第13話 タイツは破るためにある!
白雪さんに《《告白》》された翌日。
放課後、彼女は俺の席にやってきた。
「一緒に帰りましょう」
あどけない笑顔で白雪さんは誘ってきた。
昨日の告白の返事、俺は保留にしているはず。
というか、そもそも返事する時間すら与えてくれなかったのだ。
柏木さんと小野寺さんのほうに視線をやると、二人ともまじまじとこちらを見つめていた。
きっと怒っているのだろう。
なにせ、自分たちのおもちゃでしかない俺にほかの女の子が話しかけているのだから。
縄張り争いとでも言うべきか、二人の目からは殺気めいたものを感じ取れる。
しかし、これはチャンスだ。
今日こそはっきりと白雪さんに返事をしよう。
「分かった」
そう言って、俺は白雪さんとともに教室の外を出た。
「あの、白雪さん……」
「ねえ、綾人くん、羽依の家に来ませんか?」
「白雪さんの、家?」
「はい、《《恋人》》なので……」
頬を赤らめる白雪さん。
なぜだかすごく可愛く見えた。
確かに道端で告白の返事をするのは失礼だし、かと言って俺ん家に呼ぶわけにもいかない。
ならば、白雪さんの提案はベストなのだろう。
「分かった、行こう」
「はい♡」
俺が頷くと白雪さんはまた無邪気な笑顔を浮かべた。
しばらく歩くと、一軒のマンションが見えてきた。
数えてみると、9階建てのようだ。
「ここの9階です」
白雪さんに案内されるままエレベーターに乗り、目的の最上階に着く。
そして、彼女は鍵を取り出して一室のドアを開けた。
「どうぞ」
「お、お邪魔します」
中に入ると、正面に細い廊下が伸びていた。
右手に靴箱、左手にはドアがいくつか並んでいる。
奥に進むと、そのままリビングに繋がっていた。
部屋の中央にはソファとローテーブル、その向かいにテレビ。
キッチンは壁付けで、冷蔵庫と食器棚がすぐ横に並んでいる。
カーテン越しに差し込む光で、室内はやわらかく明るかった。
「羽依の部屋はここです」
一つの部屋を指さして、白雪さんは中に入っていった。
おそるおそる俺も白雪さんの後に続く。
そして部屋の中に入った瞬間、視界が一気にピンクに染まった。
カーテンもベッドカバーも淡い色で揃えられていて、部屋全体がやわらかい雰囲気に包まれている。
ベッドの上には小さなクッションやぬいぐるみがいくつも置かれていて、どれも可愛いものばかりだ。
机の上も綺麗に整えられていて、余計なものは見当たらない。
棚には小物やアクセサリーが並べられていて、女の子らしい空間って感じだった。
思わず、足を踏み入れるのをためらうくらいには、いかにも女の子の部屋だった。
「あの、白雪さん……」
「ベッドに座りましょう」
とん、と。
白雪さんのお尻がベッドの上に乗った。
すると、反発で小さく跳ねる。
そして、今度は自分の横を軽く叩いて俺を招く。
こくり、と喉を鳴らした。
白雪さんの白い脚の先に、純白のパンツが見えたからだ。
もはや境界線など見分けられず、その部分も脚の延長にしか見えなかった。
俺なんかが白雪さんのベッドに座っていいのかと悩みつつ、ゆっくり腰をかける。
「ちょっと待っててくださいね」
お茶だろうか。
いいのに、そんなの気を遣わなくても。
しかし、白雪さんが向かったのはリビングの方ではなく、棚だった。
そこから丸まった黒い《《なにか》》を取り出し、自分の足をそれに入れる。
タイツだった。
部屋の中とはいえ、冷えるのだろうか。
そう思った次の瞬間、俺の視線は白雪さんに釘付けになっていた。
タイツを履くために曲げられた足。
その指の一本一本が綺麗な形をしていた。
大きくもなく小さくもない。
まるで天使のそれのようだった。
そして、なによりも。
脚を上げたことによって、ちらっと見える白雪さんのあそこの形。
パンツに包まれているにもかかわらず、ぷくりと膨らんでいて、そして何本かの毛が布地からはみ出していた。
《《小野寺さんとは違うタイプだ》》。
しかし、至福の時間はすぐに終わった。
白雪さんがタイツを履き終わったのだ。
ちょっと残念に思いつつ、これでいいんだと自分に言い聞かせた。
このままだと、本気で白雪さんと付き合ってしまいたいと思っちゃうからだ。
そんなのは性欲でしかなく、白雪さんにもすごく失礼だ。
「《《準備が出来ました》》」
やっと俺の返事を聞く気になったのか、白雪さんはベッドの上に戻った。
「え……?」
と思いきや、ベッドの真ん中に移動して足を思い切り開いた。
タイツに包まれている白い脚と純白のパンツ。
それだけで背徳感MAXなのに、
「破っていいですよ?」
聞き間違いだろうか。
白雪さんは今破るとかなんとか言ってなかったか?
「好きなんですよね」
一瞬、頭が真っ白になった。
『女の子が履いてるタイツを破りたい』という俺の性癖は裏垢でしかつぶやいてなかったはず。
なのに、なぜ白雪さんがそれを知っているんだ。
しかし、そんな疑問を吹き飛ばすかのように、白雪さんは俺の手を持って自分の足の上に置いた。
脊髄反射のように、俺は白雪さんの足を握りしめる。
「んぁっ……」
そして、俺はピリッと白雪さんのタイツの先端を破ってしまった。
この行為が――
俺と白雪さんの関係を余計にややこしくしたことを、もちろんこの時点の俺には知る余地もなかった。
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