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第26話 勇者ルーク

初めまして、こんにちは


本作を開いて下さりありがとうございます


是非最後まで読んでくださると幸いです

祭りの翌日、早く起きて、片付けを手伝う

他の男衆は、酒盛りで潰れ、翌日に回されたらしい


初めてかもしれない、剣の鍛錬を怠ったのは

自然と、罪悪感やら、引け目はなかった、楽しかった


「街の道中が、酒臭い、は〜」


片付けを手伝ったあと、誰もいない、街の隅で風を手繰り寄せ

街の風全てを、巻き込み、空へと持ち上げ、離散させる


酒臭さも余韻として残しておくべきかなと、あとから思った


「そういえば、今日はお客さんが来ますよ」


迎え入れてくれた老人が、近くに来ていた

見られてもいいよう、魔法として使って正解だったか


「お客さん、とは? 」


「まぁ、お前さんたちと同じように寄り道らしい、勇者様一行だ」


「はい? 」


久々にとんでもなく素っ頓狂な声がでた気がする

勇者、そう来たか


「もうすぐなんじゃが、酒臭さを飛ばしてくれてどうもな」


そう話してるうちに、三人の足音がする


「やぁ、おはようございます」


挨拶をしてきたのは、青年、いや女性だろうか? 長い髪は鉄のように冷たい銀色

中性的な顔立ちに声、黄色の瞳、何より


(魔力、すごいな、リリーとレナイトの合わせても、何倍だこれ)


しかし魔力に関しては、隣にいたローブの人の方が凄かった

更にふた周り大きい魔力は、村全てを包み込むようだった


もう1人は弓使い、エルフと言うやつなのか、耳が長い

魔力は3人の中では劣るものの、やはりリリーやレナイトよりは格上


(上澄みなのだろうが、まだまだふたりは遠いか)


というか、やはりこの世界の人間は強い、昔の自分からすれば、同じ人間だということが信じられない


「お、なんだルークか、久しぶりだなぁ」


宿からアースディーさんが出てくる、知り合いを見つけたように、軽く挨拶をする


「アースディーさん、早いですね」


「まぁな、そっちのやつが魔力を抑えないもんだから」


そう言われ、ハッとしながら、ローブの人は魔力を抑える


勇者も、挨拶を返す、やはり知り合いなのか


「アースディーさんこそ、こんな所でお会いできるとは」


ルークと呼ばれたのは、中性的なこの人だった


「ルーク、お前の探してる例の事件の解決者、ちょうどそいつだ」


「彼が、ロベルティアを救った? 」


なるほど、そういうことか、勇者ならそりゃ来て当然か

とはいえ早くに片付いたから理由を探してたのだろう


「立ち話もなんですので、ひとまずどこか座って話しましょう」


〜宿屋にて〜


「恐怖の具現化、恐ろしいですね、魔王も随分な人を」


「いや、魔王とは別勢力です」


「なっ、は〜、なら余計にたちが悪い」


溜まった問題を、吐き出したいかのように大きくため息をつく勇者

世界を救う? 立場の人間がこれを知ればそうなるか


というか、この世界には魔王もいるのか

まぁ多分そちらは仕事ではないし、私の誅すべき相手でも無いはずだ


「災、と言うのは他にも? 」


「いると思いますけど、詳しくは」


ここで素直に話しても、それはそれでこの勇者の負担になる

対して私は魔王の討伐に際し、おそらく中立を保つべきだ


(一方的な貸し借りは、後々面倒だろうし)


