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ケイが記憶している範囲では、ケイのレベルは19だったはずだ。何故、どうして、いつの間に、という疑問がグルグルと頭の中を巡っている。殴り飛ばしたゴブリンがヨロヨロと起き上がり、這いつくばりながらギーギーと叫ぶ。この叫び声でゴブリン達を呼ばれても厄介である。刺さっている短剣を抜いてゆっくりとゴブリンに近付いていく。
「痛っ。あー、痛い。わかった、わかった。何言ってるかわかんないけど。」
死ね、と続けようとした瞬間であった。
『降伏を承認しましたので「降魔の支配」が発動しました。対象が絶対的支配下に置かれました。対象のステータスが確認できます。』
「へ?」
ケイの口から間抜けな音が漏れる。ケイの想定外のところで子分が出来たのだ。
「嘘だろ?これじゃ道化だよ。」
間抜けにも程がある。自分を刺した相手を訳が分からない内に子分にしているのだから。さらに相手の言葉が解らない。こちらの言葉も伝わらない。互いに身振り手振りも交えるが意志の疎通も出来ないのだ。しばらくやり取りをして光明は見えてきた。
「座れ。」「拾え。」
命令なら通じるのだ。ただし、「『剣を』拾え。」という名詞部分は理解してもらえなかった。命令だけが通じる理由も不明だが、それでやっていくしかない。そしてヤツは弱かった。その強さは初期のケイと然程変わらない。
種族:フィーブルゴブリン
名前:
性別:男
年齢:5
レベル:2
HP:15/75
MP:0
体力 13
筋力 14
速度 21
魔力 10
精神 16
運 20
種族スキル
異種間繁殖
精力増強
スキル
弱い。そしてゴブリンではない。フィーブルって何だ?名前も無いし、役立つスキルも無い。はっきり言って足手まといである。
「帰るのは止めだ。襲撃をする。」
戦闘は継続されるのだった。
林の先に木造の砦が見えている。その入り口目掛けてバスケットボール大の火の玉が放たれた。ファイアボールである。着弾と同時に入り口は激しい炎に包まれていく。第2弾、第3段。次々に開いた入り口へと火の玉が吸い込まれていった。
堪らずといった感じで一団が飛び出してくる。スラリと抜いた刀は2本。その2つの刃が飛び出してきたゴブリン達を切り裂いていくのだ。腕を切り落として抵抗など出来なくする。
「殺せ!」
子分であるフィーブルゴブリンに命じる。疎らに現れる増援程度ではケイを止める事は出来ない。何度目かの増援を壊滅させた時だった。
「ギー!ギギー!!」
突然子分が叫び出した。身体を押さえて震えている。心なしか身体が一回り大きくなっている気もする。
「ギー!!」
一際大きな咆哮をあげ、そして喜びを身体全体で表している。
「スキルでも習得したのか?」
改めてステータスの確認を行う。
種族:ゴブリン
名前:
性別:男
年齢:5
レベル:1
HP:290/350
MP:0
体力 66
筋力 67
速度 74
魔力 30
精神 46
運 55
種族スキル
異種間繁殖
精力増強
スキル
・・・。進化してました。
倒したゴブリン達の数は50程度。進化の条件はわからないが、レベルは結構上がっていたはずである。燃え盛る炎によって敵は出て来ないが、自分達も砦に入れなくなっていた。
「どうしよう?」
ケイは後の事を何も考えていなかった。
フィーブル。英語で弱い、貧弱とかの意味があります。




