間章 第27話後 星は空を歩む、時間は星を迷わせる
たった数日、旅をした
久しぶりだった、気兼ねのない会話、パーティ
連携やら、指導やら、全てにアースディーなんてブランディングされてから、こんなに気兼ねなく人と話したのは
いつぶりだろうか
「たった数日が、こうも俺を悩ませるか」
「楽しかったでしょう」
馬車を握っていると、後ろからリリーが顔を出す、永守のやつは寝てるらしい
「あぁ、最高に楽しかった、いいパーティだよおまえら」
「なら入ればいいじゃん」
「そうもいかねぇのさ、俺はな」
このいいパーティにとって、俺というのは外敵を作ってしまう、この名が恨めしいと、迷いの霧を晴らしたら
より現実的な悩みが付きまとうなんて、誰が想像できただろう
「そっか、残念」
そういい、欠伸をしながらリリーも馬車の荷台にもどる
「パーティ、ね」
ーー
以前組んだことはある、2度ほど、どちらも短期で終わった
どちらも、俺のせいだった
最初、迷いのきりを晴らす前、そのときから固有魔法だ天才と言われた俺は、パーティを組むも
与えられた名声は、やがて軋轢をうんだ、他者からの評価は俺ばかり、しかしパーティからは嫉妬やら憎悪やら
やがて、上手く連携やら、日常も回らなくなり解散、という流れだった
この時、俺は自身の才ではなく、周りの人間を恨んだ
2度目、特殊プレートを渡されたあと、再び組んだ、だがそれはわずか三回のクエストで解散
理由は仲間達が自身等では不釣り合いだといい、3人とも抜けていった
後から聞いた話、その三人は別の1人を迎え、今4人パーティで活躍しているらしい
この時、にようやく、自身の才能と、固有魔法を恨んだ
ーー
では今はどうだろう、パーティのヤツらは歓迎してくれる、気兼ねもないし軽く小突くくらいもしてくれる
追い求めたりそうは目の前にあった
だがそれは、やはり自身がいない状態で既に、ということもあった、
俺は同行者であり、部外者だ、このパーティは、こいつらのものだ
「ああ、くっそ、みっともねぇな」
手放したろう、捨てたろう、関わらないと、そう決めたろう
なのになんでこんな短い時間で、絆されてんだ、なんで未だに
ーー理想から手を離してないんだ、おれはー
その日の夕食は、味がしなかった、寝ずの番もまかせてもらった、悩む時間が欲しかった
ー諦める時間が欲しかった
「なにかあった? 」
ルナが声をかけてきた、こいつにしては珍しい
「なに、しばらくいただけで絆されてきてるんでな、頭冷やそうと思ってな」
「残らないんだ、残念」
また、残念と言ってくれた、それだけで、ひどく舞い上がる自分が、この上なく恥ずかしい
「もし俺が残っても、迷惑なだけだ」
そういうのを聞かずに、水を入れわたしてくる、こいつはいつも、何考えてるかわからん
けど、優しさがあって、こうしてくれてるのは分かる
「迷惑、よく分かんないけど、あんまりこっちは気にしそうにないよ」
ルナがほかの3人を見ながら、そういう
そうだろうさ、よく分かってる、この数日で、よくわかった
「そうだろうが、万が一があるしな、それに理想は俺がいないことだって、嫌という程教わった」
「そうなんだ、でも私の理想は、私がいないと確認できなかった」
何気ない一言が、何でか刺さる、痛くて、闘った時より苦しくて
「理想は、そう思う人が観測し続けないかぎり、ないも同じ、だって理想なんて人によって違う」
そう語るルナは、宙にある星と、月に目を輝かせる
「現に、私の理想は私がいないと成り立たない」
「それは、」
でも、と言いながら、火に薪をくべ、少し強くする
「結局私は、あなたの意思を尊重する、それがこのパーティ全体の理想で、願いだ」
そういうと、ルナも眠りにつく
ーー
残りたい、残って理想のパーティで旅をしたい、けれど私が貰った称号や名声は、やがて厄介事をよぶ
いいのだろうか、残って、私は仲間に慣れるだろうか
この理想のパーティは残り続けてくれるのか?
「己で観測しない限り意味がない、か」
情けない話だ、未踏の地ですら迷わず、星空を歩き続けた、生きる伝説なんて男が
たった一パーティと、時間にこうも迷わされるとは
「楽しいな、悩み、迷うってのも」
だから、あいつも、女王も言ってたのか
"迷いと進み、それが人の人生だ、故に貴様のあゆみは、見ていて面白くない"
次会うときは面白いはずだ、とことん悩んでやるつもりだ、星空には遠くとも
「目の前の星には、手が届きそうだ」