「災関連は、一先ず私たちでやります、勇者様方には魔王をお任せします」


「いえ、必ずや協力します、これを」


そういい、半ば強引に、陣の書かれた小さい石版を渡される


「これは? 」


「それに魔力を込めれば、私たちがそれに気づき、転移魔法で飛べます」


なるほど、災との戦いの時呼べと、一生使わないことを祈ろう

責任感の強い事は、いいのだがおそらく領分ではない、なんて話したら、どこまで話させられるか


「そうですね、いざとなったら」


しかし、先程からフードの、魔術師から視線が止まない


「あのそちらの方は? 」


「エルナ、パーティの魔法担当、よろしく」


「ついでに自己紹介しておこう、ディーナ、弓使いだ、よろしくな」


「リーベルです、よろしく」


それぞれと握手する、がエルナと握手する、その時


「よく魔力を、ゼロまで抑えられるね、相当な使い手? 」


顔に出さないよう心がけたが、内心では冷や汗が止まらない

魔力が一切見えない人間、そんなものが今までいなかった、しくじったことを確信する


「さ、先程祭りのあとの酒臭さを、風の魔法で飛ばしましてね、それで消費してまして」


苦しい、あまりにも苦しい、がこれしかない、使い手なんて言おうものなら

未知であることを今後ずっと、隠さなければならなくなる、そちらの方が危ない


「、そっか、お疲れ様」


ふと見えたフードの中の目が、赤く光る、バレてるかな〜これ


「もう一度聞くけどさ、名前は? 」


「リーベルで」


最後まで言う前に、杖が顔に向けられる、何が何だか分からない間に、また口を開く


「嘘ついてる、名前、どうして? 」


なぜバレた? 魔法? いや詠唱らしきものは

ここに入る前に、なにか使っていたか


「その杖を降ろせ」


どこからともなく現れたルナが、ルークの首に剣を当てる

同時にディーナさんに、リリーが短剣を向けている


「ちょっと、落ち着い」


「落ち着け! 」


アースディーさんが声をあげる、が、緊張は解かれない

同等な力を持つものであれば、むしろ緊張は強まる


「なんで嘘ついたの? そも、会話の最初から、魔法が反応してた、君たちが災なんじゃない? 」


どうすれば、アースディーさんでも、収めようがない、看破の魔法、どういうものなのか


「エルナ、杖を下ろして、話から聞こうじゃないか」


「でもルーク、魔法はほぼ序盤から反応してた、怪しい」


一触即発、下手なことはできないが、どこまでを嘘と断じられるかも分からない

隠すことが多いのに、どうしたものか


「あなた方の敵では無い、としか言えませんね」


「、それは嘘じゃないんだ」


信頼、は得られてないな、名前はどうしたものか、まぁいいか


「名前も、永守と言います、以前まではリーベルと語りましたけど」


これ以上は嘘しか語れない、困った


「なんで? 」


「まぁ色々、立場上疑われる可能性があったので」


嘘は言ってない、はずだが、どうだ

場の空気は、酷く重く、息を飲む音すら騒々しい

次鳴る音が、声か、鉄のぶつかる音か


「嘘、ではないか、まぁそのくらいなら」


杖を下ろす、緊張が解けると、他の皆んなも武器を下ろす

ようやく呑んでいた息が吐けると、大きく息を吐く、同時に緊張も外に出た


「いやしかし、すごいね君、私の後ろを気付かれずに取るなんて」


「油断大敵」


ルナがそういいながら、少し不機嫌そうに剣を下ろす

困ったように、ルークさんは苦笑していた


「そっちの嬢ちゃんも、早かったね、強化を速度に振ったのか、割り切ったいい使い方だ」


「えへへ、はっ!」


褒められてシンプルに喜ぶリリーを見ながら、和んでいるディーナさん、一先ず場は和んだろうか


「こちらのパーティも紹介します、ルナに、レナイト様、リリーです」


さすがに誰かに紹介する時、やはり様が外せない、癖だ

だからそんな目で見ないで下さい、レナイト


「レナイト、ってロベルティア王国の第2王女!? 」


ルークさん一行が目を丸くする、そうですよね、そりゃ

私でも国の王族が、誰かの旅に引っ付いていきました、言われたら目が飛び出るだろう


〜しばらくして〜


「そんなことまで、王女様もお気をつけて」


「ありがとうございます、勇者様御一行もこれからの旅、お気をつけを」


すっかり打ち解けた互いのパーティ、今更もう一度ここにいる人物を見ていくと

国の重鎮が驚くような面々じゃなかろうか、ここ


「そういえば、永守殿は相当お強いと、ソロンジオ王より聞いたのだが」


「弱い、とは言いませんが、勇者様が気にされるほどでは」


そういうが、まだ半信半疑のよう、エルナさんは、リリーにデレデレだ


「へぇ〜、アースディーさんは、どう思います? 」


「国に襲いかかる災、その主力を一手に引き受けた、お前の知ってるローブストや、ティナにはどうしよもない相手をな、んで勝った、これを聞いてお前がどう思うかは知らんが、俺の中ではこいつは猛者の類だ」


