表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/45

15

動かすのは危険と判断してその場で鎧を脱がす。

傷1つない身体に最近出来たばかりの腹の切り傷。内臓が出ていても不思議ではない。いや、内臓が傷付いている可能性もある。

「アタシは治癒師を連れてくる。ニーナは周辺を警戒。」

ベラは指示を出すと風邪のように走り出した。


ケイとしては吐きたい。吐きたいがそれどころじゃない。

「カルナさん、水を汲んで傷口に掛けてください!!」

「それからニーナさん、殺菌作用がある薬草はありませんか?」

「菌?菌とはなんだ?」

ニーナには菌が理解出来ていないようだ。もしかしたらこの世界では菌は発見されていないのか。

薬草を探している時間はなさそうだ。カノンの傷とは違う。両手を傷口にあて『手当て』を開始する。

「ケイ様は治癒が出来るのか?」

「ただの『手当て』です。」

「『手当て』って擦り傷を治す程度だろ?痛みを和らげるくらいしか・・。そうか。」

カルナは一度目をつぶり、そして言葉を吐く。

「ベルドラン殿。いつも傷だらけの私が無傷で、いつも無傷の貴殿が致命傷を負う。皮肉だな。出来れば戦場で貴殿を討ち取りたかった。貴殿の最期は見たくはない。私も警戒につく。さらばだ。」

カルナは離れて行った。

手を当てて『手当て』を継続する。MPがガンガン減っていくのがわかる。

「手当てって結構MP使うよな。燃費悪いなぁ。」

ぼやかないとやってられない程、状況は良くない。早く治癒師に来てもらわないと・・・。

どれ程時が流れたか。ケイの体感では何時間も掛かった気がする。


「治癒を開始します。どいてくたさい!!」

そう言われるまで治癒師の娘が来た事にも気付かなかった。

・・・・。

岩に腰掛け、ボーっとする。あのオッサンは助かるだろうか。自分は何か出来たのだろうか。皆が集まり騒いでいる。どうなった?

「おかしいです!おかしいです!!『手当て』でこんなに傷が治るはずはありません!!『治癒』を使ったはずです!」

「でも本人は『手当て』って言ったんだろ?」

「あっ、ああ。だから私は命は助からんと・・。」

「『手当て』では無理、ですね。」

治癒師の娘が一際叫んでいる。

「助かったんですか!!」

ケイは駆け付け、一番聞きたかった事を尋ねた。

「あれで助けられなかったら、私が無能じゃないですか!」

「え?治癒師ってあの傷でも助けられるんですか?凄い!!」

「「「???」」」

「えとな、お兄さん。この娘が引き継いだ時、傷口はアタシが見た時より小さくなってたんよ?」

「?」

会話が成立しない。

「あの、あの。ケイさんの『手当て』をしてもらっていいですか?」

治癒師の娘に言われて、目の前で実演する。

「こんな感じでずっとするだけですけど・・・。」

「それです!それが変なんです!!『手当て』って10秒くらい手を当てるのが普通なんです。効果はわずかで、それでもMPはしっかり1使いますし。対する『治癒』は5分くらい時間はかかりますしMPも100くらい使います。でも効果はハッキリしてます。

5分『手当て』をしてもMPは30かかる割には怪我は治りません。でも1時間なら?2時間なら?効果は目に見えてあるでしょう!でも、それにはどれだけMPがいるんです?1時間で360。2時間で720です!!」

「えっと?つまり?」

理解できない。

「ケイさんが変なんです!変なんです!私なんて必死にMPを遣り繰りして、皆のために頑張ってるのに~!」

泣き出してしまった。何かが心の琴線に触れてしまったようだ。

「あ~あ。泣~かした、泣~かした。で、お兄さん、MPいくらある?力業で怪我を治すくらいだから・・・。」

「隊長、マナー違反です。ケイさん、つい、うっかり、漏らすのなら仕方ないですよね。MPはいくらですか?」

「え?言わなきゃダメ?」

「そうですね。うっかり言ってくれたら隊長の下着をあげましょう。」

「655きっちりです!!」

「では、これを。」

白い布地が渡された。

「それ、アタシの昨夜の下着!!渡すんなら新品でしょ!」

「殿方はシミ付きが好みとか。しっかりシミは付いてますから。」

「ワー!黙りなさい!!」

やはり世界は混沌としている。今日も空は綺麗だなぁ。

ベルトラン・サーペント。

神聖帝国が誇るかつての英雄。戦場においても無傷であり、その槍は炎も切り裂いた。高潔すぎる性格のため、軍上層部と貴族には嫌われている。本人も出世には興味がない。

帝国内で流れる架空の冒険譚には辟易しているが、子供達の夢を壊したくないため否定できずにいる。


カルナ・ミラノ。

ガルイン王国の名物騎士。個での戦闘力では王国でも随一。頭は悪くないが、頭を使う気がない。身長180を超える長身と男勝りの性格により女性人気が高い。なお、丁寧語は自信がない。

戦闘により身体は傷だらけであるが、本人は強敵からの贈り物として傷を消す事は考えていない。

最近、ケイの雌となったらしい。身体にも変化が現れ始めている。


カノン・ビール。

神聖帝国の新米騎士。実家は典型的な没落騎士家。本人も騎士としては平凡な能力である。才能はないが努力家。騎士として高潔でありたいと思ってはいるのだが・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