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それは闇の中での会話。
「我らを嗅ぎ回っていた連中は?」
「6つの部隊のうち4つは始末が終わっております。」
「残る2つも急げ。どのような証拠も握らせるな。我らの気付いていない証拠が残っている可能性もあるのだ。」
「はっ。しかし、現地での証拠隠滅は完璧なはず。」
「謀とは用心に用心を重ねて為すもの。全ての可能性を考えねばならぬ。うぬはそれも分からぬか。」
「も、申し訳ありませぬ。」
「まぁ、良い。うぬが自ら行け。事が済むまで帰ってくる必要はない。」
「お許しを。何とぞお許しを。」
「3ヶ月やろう。それで片付かねば自決しろ。」
「・・・。」
「見事戻れば一軍をくれてやる。」
「はっ。」
「消えろ。」
男は1人になった。
「あれは使えぬな。少しは役立つかと思ったのだが。立身出世を夢見る駒はいくらでもいる。使える駒がおれば良いが。」
男は闇の中で目を閉じた。
明るいうちに宿に戻ったケイはご機嫌である。筋肉痛さえ無ければすぐにでも刀を振り回したくて仕方がない。とはいえ、筋肉痛はあるわけで。
そして宿の入り口で華麗にUターンをする。
「いたのです!」
見付かった。見付かってしまった。
「早く戦いの話を聞かせるのです!」
「いや、大した事はしてないから。皆の方が活躍したんでしょ?」
「村の子供達が言っていたのです!風のように馬で現れ、雷のごとき弓矢で山犬を倒したと。」
第2分隊最年少、『麒麟児』ルカ12歳。10歳で初めて剣を握り11歳で平民騎士になったそうだが、中身はやはりお子様である。
朝から活躍の話を聞かせろと煩いのだ。
「むかーしな、在るところに老夫婦が住んでいたんだ。その夫婦が洗濯のために川に行ったところ・・・。」
自分の戦いの話等できない。それならと、桃太郎の話を改変して聞かせる。
「こうして桃太郎は鬼を倒した。それはそれは長い死闘。多くの血が流れた。だが戦いは終わっていなかった!!『儂は4人の中で最弱!』鬼が最期に残した言葉は事実だったのだ!!」
「おおっ!!」
「だが!桃太郎はそれに気付いていなかった!!」
「桃太郎さん、気付くのです!!」
「次回、危機に気付かぬ桃太郎にライバルが現れる!!『敵か味方か?小さき剣士!』乞うご期待!!」
「凄いのです!凄いのです!!」
ルカは興奮している。
「お兄さん、何から突っ込めばいいのかな?」
「聞き入っていた私達も私達ですが。」
いつの間にか第2分隊の面々も聞いていたみたいだ。恥ずかしい。
「子供向けの話だからな。おかしかったか?」
「酷いのです。ルカは子供じゃありません!!立派な『れでぃ』なのです!」
「ルカは大人の女性だもんなぁー。お兄さんは酷いよなぁー。」
ルカは怒るし、ベラは便乗して騒ぐし。
「他にもいくつかあるぞ。例えば『体は大人、中身は子供。迷隊長ベラ』とか。」
ベラを指差しながら話す。第2分隊に爆笑が起こった。
「あ、あかん。腹筋が。腹筋が。」
「ククク。苦しい。ダメ。笑っちゃダメ。」
ケイの頭がガシッと捕まれた。
「お兄さん、裏で大事な事を話そうか。」
「愛の告白かな?」
ベラの指がケイの頭に食い込んでいく。
「アタシ、子供だから好きな人を苛めたくなるみたい。」
「痛いです。痛いです。そんな愛の告白は要らない!痛いって!」
「子供だから仕方ないよね?」
「可愛く言われても痛さは変わんない!いーたーいー!」
いつもと変わらぬ第2分隊であった。




