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第27話 ティジェルの森へ 旅は続く

初めまして、こんにちは、本作を開いてくださりありがとうございます


是非最後まで読んでくださると幸いです

  あの激闘を終えてから、勇者一行は休憩に宿に戻った

 強かった、この世界に来てたった時間は、まだわずかだったが

 それでもわかる、勇者ルーク 相当の上澄みだ


 大剣を握った剣、無槍に使った手は、未だに震えている


 何より、戦闘で高ぶった心臓が、まだ少し跳ねている


(初めてだ、戦闘に楽しいなんて思ったの)


 父とのは、今思っても苛烈で恐怖している

 国でのは、これからもあるんだろうが、怖かった

 ルーシアさんとのは、面白さこそあれ、昂りはなかった


 ラナンさんとのは、考えたくもない


 〜村の商店にて〜


 旅の買い物、と言うよりは、土産程度に買いたいものや、面白いものを散策しに出た


「いい匂いですね〜」


 小麦の名産地と言うだけあって、様々な料理があった

 パスタに似たようなもの、菓子パンもチラホラ見つけた


「お、昨日の嬢ちゃん達じゃねぇか、なんか買ってくか? 」


 小麦と、乾麺だろうか、かなりいい感じのものがある

 食事も、もう少しこったものが作りたい、とはいえ保存は聞いて欲しい、丁度いいな


「じゃあ、店主さん、これと、この麺? みたいなのをそれぞれ7日分、五人分程」


「あいよ、銀貨18枚と、銅貨30枚」


 金を渡して、集合場所に向かう

 ちなみにルナ、レナイト、リリーはショッピングと言っていた

 アースディーさんは、野菜やら肉を買っておくとの事、自身が払うと言っていた


(馬車代らしい、ありがたい)


 〜しばらくして、集合場所にて〜


「全員集まりましたかね」


「「「はーい」」」


 仲良く三人が手を上げる、ルナも、だんだん馴染んできたらしい


「そういえば、何を買ったんです? 」


「これ〜」


 リリーがニコニコしながら見せてきたのは、小さい猫のお守り、だろうか?


「旅の安全を祈ったものらしいです」


 なるほど、猫の命は九つ、この世界でも? なんかこっちは化生かなんかじゃないだろうな


「アースディーさんは? 」


「肉と野菜、あと果物だな、干したやつもあるぞ」


 慣れているというか、言ってもいないのに干物まで買うとは

 ほんと、頼りになるな


「いつ頃に出る? 永守」


「そうですね、今日の昼に」


「昼ですか? 明日でも」


 普通ならそうなんだろうが、少々やりたいこともある

 それに宿代だ、余興の件で少し稼げたとはいえ、素寒貧から脱っしただけだ


「相も変わらず、懐は閑古鳥、雪より寒いですからね〜」


「閑古鳥? 」


 その辺は伝わんないのか、それとも馴染みがないか

 いずれにせよ、今日中に出てしまおう、ゆっくりしたいが、それは目下の報告を済ませてからだ


「昼食を済ませたら、荷物を整理して出ましょうか」


 〜宿屋食事処にて〜


「ティジェルの森、今更ですけど、どんなとこなんですか?」


「簡単に言えば、エルフの国だな、あとはメイジギルドの本部があるくらいか」


「エルフの女王は、アースディーさんと同じ固有魔法の使い手だとか」


 レナイトの発言に、苦い顔をするアースディーさん


「まぁな、でもあいつのは面倒臭い、勝てる勝てない関係なく、もう二度と戦いたくはないな」


「戦ったことがあるみたいな、仲悪いとかありませんよね? 」


「はっは、死ぬほど悪いさ、まぁかと言って邪魔したりはないだろう」


 不安だ、なんだろう、あの明朗快活な笑顔は


「今回は報告だけだしな、それに災? だっけか、長生きならあいつなら、何か知ってんだろ」


「それも、そうですね、しかし戦うのが面倒くさいとは、どんな魔法なんですか? 」


「話すと長いが」


 曰く、女王の固有魔法は、神域と言われる練度らしい、アースディーさんも同じだが

 本来なら戦闘のものではないものを、練度で戦闘でも強力にしうる


 しかし本来の使い方は至ってシンプルで

 "迷わせる、あるいは果ての見えない"

