ。
これには、さすがにニオベもパラスも私を睨んでいたよ。
もう、命の恩人もへったくれもないって感じだね。
私も、もうちょっと自重しないと……。
これじゃ自重じゃなくて自嘲になってしまう。
ちょっと違うか?




