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22.ウン……!

 連続転移終了。

 私達は、コロナ町の宿の、すぐ近くに出た。


「大丈夫? 気落ち悪くない?」

 私は、そうHP64子ちゃんに聞いた。

 人間に戻っていきなりの長距離転移だからね。

 体調を崩していないか心配だったんだ。


「大丈夫です。HPをいただいたり服を出していただいたり、何から何まで本当に有難うございます」

「私はアキ。それから、こっちの彼女はアナタと同じ植物の姿に変えられていた少女でニオベ。同じディスプロシ島の人間ね」

「はい、ニオベのことは分かります。アキさんですね。本当に有難うございます」

「アナタの名前は?」

「レナと申します」


 レナちゃんね。

 この娘もナヴィアと同様に細身で均整のとれた身体つきをしている。器械体操とか新体操を是非ともやらせてみたい体型だよ。

 フィギュアスケートでもイイ。

 絶対に綺麗な演技を見せてくれそう。


「他にアイカ、レイラ、パラスがこの宿にいるんだ」

「あの三人も無事だったんですか?」

「うん。それと、アデレー王国のビナタって町にヴァナディスとナヴィアとジジムもいる」

「じゃあ、私も入れて八人が無事なんですね!」


 仲間が順次助けられているのを聞いて、レナも嬉しそうだ。

 でも、まだ全員じゃない。

 二人残っている。



「オリガとヤーナの消息は掴めているのでしょうか?」

 これが残る二人の名前ね。


 すると、このレナの問いにニオベが答えてくれた。

 さすがレーダー魔法使い!


「西方の国に2鉢ともあるって出ているよ!」

「そっか、ニオベはレーダー魔法が使えたんだっけ!」

「うん。それでレナの居場所も分かったんだ」

「そうだったんだ。有難う!」


 そう言いながらレナがニオベに抱き着いた。

 助かって良かったよね、うん。

 綺麗な娘同士の抱擁は絵になるよ。これがムサい男子同士だったらヘドが出るかもしれないけどね。



 この日は、この宿に泊まる。

 もう、五人分を先に払っちゃったからね!


 さらに一人、急遽宿泊者が増えることになったけど、その辺は宿の方でも臨機応変に対応してくれた。

 と言うか、私達は五人で一部屋だったところに六人目を押し込んだわけだからね。

 部屋を増やさずに客だけが増えたわけだから、宿の方だってイヤとは言わないよね?



 レナが部屋に入ると、

「無事だったんだ!」

「アイカ達こそ!」

 再会できて、キャーキャー言いながらムチャクチャ喜んでいたよ。


 どうやら、レナとアイカ、レイラの三人は非常に仲良しのようだ。

 アイカとレイラも水分が身体に行き渡ったみたいで元気になったっぽい。

 ホント良かった良かった。



 とは言え、今は、旅行気分を味わっている余裕はない。

 見知らぬ町に来て、本来であれば観光気分を出したいところだけど、残る二人、オリガとヤーナを急いで救出したい。


 でも、なんだかんだで、もう夕方になっていた。

 これから連続転移魔法で残る二人を探しに行くのも厳しい。


 私一人なら、別に夜中の外出は問題ないと思う。

 でも、私一人じゃオリガとヤーナを見つけられない。

 どうしてもレーダー担当のニオベが必要になる。


 ただ、夜中にニオベを連れて出るわけにも行かないだろう。

 万が一、何かがあって私とニオベがはぐれたら、ニオベの貞操が危ない。

 HP50の若い娘だからね。

 普通なら男が山のように襲ってくるよ。

 それで、今日の探索は、ここまでで終了した。



 翌朝。

 昨日と同様に、私が起きたのが一番最後。

 他の五人は、私の超高値のHPによって放たれる淫猥なオーラに吐き気を催して目を覚ましたらしい。


 初期値の2,000,000/2,000,000に戻っていたからね。

 寝ている間にHPが復活して、しかも最大放出されるようになるって、この設定と言うか体質を何とかできないと、女性の友達は一生できなさそうだね。


 この異常値は、女性にとっては、殺意が湧くレベルのイヤな雰囲気らしいんだ。

 さすがに自分じゃ分からないけどね。

 ホント、殺されないだけマシだよ。

 もしかすると、私が彼女達の恩人でなければ殺されているかも知れないね。


 男性と同じ部屋で寝泊まりするのなんか絶対にタブーだ。

 起きる前にヤラれている。



 取扱説明書:アキ-108号は、100人乗っても大丈夫です!



 取扱説明書:ついでに、100人に乗っても大丈夫です!



 だから、そんな展開は望んでいないんだってば!

 私は目が覚めると、

「(HP下がれ!)」

 70までHPを落とした。


 普段は下限値の50まで落とすんだけど、そうするとレナとアイカとレイラに負けちゃうもんね。

 なんだか良く分からないけどさ、他の女性にHPで負けるのはイヤなんだよ!



 一先ず、パラス以外の四人の雰囲気から殺意が消えた。

 HP70台だと、パラスにとっては敵認定になるのか。

 仕方が無い、67まで下げよう。

 これならアイカと同じだし、大丈夫だよね?


 うん。

 パラスから殺意あるオーラが消えたよ。



 そして、私達は朝食を済ますと急いでチェックアウトし、

「転移!」

 連続転移でビナタの町へと急行した。



 無事、ビナタに到着。

 私達が私の店の前に来た時、既に店は開いていて男性客で繁盛していた。やっぱり高HP三人娘……ヴァナディス、ナヴィア、ジジムの集客力は凄いね。


 ふと、男性客達の声が聞こえてきた。

「お姉ちゃん達、凄く綺麗だね!」

「俺と付き合わない!」

「アキちゃんより綺麗!」

「もう君達がいればアキちゃんはどうでもイイか」

 何だと、こいつら!


