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昼前には宿へと戻ったベラ達は悩んでいた。この城下から北に行った中洲付近に複数の騎士団がいる。領主との会談の席でその騎士団長達と引き合わされたのだ。

「最近、海の様子がおかしくてね。このままでは騎士団の方に食料を売る事も出来なくなるでしょう。あぁ、こちらの女性方はその原因を知っているとか。」

そのように世間話を振られながらである。

「ここの領主は喰わせ者ね。あの幽霊船についても知っていたようだし。」

「あの全滅した漁村を監視していたのでしょう。それより作戦会議に呼ばれたために先を急げなくなった事が問題です。」

本来であれば明日にでも出発する予定であった。それが今すぐに作戦会議である。その後はさよなら、とは出来そうになかった。

「第2分隊は宿で待機をさせておいて。会議はアタシだけで行ってくる。何かあったら任せたわ。」

「分かりました。」


第17騎士団団長グエン・エリード、第19騎士団団長ドルン・メーサー、第20騎士団団長パン・マフランの3人は既に作戦会議の場にいた。

「来たか。儂らには儂らの任務がある。おんしらにはおんしらの任務がある。ゆえに第18騎士団は先に行かせた。さあ、おんしが知りうる敵の情報を話せ。」

3人の騎士団長のうち、最も年齢が上であるドルンが会議を仕切り始める。4人のうち、最も格も身分も低いのがベラだ。求められる情報を提供するしかなかった。

「敵は幽霊船か。確認できたんはスケルトンのみ。数は500以上と。パン、任せる。」

受け継いだのは若いパン。自信に充ち溢れた表情をしている。

「はい、ドルン老。私が戦場を特定しましょう。それでベラ殿、対策の準備は終わりましたか?それを話してください。」

幽霊船対策を準備している事を見抜かれていた。

「御神水という聖水を7樽、魔物が嫌うお香を少しだけです。」

「それは儂らが貰うぞ。代わりに戦いの際は後列に配してやる。文句はなかろう。パンはそれを使え。」

ドルンは強引に物資を取り上げたが、ベラ達が何としても避けたかった最前線から外すという配慮も見せる。

「3日以内に戦場を準備してみせましょう。」

その後は連絡手段の確保などの打ち合わせで終わった。幽霊船との戦いが近づいていた。


昼に近づこうかという頃、ケイは誰もいない海で魔法の練習をしていた。魔法は呪文とイメージが大事なのだ。

「天をも焦がす原始の火の神~~」

と神を称えつつ呼び掛ける。次に

「~~であるケイが申しあげる。」

と自己紹介をする。そして

「我が願うは敵を貫く一条の炎の矢」

どのような魔法を使うか言うのだ。最後に魔法名を言って完成。

「ファイアアロー」

その間に魔法をイメージしておく必要がある。呪文だけでは発動しないし、魔法が暴走する事もあるのだ。はっきり言おう。恥ずかしい。使いたくないよ、魔法。発動まで時間が掛かるしなぁ。実験をしてみて分かったのは呪文よりイメージが大事である事。目標に手を向けたりした方が魔法の速度が上がっていた。

ファイアアローの使用MPは30。他に使える火魔法は『着火』と『灯り』、『ファイアボール』と『ファイアシールド』、『耐火付与』。聖魔法は『魔除け』と『呪い解除』、『ホーリーライト』に『浄化』、『耐呪付与』。これだけしか使えない。いや、これだけ使えるようになったと考えなければならないのだ。そして残りMPを確認しながら魔法を使う必要もある。まだまだ前途多難であった。


昼過ぎに宿に戻ったケイを待ち受けていたのは契約解除。

「お兄さん、悪いわね~。アタシ達は戦いに参加しなくちゃいけなくなったの。全滅も有り得る場所にお兄さんは連れて行けない。3日分は宿を取ってあるからゆっくりしてて。もし、アタシらが生きて帰ってこれたら、また契約してねん。」

ケイ、無職になる。

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