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ケイ達が叫んで盛り上がっていた頃。

第31騎士団から第40騎士団を率いるグルコニア将軍は『旧き堕ちた水神』との戦闘を行っていた。将軍達は離れた天幕にて指揮をとっている。

「まさかヒノモトに水蛇と同種の存在がいるとはな。毒を撒き散らす水蛇。何と言ったか。」

「『ミズチ』だそうです。ヒノモトと紂帝国にだけいるそうです。ただ『イチジョウ』様と『ミヨシ』様からの情報ではミズチも急に現れたと。」

「そうか。紂め、やってくれたな。」

「何か?」

「いや、それで状況は?」

「情報を知らせる使者を各将軍と『イチジョウ』様、『ミヨシ』様に出しました。戦況は囮を使って『神』を水辺から引き離す事に成功。『神』と3体のミズチを全軍で包囲。現在は飛び道具で対処中です。」

「それでいい。決して騎士らしい戦いをしようとするな。勝てば いいんだ。戦いに美学なんかいらぬのだ。」

「しかし、第31騎士団、33騎士団からは突撃の許可を求めてきています。」

「却下だ、却下。」

「で、伝令!第40騎士団団長カルナ・ミラノ様が単騎で突撃しました。第40騎士団自体は飛び道具での攻撃を継続中です!!」

「あの戦闘狂めが!!」

グルコニア将軍が椅子を蹴って立ち上がった。

「各騎士団に突撃せぬように厳命せよ!!あの馬鹿女に続くなと言え!!」

戦況は騎士団有利で進んでいく。


神聖帝国の将軍グルコニア・ナンコツ。徹底した合理主義者であり、名誉や美学を求める戦いを非常に嫌う。優秀な将軍でありながら貴族達には嫌われ、厄介払いで今回の任務へと送られた。対するカルナ・ミラノは神聖帝国とは何度も刃を交えたガルイン王国の名物騎士である。戦い方は突撃のみ。罠など粉砕して進んでいくのだ。今回は自ら志願をしていた。そこに戦場があるからだ。

「アハハハハ!相変わらず辛気くさい戦い方だね!何度も私に叩き潰されたってのに、何も学んじゃいない!!」

カルナは活き活きと大剣を振り回し、無人の野を進むが如し。

「あの馬鹿が!何度部隊を全滅させたか忘れたのか!!だから騎士止まりだと気付け!!構わん!!あの馬鹿ごと射殺せ!」

因縁がこの戦場に持ち込まれたのであった。


数多の矢に水魔は倒れ、あらかじめ用意された投石機から放たれる岩は水蛇とミズチの力を奪っていく。楽しそうに戦うカルナによってミズチの1体は倒れ、瘴気をあげながら水へと帰る。

勝利は間近、と思われていた。突如包囲網が崩れる。気付かぬうちに水辺より新たなミズチが3体現れ、背を向けていた騎士団に襲いかかったのだ。攻撃が弱った隙に水蛇は水魔を次々と生み出していく。堪えきれなくなった騎士団は勝手に突撃を開始した。

「天幕を出るぞ!直接指揮を取る!!」

グルコニア将軍も動き出した。各自がバラバラに戦う中で各団長達は奮闘した。そして夜が明ける。

勝ったのは『旧き堕ちた水神』。付き従うは2体のミズチのみ。今の水蛇に新たな水魔を生み出す余力はなかった。水蛇はズルズルと体を這わせて水辺を目指す。体を休めるためには水が必要である。残ったのは穢れた水に溢れた戦場と多くの死体。その中には五体を裂かれたグルコニア将軍の姿もあった。


ケイ達が夜を過ごした場所から、わずかに10キロほど離れた場所での出来事だった。

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