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朝起きても筋肉痛は治まっていなかった。
「痛いよー。痛いよー。」
今日はこの村を出発するはずだった。
「あれ?お兄さん、何してるの?」
部屋に来たベラが不思議なものを見る目で尋ねる。
「今日出発するんだろ?準備してるんだよ。うぅ。痛いよー。」
「出発は明日だよ?舟でバーーンって川下り。言ってなかったっけ?」
「聞いてないよ?」
「たぶん寝てるお兄さんに言ったような気がしたり、しなかったり?」
「つまり?」
「お兄さん、この事はニーナには秘密にした方が良いと思うの。主にアタシのために!」
「言い忘れていたと?」
「忘れていたわけじゃないわ。今言ったもの!」
ベラに言わなくてはならない事がある。
「わかった。ニーナさんには言わない。」
「ありがとう、お兄さん!」
「だけど後ろにいるニーナさんにはバレてるぞ?」
ベラがギギギギギと音がなりそうな感じで首だけ後ろを向いた。そこには笑顔を貼り付けたニーナがいる。
「おはようございます、ケイさん。朝から悲鳴を聞かせる事になってすみません。」
「もう慣れました。いつもお疲れ様です。」
冷や汗を流しながらベラが後退りしていく。
「お、おはよう。ニーナは今朝も綺麗よ?ほら、怒るとシワが増えるって言うじゃない?」
「つまり、私の顔にはシワがあると?」
ベラは火に油を注ぐ天才である。わざとなのか天然なのかは誰にもわからないが。ケイの部屋で逃走劇が始まる。やはりいつもの第2分隊であった。
わざわざ起きたのだ。どうせなら市を見よう。そんな考えで市へと向かう。行き交う村人に呼び止められ、感謝をされる。嬉しいがとても照れ臭い。
村の市は小さかった。10店舗くらいか。川魚を売る店。鍋などの金物屋。山菜を売る店や肉屋もある。その中で1つの店が目に止まった。刀、槍、胴丸。武器や防具の店である。
日本刀。男子の憧れ日本刀である。奥に飾られてる刀を見る。
「おぉ、村の恩人様じゃねぇか!!何か買っていくかい?」
嬉しそうに店の人が話しかけてきた。
「カ・タ・ナ。」
いかん。おかしなテンションのままだ。
「刀を見たいんですが。」
「いいぜ、いいぜ!!あの奥の刀はな、城下の有名な刀匠の作だ。この店の目玉で金貨1枚だぜ!!」
き、金貨・・!なんですか、その絶望的な値段は!
「今はお金がないので・・・。」
「うーーん。数打ちもんで良ければ、そのゴザの上だな。」
ゴザの上の刀を見ていく。錆ついていたり、刃こぼれをしていたり。店の人を見るとバツが悪そうにしていた。
「手入れの金の方が高くつくんだよ。刀の研師なんて村にはいないからな。でもよ、時々俺が研いでいるんだぜ!頼む!買ってくれ!!村の連中は買ってくれないんだよ!」
「いくらで?」
「ゴザの上のは1本銀貨1枚でいい!!そうだ!俺のひいじいちゃんの刀も付ける!錆がスゲーけど一条の殿様から直接貰った刀なんだぜ!!」
「その刀を売ればいいんじゃ・・・。」
「研師にも研ぎを断られたんだよ・・。打ち直した方が良いって。」
「あー。同情はする。」
「なぁ、買ってくれよ!!こっちのは新人刀匠のだから安くて良い!新品だから錆びちゃいない!」
「で、どんな問題が?」
「うっ。練習で打った刀だから鉄が悪いんだ。」
「それだけ?」
「失敗作って言ってたから刀身も・・。」
完全に危ない店だ。
「頼むよぉー!そろそろ売れないと困るんだよー!!」
その時ケイは1つの可能性に気付いた。
「その拝領の刀の他に錆び付いてる名刀はある?」
「じいさんが戦場で拾った歯こぼれしてるのなら・・。それも打ち直すしかないそうだ。」
「じゃあ、その2本を銀貨1枚で買おう。鞘から抜かなければ名刀なんだろ?気分だけ味わうよ。あっ、でも使える刀もいるか。」
「本当か!ならゴザの上のを2本で銀貨1枚で良い!全部で銀貨2枚だ!!」
「うーん。まぁ、良いか。」
仕方なさそうに刀を4本買って市を離れる。そして歯こぼれしている数打ちの刀に『修復魔法』をかけてみる。結果は成功だ。錆びついていた名刀も無事に修復できた。刀には詳しくないが気分は良い。こうして2本の名刀と刀を2本手に入れたのであった。