 という効果をもたらすという、なんとも不思議なものらしい


「話した通りだ、名前は知らんが、俺とは正反対だろう? だから互いに嫌いなのさ、固有魔法のことは」


 多方事実なのだろうが、そう語ったアースディーさんの顔は、好敵手に向けるそれであった

 自身と対等にやりあえ、更に性質は真反対ときた、面倒くさい、手こずれるなんて、楽しいに決まってる


「森の中で、迷わなきゃいいけど」


「それは安心してくれ、ルナさん、俺の案内はもうここしばらく、一度も間違えたことはない」


 心強い、しかしティジェルの森までの付き合いだと思うと、少々惜しい気もする


(とはいえ、これ以上巻き込むのもな)


 この辺は難しい問題だ、成り行きでどうなるかを見てもいいが、それでは受け身すぎる気もする

 どうしたものか


(まあ、なるようになるか)


「そろそろ出ましょう、みなさんも、荷物を整理してください」


 はーい、と各々が馬車に行き、荷を載せる

 引き続き、馬車を走らせるのは私だ、ここまでは任せっきりだったからな


「私も、出来ればいいんだけど」


 そういいながら、ルナが隣に座る


「今すぐでなくてもいいですよ、出来そうだったらお願いしますね」


「ん、ティジェルの森までの間は、隣に座って見てるよ」


(近いなぁ)


 髪一本が、風で揺れるのが見える、今更ながらこの白い髪、本当に綺麗だな

 これが恐怖の災なんてやっていたのかと思うほどには


(ま、今緊張感が無いだけだな)


「よし、じゃあ」


「出発〜」


 ルナさんののんびりした声で馬車が出る、ゆる〜い旅になりそうだが

 初めがあれなんだ、しばらくはいいだろうさ


「永守〜じゃあ〜な〜」


 後ろでルークさんが手を振っている、手綱片手に、手を振り返す


「ルークさんもまたね〜」


「今度は男三人で、ゆっくり飲もうな〜」


 アースディーさんの返事に、顔を真っ赤にしながらルークさんが叫ぶ


「私は、"レディー"だー!!」


「「「「「そうだったんだ」」」」」


 馬車全員が、声を揃えてつぶやく、しかし全員聞こえていた

 思わず、笑ってしまう、申し訳ないが


 〜深夜〜


 夜になり、みんなが寝静まる、ようやく、ひとつ用事に行ける

 確か、祈りを捧げ、風を天に昇らせるだったが


 意識が、風に載せられる、浮遊感が襲い、体の重みが無くなる、

 やがて重くもない足が、しかし何かを踏んでいる


「おっと、来れたか」


 神殿、以前来たここに用事があってきた、まぁ思いつきなんだが


「誰かいますか? 」


 席には、誰もいないように見えた、が、突如あたりから水滴が浮き上がると

 それが一点に集まり、やがてひとりの少女が現れる


「いるよ、どうしたの、こんな夜中に」


「えっと、水神様、でいいんですかね」


 前に頭を撫でてくれた、水神様、相変わらず唐突に現れるな


「水神、より名前の方が便利? 」


「どちらでも、そちらが望むほうでいいですよ」


 そういうと、水神様は軽く浮き、目の前まで飛んでくる

 今度は本を持たず目を合わせてくれる


「私は、アトラ・ノール、みんなはノールって呼んでる」


「ならノール様、と呼びますね」


「うん、それでいい、それでなんの用? 」


 そういいながら、席に案内される、コップには水が入っていた

 一口飲んで見たが、味もないのに、異様に美味しかった


(さすが水神)