 だったら私の実力を見せてやる!

 私はHPを120まで上げた。ヴァナディスやナヴィアよりも私の方が魅力的だって思い知らせてやるんだ!


 そして、

「あら、皆さん、いらっしゃい!」

 と言いつつ色気を振りまきながら、私は店の中へと入っていった。

 すると、

「やっぱりアキちゃんが一番!」

「結婚して!」

「おいおい、アキちゃんは俺んだ!」

 男性客達の言うことが一変した。

 うーん、これはこれで気持ちイイもんだね。



「おかえりなさい。で、回収はできたんですか?」

 こう聞いてきたのはヴァナディス。


 HP120を前にして普通にしていられる女性は彼女だけのようだ。ナヴィアとジジムからは敵意ある視線が突き刺さってくる。

 背後からは、ニオベ、パラス、アイカ、レイラ、レナから、殺意にも似たドス黒いオーラを感じるよ。


「アイカとレイラとレナを無事連れ戻したよ」

「良かった……。有難うございます」

「でも、あと二人いるからね。アイカとレイラとレナは、お店の方に置いて行く。これから私はニオベとパラスの三人で西に行くから」

「西? ですか?」

「うん」


 でも、本当は、西の方に行くのは少し抵抗がある。

 理由は簡単。ここから西に100キロほど進んだところに私が生まれたカリセン王国の森があるからだ。


 私を発明した魔導士エロスが暮らす森。

 ラプ男とラプ子がいる森とも言う。

 あの辺りは、さくっと素通りしたい。


 そして、その先には、現在はラージェスト王国に併合されたけど、忌まわしき元ノーソラム共和国がある。



 今回の目的地は、そのさらに先にあるウンカ公国。

「略してウンコって言うんですよ!」

 って朝食を取っている時にニオベが言っていたくらいだ。


 きっと、しょうもない国なんだろうな。

 ただ、ニオベには時と場所を考えて発言してもらいたかったよ!



 一先ず、ニオベとパラスの敵対心を消さなければ。

「(HP下げ!)」

 私は、HPを下限値の50まで下げた。

 お陰でニオベとパラスの視線から刺々しさが無くなったよ。

 逆に私の中でヴァナディスとかナヴィアへの嫉妬心が生まれたけど。


「じゃあ、ニオベ、パラス。行くよ!」

「「はい!」」

「転移!」

 そして、私はニオベとパラスを連れて連続転移に入った。



 一回目の連続転移を終了。

 ここは、カリセン王国の東部。見覚えのある場所だ。

 近くに森が見える。私は、あの森で生まれたんだ。

 でも、関わり合いたくない。


 私は、

「二回目、転移!」

 そう言って、さっさと二度目の連続転移に入った。



 次に私達が出たところは、カリセン王国の中央部。

 カリセン王国って北海道くらいの大きさしかないんだよね。


 さらに二回の連続転移で旧ノーソラム王国、現ラージェスト王国に入った。

 そして、五回目の連続転移を終えたところで一旦休憩を入れた。連続転移を5セットもやると、ニオベとパラスがゲロゲロになっちゃってね。

 転移酔いって言うんだろうか?


 そこから、さらに七回の連続転移を行って、旧ノーソラム王国を超えてウンコ……じゃなかった、ウンカ公国に到着した。



 一旦、ここで私達は食事をすることにした。

 私が珍しくガス欠を起こしたんだ。

 昨日から何回も連続転移しているし、その前からニオベ達にHPを分け与えているし、これらのことが何気に影響しているのかも知れない。


 取扱説明書には、私の連続転移にクールタイムは必要無いって書いてあるけど、多分、それ以前の問題で、エネルギーを、ほぼほぼ使い切っちゃったってことだ。


 でも、疲労感はない。

 さすが超高性能人形!


 ニオベとパラスは、すぐには食事ができる状態じゃなかったけど、三十分も休んだら食欲が出てきたっぽい。

 ただ、ニオベの情報によると、この辺りの料理は辛いとのこと。


 私はチャレンジしたかったんだけど、パラスとニオベが、

「私、辛いのは全然ダメなんです」

「私もです。なので、別の食べ物が食べたいです」

 と言うと、二人そろって私を見つめる。

 物質創製魔法で何やら美味しいモノを出して欲しいと言わんばかりである。


「でも、料理しないでその場で食べられるものって、限定されるよ!」

「構いません!」

「Me Too!」


 それで私は、

「出ろ!」

 出せるモノが非常に偏った物質創製魔法で、ソーセージとバナナ、メロンを出した。

 本当は、お湯が手に入るんだったらカップラーメンを出すところなんだけどね。



 一応、護身の意味もあって、ニオベとパラスにはナイフを持たせていた。なので、メロンを切るのは問題ない。

 ただ、何かを忘れているような気がするんだけど…………。


 …

 …

 …


 そうだ!

 ミチルさんを連れてくるのを忘れた!

 こっちではレッドドラゴンのくせして、意外と存在感が薄いんだよね。

 存在感の薄いドラゴンって何?


 ディスプロシ島に行く時は、絶対に同行してもらおう。

 相手が多分、沼尾だもんね。

 ミチルさんが一緒の方がイイだろうね!

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