なーんーでー、誤魔化したのに、こんな話を振ってくる人だ、この先の展開なんて


「なるほど、手合わせしてみたいものだ」


黄色の瞳が、ギラつく、そういう類の人だとわかったから誤魔化したというのに


「時間あるし、少しやろうじゃないか、永守殿? 」


「は、はい」


断れない、というか断りが届く目ではない

勇者が戦闘狂ってどうなんだこれ


〜平原にて〜


「降参を言わせた方の勝ち、殺したら負けだ」


当たり前だ、こんなことで殺されてたまるか

さて、どの武器を使えばいいか、刀では


おそらく殺してしまう、たとえ殺さずにすんでも、死合い以外では抜きたくない


使える武器は、これしかないか


虚を開き、大剣を取り出す


(なんだ、久々に出してくれたと思ったら、あいつ、俺を抜こうとした身の程知らずか! )


豪快に頭の中で笑う大剣、うるさくて敵わず、思いっきり振り抜く


「なっ、それ、私抜けなかったのに! 」


初めて、少し悔しそうな、可愛い顔をした

相変わらず男女わからんが


(がっはははは、見ろあの顔、おもしれぇな、いや、お前は可愛いと思ってるな? )


無視を決め込む


「じゃあ、始めるぞ」


ルナ達の応援、ディーナさんたちの応援が飛ぶ


「始め! 」


アースディーさんの声を皮切りに、ルークさんが踏み込み、距離を詰める


「身体強化(ブースト)」


こちらも、強化をかけるが、慣れない魔力のせいで、防御がやっと

というか、剣筋がやたら乱暴、なのにどうにも効率的だ、我流か


切り上げを避けるも、上からの剣戟を受ける


「はぁッッッッ!! 」


「ぐっうっ」


重い、あの武器自体にも、なにか、からくりがあるのだろう


弾き返し、距離をとる

同時に、ルークさんの周囲に陣が浮かぶ


「まだ降参するな、天水・(レインオブ・)雨の剣(ウーツェル)」


朧気に輝く水の剣が、豪雨のごとく降り注ぐ

輝きの雨、おそらく前にあった神の言っていた、神術


「防げない! 仕方ないか、鎧纏 疾(がいてん はやて)重撃(じゅうげき)」


「? なにを」


大剣では、居合は使えない、抜刀も、知らないだけだが


「夕陽(せきよう)」


火のない、ただの大振り、それでも一応、力の本源からして格が違う

雨を払う程度なら造作もない


「傘がなくても、濡れないものですね」


「なっ、馬鹿な」


呆けて隙が生じる、大剣を投げつける


「舐めるな! 」


弾かれるが、距離を詰める、疾も重撃も残っている

さすがに本当ては不味いので、ゴブリンにしたみたいに風圧でいいだろう


「堪えてくださいね」


「なにを、」


「無槍・陣貫(むそう・じんかん)」


当てる寸前で止める、しかし、ルークさんの後ろの平原は、突風が吹いたように揺れる


その突風が、全ての喧騒を攫う、しばらくして、剣の落ちる音が響く


「くっ、これ程とは、自信、無くす、なぁ」


膝を着く勇者、気絶する程度に打ったが、悶絶程度とは

酔狂でも、伊達でもない、勇者ではあるのか


「降、参、だ」


手を差し出す、肩を貸し、エルナさんの所まで連れて行く


「まさか、こんなに強いとは、魔力も今見るとそこそこな量、私と同じくらい? 」


戦う前に、ほんの少し魔力に変換しておいて正解だった

アースディーさんも、予想外だったらしい、目が少し丸くなっている


「やった〜流石! にい、永守師匠! 」


リリーの呼び方に、師匠がついた、なんかこそばゆいが

嬉しいのでこのままでいいや


「これでもまぁまぁ、ギリギリですよ」


実際、あの光の雨は冷や汗が出た、元々人間なんだ

対抗できても、それはそれ、怖いことに変わりは無い


「実に面白かった、しかし強くなるぞ、私も」


水を飲み、立ち上がって、こちらを真っ直ぐ見やる


「勇者だからな、魔王にも、お前にも、勝ってみせる」




最後まで読んでくださりありがとうございました


前書きと後書きをよく書き忘れるのは、もはや性かと思い始めています


そろそろ1章は終わりとなります、細かく区切るつもりですが、次は長いかと


ではまた次回も読みに来て下さると嬉しいです


ブックマーク等して待っていてくださると嬉しいです


またコメント、評価等励みになりますので良ければお願いします

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