「ひとつは、そちらの進捗を聞きに来ました、どうですか? 神秘は」


 うーん、と言いながら空を仰ぎ見て、本に視線を戻すかと思ったが、すぐにこちらを見て話してくれた


「特にみんなのところで、神秘を視認できた神はまだいないよ、ただ地の神、アズ君は少しずつわかってきてるみたい」


 アズ君、いやそれより、やはり視認まではまだ至らないか、焦ってるな、私も


「私も、まだ見えない、今も神秘あるんでしよ? 」


「ええ、まぁ、でも私も焦っていたようです、そこはまだいいです」


「そっか、まぁそんなに時間はかからないよ、それで二つ目は? 」


「今日、神術を使った人と手合わせしたんですが、あれ自分も使えないかなと」


 魔法よりも、神秘の濃度が高いから、神術ならこちらの方が、私は使いやすいのではないか、そう思った


「多分君は、私たちからの啓示があれば、全属性使えると思うよ、君の言う理論的には」


 やはりか、ならこれからの戦闘は随分と楽になりそうだ


「でもね、神術は滅多に使える人はいない、ましてや全属性なんて、見たこともないよ、だから」


「実用的ではあるものの、むやみに使えませんね、わかってました」


 勇者が切り札レベルで使うのだ、人間の使える天井、それをそうポンポンと使ってはまずいか


「まぁでも、ひとつだけ授けてあげるよ、水の神術」


 そういうと、金の細工がされた透明の盃、そこに水が入っていた


「それ飲んで、使えるようになるから」


 そう言われ、水を一息に飲み干す、美味しい、ことはなかった


「これで使えるんです? 」


「機会があれば、使ってみて、神力の変換も、練習してね」


「ありがとうございます、今度料理備えておきますね」


 そういうと目を輝かせ、うん、と頷く

 用が済んだので、方陣を頼む


 目を閉じると、徐々に身体に重さが戻る

 今度は力の入った足が、地を踏んでいるのがわかる


「戻ったかな」


 手を握りしめ、開く、まだあの感覚は慣れないな

 そう思いつつ、焚き火の調整をし、寝ずの番を続ける


 たしか今日はレナイトさんが、変わると言っていたが

 ふと、ももの辺りに重みを感じる、レナイトが、枕にしていた


「無理言って出てもらったし、今日は寝ていてもらいますか」


 腰までしかかけてなかった布団を、肩まで掛け直してあげる


「は〜、まだ完全に頼ったりは難しいな、少しづつ、いつか、だろうな」


 目の前で、静かに燃える火を見ながら、たった数日間を思い出す


 煌々と燃える炎は、怒濤の戦いを思い起こされる


 散る火花は、別れを想起させた


 薪木の燻る緋は、暖かい日常を思い出せる


「ティジェルの森、果たしてどんな記憶になるか、あるいは、全てか」


 嫌な予想だが、旅なんて多方はそんなものかもしれない

 そこも含めて、これから知って行ければいい、そのために旅に出たんだ


「そして、知ったものを守りに来たんだ」


 まだ続く、旅の先は見えない、果ては恐ろしく遠い

 けれどそれでいい、それはきっと酷く幸せで、守りたいものがたくさんできることだ、本懐だろうさ


 改めて、夜の空の下、旅に出る

 ここが旅の始発点、これから先、どれほど守りたいと願うのだろうか


「全く、少し前まで、一般人だったんだけどな」


 そんな一言は火花の散る音がかき消していく、あいにくその感想は誰にも聞こえなかった










最後まで読んでくださりありがとうございました


最近は筆が乗ることが少なく、1話書くのに時間もかかっていますが、必ず完結させます


キャラクターが膨大になりそうなのが不安点、仕方ないんですけどね


それでは次回もまた読みに来て下さると幸いです、ブックマークなどして待っていてくださると嬉しいです


またコメントや評価等してくださると励みになりますので良かったらお願いします


話数がかさんできたので、気になった方は前の話数もご覧下さい





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