214.魔法でこんなもん作り出すなよ!
「聖書で買収されたってことね?」
「まあ、科学者なら誰だって欲しくなるでしょ?」
まあ、そこは否定しないよ。
私は二度と読みたくはないけど。
「で、確認だけど、國下さんを召喚したのってゴッドサイドじゃないって聞いてるけど?」
「そうだけど……。私の召喚主のこと、知ってるのね」
「実は、ユキが大天使の下で働いて(?)いてね」
「ユキって、あの根岸さんが? どうやって大天使をたらし込んだの?」
多分、ユキイコール悪女のイメージで言ってるんだろうな。
私だって、どうしてユキが、ちゃっかりゴッドサイドにいて天罰対象から外れてて、イオナだけ天罰対象なんだろうとか思っちゃったしね。
「いや、別にたらし込んでいないってば。どうもね、大天使が別の人をこの世界に召喚しようとしたらしいんだけど、その時に紛れてコッチに来ちゃったみたいなのよ。それで、その大天使が責任持って面倒見ているみたいな感じ?」
「そんなことってあるんだ!」
「まあね。それで、大天使からの情報ってことで、國下さんが誰に召喚されたかも含めてユキから聞かされたわけ」
「そう言うことか……。ただ、コッチから質問、イイかしら?」
「まあ、答えられることなら」
「召喚主から、ビナタのアキとだけは、まともに戦うなって聞かされているけど、もしかして篠原さんが、そのアキ?」
それってマンドラゴラからも、私に対して、そう言う認識をされてるってこと?
まあ、サタン繋がりでラフレシアから、何らかの機会に情報が行っているのかな?
サタン同士の会合とかがあって。
「一応、そうみたいね。ビナタって町で八百屋メインの何でも屋をやってるから」
「そうなんだ。でも、アナタがそのアキなら、ある意味、都合がイイかも」
「都合がイイって?」
「それは、コッチの話。で、確認だけど、篠原さんはゴッドサイドよね?」
「まあ、これでも一応、女神が関与した形でコッチの世界に来ているからね」
「ってことは私にとっては敵側よね?」
「そうなるね」
この時、一瞬だけど、國下さんがニヤリと笑った気がする。
何というか、邪悪な笑みっぽいヤツ?
間違いなく何か企んでいそうだ。
「ってことは、まともに戦うなとは言われているけど、会っちゃった以上は戦わなきゃならないかな? でも、ここだと付近に住んでいる人達に迷惑をかけるから場所を変えない?」
「イイケド、ドコに?」
「この世界のマトモな人達から見て、破壊しても、最も迷惑がかからないところとだけ言っておく。じゃあ、私が転移魔法で連れて行くから」
「転移魔法が使えるんだ?」
「まあ、一応ね。じゃあ、行くね。転移!」
國下さんの転移魔法が発動した。
そして、次の瞬間、私は、何処かの丘の上にいた。
初めて来る場所だ。
「ここって?」
「ゴーランド共和国の最南端に近いところだけど」
「えっ?」
國下さんは私を本拠地に連れてきたってこと?
もしかして、彼女にとって有利な何かがあるんじゃ?
「変に警戒しているみたいだけど、別に罠とかは仕掛けていないから。単純に、ここなら思い切りやっても、ゴーランド共和国の人達とマンドラゴラくらいにしか迷惑がかからないから、ここに来ただけ」
つまり、ここなら色々破壊しようとナニしようと、チームマンドラゴラ以外は困らないから、ここを選んだってこと?
それって、國下さんが召喚された理由と逆行しているように感じるんだけど?
「ええと……幾つか聞きたいことがあるけど、イイ?」
「構わないけど?」
「先ず、國下さんはゴーランド共和国を支援するために、マンドラゴラに召喚されたのよね?」
「一応、そうね」
「だったら、ゴーランド共和国とマンドラゴラには迷惑をかけちゃマズイ立場なんじゃない?」
「普通ならそうだろうけど、一応、これでもゴーランド共和国が危ない国で、マンドラゴラの言うとおりに事を運んじゃマズいってことくらいは理解しているつもり」
「その危ない国に銃を渡しちゃってるけど?」
「一応、それが召喚主の希望だったし、立場上、召喚主には逆らえないからね。でも、敵対勢力と私がベストを尽くして戦った結果、ゴーランド共和国内を色々と破壊しちゃったのなら、それは仕方がないことってならない?」
それって、私との戦いの余波って理由が付けられれば、マンドラゴラ側にいても大手を振ってゴーランド共和国を潰せるってこと?
なんか、その発想ってケイコに似ている気がするんだけど?
「つまり、ゴーランド共和国を滅ぼす機会を窺っていたってこと?」
「まあ、そうなるかな?」
「あともう一つ。転移魔法が使えるんだったら、ゴーランドの兵士達を連れて転移した方が楽だったんじゃない? 船で移動してきたみたいだけど?」
「実は、私の転移魔法は制限があってね。荷物は結構大物でも帯同できるけど、同伴者は認められないのよね」
「えっ?」
それって、人間は一緒に連れて行けないけど、モノなら運べるってこと?
ってことは、まさか?
「私の正体、知ってるのね?」
「スペシオサから聞いた」
「ええと……」
スペシオサって、ラフレシアの部下だよね?
たしか、マリカの担当じゃなかったっけ?
もしかすると、マンドラゴラ側にも同じ名前の部下がいるかも知れないけどさ。
「それにしても、私の大学の同期が、ラフレシアと戦うために女神サイドが用意した最終兵器だったとはね。ある意味、鼻が高いわ」
「私にとっては最悪だけどね。でも、そのスペシオサってマンドラゴラじゃなくてラフレシアの部下よね?」
「そう言ってたわね。篠原さんは、スペシオサのこと、知ってるの?」
「まあ、ラフレシアの部下ってことくらいだけどね」
「そうなんだ。実は、マンドラゴラに内緒でスペシオサに頼まれてね。マンドラゴラの野望を完全に打ち砕いて欲しいって」
そう言いながら、國下さんが、両掌を広げて上空に向けると、とんでもないエネルギー波を放った。
そして、そのエネルギー波は、私達の頭上で一点に向けて収束していったんだけど、なんか、とんでもなくイヤな雰囲気に満ち溢れているんだけど!
「まともに戦うなって言われているから、まともじゃない戦い方をさせて貰うね。ってことで、私はアッチの方角に逃げるから。転移!」
國下さんは、北の方を指さすと、その場から消えた。
そして、その次の瞬間、とんでもない轟音が鳴り響いた。
私の頭上で核爆発が起きたんだ。
要は、國下さんが放ったエネルギー波が原爆に姿を変えたってことだ。
魔法はイメージが大事とか、何かの本で読んだことがあるけど、多分、國下さんは核爆発を理論的にイメージできるんだろう。
そのお陰で、私は全身が、とんでもない高温に晒されたよ。
ついでに放射能にもだけど。




