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異世界生活7日目。

複数の舟に別れて川を降る。何事もなし。舟を降りた後は船頭に教えられた通りに山道を進むだけだった。時々見える海はキラキラと輝き、ここが異世界であるという事を忘れそうであった。

山道を降りるとそこは海だ。漁村もあった。漁村があったのだ、数日前までは。

「隊長、血の渇き方から10日以上はたってます。」

「生存者はいません。」

魚は干されたまま。子供のおもちゃも転がっている。日常は残されたままだ。

日は曇り、海霧も出てきた。

「ベラさん、ニーナさん。警戒してください。こんな日中に海霧は発生しない!!」

科学で習う霧の発生条件に一致しない。

「よく分かったのう。」

浜に1人の男がいた。琵琶法師?ベラ達にも声が聞こえたのだろう。皆が集まってきた。

「異国の人々よ。拙僧は『海座頭』と呼ばれる存在。あの災いは貴女方が運んできたものか?」

「アタシ達ではないわね。」

ベラが対応しているが分からない事がある。

「1つ聞いていいですか?あの災いって、どの災いでしょうか?」

見た目は老人だ。敬語を使わねば。

「異国の船に乗り暴れ回る死者どもよ。あのような存在、この付近では500年は見なかった。ゆえに問うておるのだ。」

「ごめんなさい。それについては初めて聞いたわ。」

「そうか。この村も其奴らに襲われたのよ。可哀想に。魂は天には帰れず、どこかに連れて行かれたわ。」

「それはおかしいです!死した魂は天に帰り、神様の元でゆっくりと休むはずです!」

治癒師の娘が叫んだ。

「だが、天には帰れなんだ。汝らも気を付けよ。」

海座頭は霧に消え、霧は幻の様に消えた。


魂が連れて行かれる。ケイには何の事か理解できた。

「1つ聞きたい。死んだ後に魂が天に帰るのは大事な事なのか?」

「お兄さん、こんな時に何をふざけ・・。知らないの?」

「魂が天に帰る事により死すらも祝福されるのです。日頃の行いによっては生まれ変わる事も許されます。つまり、魂が天に帰れないという事は魂のまま苦しんでいるという事なのです。そもそも。」

「長くなるから。」

ベラが治癒師の口を防いだ。

「皆は神様は知ってるんだよな?」

「お会いした事はありませんが。」

ニーナの発言に皆が頷く。

「お会いできるのは各神殿上層部の方か聖人様かと。」

修道女でもある治癒師の娘が呟く。

「その神様達に敵対する勢力がある。旧い神様や新しい神様の勢力だ。その勢力に殺された魂は天には帰れずに旧い神様達の力になる。」

「それはお兄さんの推測?」

「確定情報だ。確か過ぎる筋からの情報だから間違いはない。嫌な事にな。」

「ケイさん、その情報はどこから?そして貴方はどこに属しているのですか?」

いつの間にかニーナのナイフがケイの首筋に当てられていた。そしてニーナの首はカルナが握っていた。

「ニーナ、止めときな。首を握り潰すぞ。」

ケイは答えたくても答えられない。名前はポンコツで覚えているし、その上司の女神は名前すら聞いていない。

「ニーナ、止めなさい。私達は騎士なのよ。そんな情報部みたいな事をする必要はないわ。」

ベラがニーナを制止した。

「それに、そんな事をしなくてもお兄さんなら話してくれるわ。そうでしょ?」

そうきたか。

「何を話せば良いんだか。話し様がないんだよなぁ。どこにも所属していないって言っても信じて貰えなさそうだし。情報も神様に教えて貰ったといっても信じないでしょ?」

「うーん。それはさすがに無理ねぇ。お兄さんが謎過ぎるからニーナもあんな事したんだし、何か教えてよ。」

「なに・・。あれ?また霧?海座頭さん?」

再び周囲は霧に覆われていた。ゆっくりと、ゆっくりと大きな影が海から近付いてくる。朽ちた帆船だ。

幽霊船の登場だった。

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