遊び人、再度パーティをクビになる───
◆◇◆◇◆
「お前はクビだ」
3年目。俺ことディランは王様に悲報を伝えなければならないかも知れません
◆【全く成長しない勇者パーティ】
赫灼王から脱退し、新たな力を持って勇者パーティに舞い戻ったはいいものの、バベルに行った俺と違い勇者パーティは『無駄』や『無駄』『異教徒の建物』としてバベル訪問をせず成長をすることなく、鍛錬を積むことなく何度も魔大陸への上陸をトライし続けていた
遊び人だった頃と比べて遥かに余裕が生まれた視野により、新たな問題が見つかった
先ずライアスはリーダーとしての威厳がない。ミカエルと比べるなら月と不浄土だ。比べられるところがない。剣の才は認めるがバベルに行かなければもう成長は見込めないだろう
次にアイーザ。比較的まとも法術による攻撃が役に立っている。しかし、問題はそこではない。バベルを訪問していないせいで『高価な使い切りの強化装備を湯水の如く消費している』ことだ───ただでさえ、口の小さな蛇口を毎度毎度全開して、終いには配管に穴ぶち開けて垂れ流しにしていると言った様子だ。火力は出るが燃費が最悪だ
最後にミルス。聖法は問題ない、呪法も文句なし。だからこそ不服だ。味方を信用していなさ過ぎる───いや、前に出過ぎていると言った方が正解だ。早々にやられて回復が回らなくなる。加えて回復する相手を選択するのはマジでやめてくれ
◆【最も厄介なのは】
俺に対するパーティの当たりが毎度強い。かれこれ12回パーティを抜けている。その度に【物真似】───【お飯事】の上位互換によって『擬似的な転職』を繰り返した。名前を変え、声を変え、性別を変え、身分を変え、役割を変えてとetc
しかし、どれほど頑張ってもパーティに馴染めないのである。最初こそ俺が悪いと思っていたがその領域はとっくに過ぎてしまっている
剣術で上を行けばライアスに気に食わないと叩かれる。法術による活躍をすればミルスがブチ切れ、終いには諸共焼きにくる。聖法は被りなら『別のパーティに』と言われ、異教なら露骨に殺そうとしてくる。マジなんなんこれ
結局のところ、道化師として顔合わせしている13人目の『ディラン』として加入している今が1番長い、彼ら彼女らは俺のことを覚えていなかった
それでも当たりが強いのは相変わらずだった
◆【それもそう…なのだろうか?】
それから魔将を7人をあの手この手で倒したはいいものの、魔王との戦いで絶望することになった。圧倒的な差って奴を見せつけられた。本気でやっても敵う気がしなかった
それで国王陛下から賜っていた『雲隠れの宝玉』を使い、戦線を離脱した
◆【そして現在】
「お前はクビだ」
13回目のクビを言い渡された。何この既視感
もういいでしょ。魔大陸に船は置きっぱなし、宝玉は使った、手は尽くした。その代わりに7魔将は下しました。相手の戦力を削ぎ、人類に復興の猶予を齎しました。勇者パーティ、ひいては国王への献身はこれくらいでいいでしょ
もう疲れました。魔王を倒すためならと思ってましたがもう無理です。うんざりです
「おい…」
「はいはい、えっと金とアイテムと
それから…」
「いやに物分かりがいいな」
今回ばかりは立場が違う。俺はお前らに雇われた身ではなく、成果を上げられないお前らの監視役だ。5年の成績不審と3年による大躍進を国王に報告すれば流石に再編されるだろう。ざまぁ見さらせ
「はい、んじゃお疲れ様でしたぁ〜」
◆【王城に向かってこのことを王様に報告した】
「大義であったぞディラン」
「勿体なきお言葉、感謝します」
「しかし、何とも不甲斐ない
王国連合の報告はやはり信用がならんな」
どうやら、国王陛下も不審に思っていた様だ
「急ぎ雲隠れの宿へ兵を派遣し
勇者パーティを連れて来い」
◆【ようやく肩の荷が降りた】
王城を後にやや曇り空に手を伸ばす
「魔王、強かったなぁ」
まだ勝てる気がしない。俺の旅路は終わっていない。勇者を排斥した今、俺のやるべきことが変わった
「魔王待ってろ」
俺は決意を新たにバベルへと向かう
「取り敢えず、稼ぐか」
◆【足取りはあの時よりかは軽かった】




