第5話 暗闇に光を
こんにちは初めまして、本作を開いて下さりありがとうございます、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。
「それで?この子を連れて帰ってきたと、」
「そうです、私たちが彼女を安全と証明する担保のようなものだと、」
「ん〜君ちょっと此処で待っててもらえるかい?」
「は、はい」
部屋に残して、廊下に出る
「あれはどんな種族だろうね、犬? 狼っぽいけど」
フードを被ってて気づかなかったが、長い耳が生えていた、尻尾も、ここまでは遠目に見えていたが間近で見ると、
「ファンタジーですよね〜ますます」
「呑気だな〜、でも確かに悪意はないし、あった時少し看破の神秘を使ったけど、殺害数、傷害数、盗み、その他
犯罪なし、ほんとに可哀想なだけの子だよ、処刑は違う、まぁそれも私たちじゃないと分からないから」
仕方ない、私たちにしか見えていない以上、王族を襲った盗賊の一味、それだけで十分理由とはなる、私たちの采配でだけ、無罪、これでは本来なら納得などいくはずもない。
「よし、ならしばらく様子を見ようか、ひと段落着いたあとは、その時考えよう」
「ということで、しばらくよろしくね、え〜っと、君名前は?」
「ないです、両親がつける前に死んだ、から」
苦笑しながら戸惑うラナンさん、死んだということを理解している、そんな状態でずっと奴隷だったと、思った以上というか、悲惨すぎて苦笑すら出ない現状だった。
「名前が無いのは不便だし、どうしようか、君さえ良ければ仮名をつけてもいいけど」
「はい不便ですし、お願いします」
「ラナン?貴方がつけるんですよね?」
イタズラな笑みを浮かべた彼女は
「私の名前つけたのだーれ?」
と言って肩を軽く叩く、ため息を少しつき考える
「一応、君の好きなものとか、あったら教えて欲しいけど、何かある?」
「花です、特に白い花が好きです、」
白い花、母の好きな花に白い花があった、墓前にいつも供えていた花
「リリー、が一番しっくりきたんだが駄目か?」
満足気な顔をし、小さく頷く、
「良かったらしいね、名付けは得意なんだね〜リーベルは」
「こんな思いつきで良ければですが、リリーは私の母の好きな花の名前です、白い花、威厳や高貴という花言葉もありました、この子は少し似ていると思ったので、私の母と」
「そっか」
王城 玉座の間
「また被害か、例の魔物か?」
「はっ、やはり出ないはずの時間帯にアンデッド、湿地帯にしか出ないはずのハイリザードマンとの事です」
「あの者らとの関連性は?」
「不明としかいいようがありませんが、彼らが来てから少しづつ増えてきています。」
娘を助けてもらった、友を助けてもらった、国民を助けてもらった、しかし...
「わかった彼らをここに呼べ、」
「国王様、何用でお呼びでしょうか、」
「うむ、ココ最近おかしな魔物が出現している、正確には本来出ないはずの魔物が出現していると言った方が正しい、しかもそれはそこにいる者たちの最も恐怖する魔物となるという報告だ、お主達が来てから、この報告は増えた、何を言いたいかわかるか?」
正しい推論と疑い方だ、むしろ呼び出されるのが遅かったとすら思う、勘弁して欲しいほどにあちらの目線では正しい、否定しようにも、素性を明かすなんてあってはならない、相手の存在の正体すら明かして良いものか、
「お待ちください、お父様」
突如扉が開き、レナイト様が私たちの前にたちはだかる、まるで庇うかのように手を広げ、
「彼らは私たちを、そしてワイバーンから国民を救ってくださいました、なにか危害を及ぼすのなら放っておくか、あるいはワイバーンに加勢すればよかったものを、そうせず倒し、助けた意味はなんだと言うのですか?」
王はそれを聞き、なおしかしと言葉を紡ぐ、口喧嘩という感じが正しいか、
(私から話そう、ここまで来てここを壊滅、は後味が悪いだろ?それに敵のことはせめて話しておこう、悩んでいたしちょうどいいよ)
そういい、ラナンさんは片膝を上げ堂々と立ち上がる、
「私たちは決して敵ではありません、身の内はなんとも言いようがありません、そこさえ詮索しないのであれば、その魔物たちについて教えることは出来ます、ただし追放するのであれば、私たちは何も喋らず、ここがどうなるかも、想像に難くないかと」
恐ろしい程に淡々と恐ろしいことを言う、その顔は、冷徹に、言葉は無情に紡がれる。レナイト様は呆然とされ、騎士団長、副団長もお化けを見たかのような顔、王様は、流石に冷静だ。
「敵では無いか、確かに信用に足る行動は今まで見せて貰った、助けた理由も敵であるならば不明だが味方なら...わかったひとまず信じよう。」
「ありがとうございます、では私たちから提供できるだけの敵に関する情報を教えます。」
先程までの表情を崩し、朗らかに、いつも通り笑う彼女を見て周りも少し安堵する。
「貴方達の観察通り敵は人の恐怖を具現化し襲ってきます、先のワイバーンも、下手をすればさらに凶悪な敵も具現化するでしょう、本体はまだ姿を出せていません、報告率が上がっているなら本体も攻めてくるのは時間の問題と言えます。」
「なるほど、恐怖の具現化、分かってはいたが事実としたら人が多ければ多いほど相手も強くなると...」
「それだけではありません、例えば人から集団、国家の恐怖の対象に切り替えればそれすら具現化が可能です、ですのでこの件は関係者以外には詳細を話さないのが賢明と言えます」
「国全体のおそれる魔物...それは恐ろしいな」
「魔物だけではありません、恐怖する現象をもたらすなにか、新種の魔物と思ってもらって構いませんが、そういったものの具現化もできます、例えば、死を恐れることから具現化できる魔物とかです」
それを聞き、国王の顔はあおざめる、というより玉座の周りにいた人たち全員が体を震わす、各々が様々な恐怖を想像してしまっているのだろう、
「対策としては精神論です、恐れない事、これが一番の対策と言えます、」
「感謝する肝に銘じよう、約束通りお主らには詮索しないと誓おう」
「ありがとうございます、私達もこの件が片付き次第また旅に出る予定です。」
「...!」(行ってしまわれるのですか...)
