間章 第27話後 月は永遠に、世界もまた
初めましてこんにちは
本作を開いて下さりありがとうございます
ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです
ある夜、月が綺麗なその夜
星も綺麗で、私はこれまでずっと、その星空を切望して、この数日、それが叶い続けている
オマケに、仲間が着いてきた、いつかここに、羅や、シュヴァイ、レーテも、なんて思った
叶うかはさておき、そうなれば、その理想はきっと、月よりも美しいと感じた
「まだ寝てていいよ」
永守が起きていた、この子も不思議な子だ、守護神だというのにやたら人臭い
「眠らなくてもいいんですよ、私はね」
しかしこういうとこは、非人間らしさを出してくる、このチグハグは全て
「優しいよね、君」
そこから来ていた、非人間らしい優しさと、人間くさい優しさ
それは彼が人から外れてしまい、しかし人に在りたいとどこかで望んでいるからだ
「君さ、もう自分は守護神だって、わかってる? 」
「、わかってるつもりです、あの王都で見た暮らし、あれは私のいる場所ではないと」
「そう、君はこの先、戦いを終えて、伝承で語られるかもしれない、そんな君が人、としての暮らしを送れるはずがない」
残酷だけど、ここを混同して戦えば、この先、羅には勝てない
あれは人では勝てないから
「それでも、彼らの日常の中には、人だけがいて欲しいんです、最後まで」
「伝承として残れば、それは無理だよ」
「伝承にいなければいいんです」
まさか、この子
「自分の記録、記憶諸共、この世界から消すの? 」
こくりと頷く、彼は未来に自身の足跡を残さないつもりだ、それではまるで
「未来に、君の居場所はどこにもないということ? 」
沈黙が流れる、薪火の乾いた音は、何も代弁せず時の経過を告げ続ける
『それじゃあ、前の私と一緒だよ、君は、その在り方を否定したはずだ』
過去にも未来にも居場所を遺さない、それはつまり、世界から己を消すことだ
そしておそらく、彼は自身の力と神器を使えば可能ということ
ーこのこに訪れる結末が、そんなもので良いのだろうか
「もし君がそうするならさ、私の記憶だけは残して欲しい」
そういうと、火に合わせていた視線が、ようやく合う
嬉しさと、罪悪感が入り交じったその視線は、初めて見た"弱い"彼だった
「私も君と同じくらい生きる、だから語り続けるよ、幾星霜時が経っても」
「、なんか珍しいですね、そんなこと言うなんて」
茶化して流される、嫌では無いんだろうが、信条があるんだろう
「未来語られる、現実かもしれない話しに神が居ては、人は自分達の世界と思えない、それでは、余りにも世界が狭いと思いませんか」
「だからこの旅で、君は寝て食事をとり、仲間も連れてきたの? 」
本来必要無い、けど彼はなぜか人間らしく振る舞う、まるで、過去の暮らしを投影するかのように
「半分は癖です、もう半分は、未来に神という存在が、少しでも残らないようにするため」
彼はとことん、自分を消す気なんだ
「ーー!!」
レイピアを抜き、彼に向ける
「私が付いてきたのは、人として、神に立つ君だ、偽証する者に付いてきたつもりはないよ」
向けられると、彼はゆっくり立ち上がり、近くの平原まで歩く
黙って、刀を抜く、その目には不安も迷いも、疑心もあった
「今の君じゃ、勝てないよ」
そういうが、彼は距離を詰める
キィン、と音を立てる、受けた刃を滑らせそのまま振り抜く
察して、距離をとる永守
「気づいてないの、君は今語ったことに、自分で悩み、疑心があるならやめればいい」
夜風が冷たい、月はなおも互いを照らす、私の顔も、彼の押し殺していた涙も
「こうでもしないと、守れる気がしないんですよ」
刀をしまって崩れ落ちる、その隣に座り、何となく言葉を待つ
「私はこの世界の人間より弱かった、だと言うのにそれより強くなってしまった、守らなければ行けない」
「なら、せめて親しくなった人は近くに置こうなんて、悪知恵がはたらいたそんな自分が、たまらなく嫌いでした」
嗚咽に混じった声は、あの時よりも、恐怖に満ちていた、これから自身がなすこと、それが与えるみらいの世界への影響、そしてそこに残り続ける自分
約80年程の寿命である人間、それが幾星霜の時間と、その間の責任を問われる、計り知れないだろう、私にはわからない
消えてしまいたい、せめて未来ではなんて、そう考えれば謙虚な方かもしれない
私は意地悪かな、それを許したくなかった
「ごめんね、それでも私は未来であなたを消したくない」
「何故ですか」
️「私も同じくらい生きるんだよ? 私の中で君を殺さなきゃ、それは嫌だから 」
そういうと、彼はまた俯いてしまう、どうしよう、どこか妥協しないとなのかな
「もし君が、それでも世界からけしたいなら、私だけ残してくれればいい、私だけ、君を語り続ける」
俯いた顔が、ようやく明るみを取り戻す、彼の視線はずっと薪にあった、けど、月をようやく見た
「そうですね、月と太陽が、私を知るくらいはいいのかもしれません」
彼はそう言って、また仮初の仮眠を取る、その姿は本当に人のようで、酷く痛々しかった
「語り続けるよ、そうして君の隣で君を覚えている、それが、星と月を見せてくれた、君への恩返し」
聞こえないようひっそり語る、月のように、輝けなくても見ていよう、覚えていよう、そして夜くらいは光を少し届けよう、太陽よりも淡く弱い、けど優しい光として、優しいきみを語るよ
「戦いは続く、羅も、シュヴァイも、レーテも、けど君はみんな救うんだろうから」
薪の火を弱める、寝やすいよう、あるいは寝れるように
「できるなら、あの蒼い月ではない、いい夢を、そしてその夢が出来れば、未来へと、繋がりますように」
手を合わせる、たしか彼の国のお祈りはこうだった、これで叶うといいのだけど、神々は聞いてくれるだろうか。
最後まで読んでくださりありがとうございました
設定的な補足、確定させたい情報を書いておこうと思います
鈴木 永守は守護神の任を得て以来、睡眠状態になることはありませんでした
え?じゃああのレナイトのは? と思うかもしれませんが、神秘と違い魔法や神術は比較的構造が簡単なため
読みといてから寝たフリをする、ということが可能でした
さて、ではまた次回読みに来てください、ブックマークをしていて下さると定期的にあげますが分かりやすくなると思いますので、良かったらお願いします




