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現れた幽霊船は3隻。カタカタカタ。骨の音が鳴っている。敵はスケルトンか。

ケイは既に『英雄憑依』のウインドウを開いている。骨が相手では弓矢や槍では駄目だ。切断するか砕くか。船からはスケルトン達がゾロゾロと飛び降りてくる。

「うそぉん。」

ボタボタと落ちてくるスケルトンの数は100や200ではない。

「逃げるよ!馬車に乗って!!」

ベラの判断は正しい。第2分隊は10名。ケイとカルナ、カノンを加えても13人でしかないのだから。しかし遅かった。奴らに殺されれば魂は天には帰れない。そう知った隊員達の動きはいつもの動きではない。


ドン!

幽霊船が大きく揺れた。幽霊船より遥かに大きい船影がそこにはあった。あれはヤバい。

「カルナ団長も早く!」

第2分隊の面々が叫んでいる。カルナは目を輝かせて敵を見つめていた。いましたよ、戦闘狂が。

「カルナさん!!」

ケイの叫びによってようやくカルナは馬車に乗り込んだ。馬車は2台。ベラやニーナとは別の馬車に逃げ込んでいる。少しずつだが確実にスケルトンを引き離していく。先には峠へと登って行く道があった。馬車が登り始める。影が飛び降りる。

「馬は長くは持たん!私が相手をする!先に行け!!」

カルナであった。

「ケイさんを止めて!」

カルナを止めようとしたところを押さえ付けられた。

「カルナさんが!カルナさんが!!」

ケイは見捨てる事が出来るほど強くない。

「スケルトンは粉砕するか、神聖な魔法や道具を使わないと倒せないんです!!第2分隊にとっては相性が悪過ぎます!!戦えば全滅もありえるんです!!」

普段は大人しいターニャが声を張り上げてケイを叱っている。

「カルナ団長の判断も間違っていません。この広さの道では数が有利とはなりません。そして足手まといがいないカルナ団長は自由に戦えます。」

ケイを制圧しているリザが優しくケイを諭す。馬車のスピードが落ちてきた。カルナは馬の状態まで良く見ていた。

「何か!何か・・・ないんですか。」

「・・・・。ごめんね。」

リザが沈痛な声で謝罪した。


峠への入り口で大剣を振るうカルナ。一方的な戦いとなっていた。

「足りないよ!!まだまだ足りない!!あと千は連れてきな!」

矢が頬を掠める。だが、その矢傷はあっという間にきえた。

「ケイ様の雌になった時に貰った『超回復』!MPが無くならない限り私は殺せない!!」

カルナは何かによって魔力回路を抉じ開けられた。それによりMPと『超回復』を手に入れている。ケイ様の雌として精神操作を受けた事も把握している。普通なら精神操作を受けたという結論に辿り着くはずはないのにだ。把握をしたうえで、現状を受け入れる。カルナから見てケイという人物に嫌悪はなかった。

「私はまだまだ強くなる!!お前らは私の(かて)なんだよ!!」

カルナ無双は続く。


第2分隊に敵を粉砕するための武器はない。神聖な魔法を使える者もいない。そんな魔法が使えたら本国でも厚待遇のはずである。そして神聖な道具は私物の聖水が小瓶1本のみ。

「アタシ達じゃ勝てない。戦う必要もない。でも今後も遭遇する可能性はある。ニーナの意見は?」

「馬車を置いて山を越える案もありますが、荷物もありますので現実的ではありません。今後も峠と海沿いを進むルートになるでしょう。」

「なら方法は?」

「逃げるか、城下で手段を入手するしかないでしょう。」

「それで戦える?」

「計算できるのはカルナ団長だけですね。都合の良い『スキル書』でも入手してスキルを覚えれば別ですが。」

「最低金貨10枚から。魔法なら金貨100枚から。買うのは無理よねぇ。」

「騎士団に任せる手もあります。騎馬突撃なら衝撃で粉砕出来ますから。これも都合良く騎士団がいて、都合良く騎馬突撃できる戦場が必要です。」

「都合良く、ね。都合良く聖騎士団とか来てくんないかなー。」

「無い物はありません。聖水を買えるだけ買う。対魔兵装を探す、が現実的かと。」

ベラとニーナの作戦会議も終わろうとしていた。

「隊長、後ろの馬車も来たで!」

別れていた第2分隊は合流を果たしたのだった。

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