レナイト様の表情が微かに歪む、
(ラナンさんとは仲良くしてたし仕方ないか)
「...!ラナンさんこの空気、」
来てしまった、尖兵だろうが自身に対する恐怖に反応したのだろうか、話したのは失策だったか。
「ちょうどいいです、敵の尖兵が来ました、リーベルに頼みます、それを持って誠意を示しましょう、」
(ラナンさん?流石にまずいですよ?神秘使ったらバレるのでは?)
(大丈夫こんだけ遠かったら、見ただけじゃ魔法かどうか分からないよ、それに今ここにいる人たちはあれに恐怖を抱きすぎた、ならそれを塗りつぶすほどの希望が必要だから)
「ほんとにやれるのか、化け物なのだろう?」
やるしかないだろう、ほっとけばどっちにしろここは滅ぶ、任せられるもんじゃないのもわかってる、
「城壁上の兵士に避難の連絡を、私が対処します。」
そういい、城の扉を開け、深呼吸をする、神秘を足に込める。
(あれか、今回はオーガ、城の図書館で読んだ奴の数倍はデカイな、相変わらず神秘付き、加減は無理だ
「お待ち下さい!!」
レナイト様に呼び止められる、
「必ずご無事で...」
「わかってます、安心してください、ラナン、ここの防御は頼みます」
不安そうなレナイト様に対し、ラナンは笑いながら手を振る。
(ある程度...)(了解です)
それを見てから踏み込みオーガのいる方向に向かう
目の前に着くとオーガの咆哮が鳴り響く、まるで戦闘の開始を告げる銅鑼のように
習った強化方法、ラナンと同じ物はできない、個人で技を作るしかない神秘は性質上、自身で技を編み出すしか無かった、あの空間で学んだことの試し打ち、ちょうどいい
「鎧纏・疾、鎧纏・破衝」
大振りの拳が襲いかかる、地面を抉るほどの風圧を纏う拳、それを避け、弓を構える体制をとり、空を狙う
「烈迅の矢、驟雨」
一射の風の矢は、上空の風をすべて巻き込み複数の矢となる、降り注いだ風の矢は全てが小さい竜巻のようになった
盾とぶつかり、轟音が辺りに響く、防がれる、力を抜きすぎた、同時に魔力弾を溜め国の方を見据えるオーガ。
「嵐凪の神盾」
放たれた魔力弾、神秘の水の盾が渦で勢いを殺し着くし消える、それを前に驚いた表情を見せるオーガ、魔力弾を放った右の腕を走る、
「無刀居合・破衝」
肩をめがけ手刀を叩き込む、習った武術、習った神秘を合わせる、慣れた動きの方がやっぱりやりやすいな
オーガが一瞬、体制を崩すその隙は、崩し切るのに十分すぎるものだ。
(言われたのは圧勝、なら、最期はある程度、やりすぎだが)
距離を取り勢いよく地を踏み宙へと舞う、
「乾坤轟槍」
辺り一帯の地面が割れ、岩となって浮き上がる、暴風、砂嵐、小さい災害のような規模の前段階はやがて形を成していく
出来上がったのは、山を削ったかのような大槍、その槍を投げつけ腹を貫通する、その場に釘付けになるオーガにもう一撃を叩き込む
「燎原・太刀」
手が燃え盛る、熱くはないその炎は、次第に私の見なれた太刀へと姿を変えていく。
自分よりも大きい太刀を振りかざし、納刀の動きをし、空を蹴り間合いを詰める。
「居合抜刀」
構えた太刀は、炎を圧縮し、やがて刀よりも白銀に輝く
辺りを仄かに、しかし確かに明るく照らす太刀、名を
「夕陽」
居合抜刀、その強化神秘をつけた動きは、敵の動き、そこからできたほんの少しの隙に、思考を介さず身体が反射する
一瞬にして、夕日の地平線が如き景色が広がる、その地平線が、オーガの首に光を落とす
切り裂いた首は、地響きを鳴らし落ちる。
同時に城壁上で勝手に眺めていた騎士たちが歓声を上げる。
「あんな技見たことがない、魔法も、一体彼は...」
騎士団長唖然としちゃってるな〜そうなっても無理はない、ある程度派手に勝てとは言ったけど、
「これでどうでしょう、あなたたちにとって未知の敵、私たちを用いればこの国を守ることは可能と十分に思います」
国王はそれを聞き、高らかに笑う
「わかったお主たちに、そして騎士団長、副団長お主たち騎士団にも国を任せる」
うん、目に迷いも、恐怖もない、これならひとまず詰むことは無いね、あとは私と永守で何とかしよう。
「あ、リリー部屋に置いてきたまんまだ」
す、すごい、私の使える魔法、知ってる魔法のどれよりも強い、私もあそこまで強くなれれば、あの人のように、
「強く、なりたい」
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