第23話 「道中、これこそ醍醐味」
初めまして、こんにちは、本作を読みに来てくださり、ありがとうございます
是非最後まで読んでくださると嬉しいです
髪を撫でる風に、目を覚まさせられる
ふと、隣を見ると、彼はもう起きていたらしい
「〜ふっあ〜」
思わずあくびが漏れる、見上げると、白んでいて、遥かに高いような空
あの空間では、こんなに気持ちのいい目覚めはなかった
「私がいて、月の登らない青空か」
当たり前ではあるのだろう、けれど私はみんなの言う「青空」なんて見たことがなかった
もう月でも恐怖でもない、ただのルナ
こんな当たり前が、これほどまでに嬉しくて、目に映る朝日よりも、待ち望んでいたものだった
さて、永守はどこに? 辺りを見回すと、木刀を握る彼がいた
ゆっくりと振り上げ、木の葉が落ちるよりさらに遅く、まっすぐ振り下ろす
「、フッ! 」
最後の一振は速く、風を切る音がした
けど風はここまで吹かず、真っ直ぐ振り下ろされた木刀は、風を断ったかのようだった
「水、朝から精が出るね」
「ルナ、起きてたんですか」
「ん、ついさっきね、朝食作っとこうか」
「そうですね、日も昇ってきましたし」
そういいながら、焚き木の所まで戻る
レナイトちゃんとリリーちゃんを起こさないように、支度を始める
「パンと、スープかな? 」
「そうですね、野菜、切れますか? 」
「任せて」
任せて、と言われたので一先ずベーコンを切り、火にかけて焼く
大した調味料もないため、少し胡椒をかけて鍋に入れる
「そちらはどう、です、か? 」
そこには異様なまでに、細かく切られた野菜があった
「人力、ミキサー? 」
「どう? よく切れてるでしょ? 」
「エエトテモ」
トマトしか任せていなかったため、まだセーフだ
「トマトスープにしますか」
〜〜〜
しばらく煮込んでいると、リリーとレナイトも起きてきた
「おはようございます、朝食はできてますよ」
「ふわぁ、おはよ〜」
「おはようございます」
「髪、整えてあげる」
ルナが風と水の魔法を使ってリリーの髪を整える
「気持ち〜ルナの風〜」
また、しっぽが揺れている、そこはかとなく和んだ
「ありがと、レナイトもする? 」
「お願いします」
なんというか、リリーとレナイトは歳も近いからか姉妹感がすごい
そしてルナは、なんでか母性がたまに見え隠れする
「仲良さそうで何よりです」
いいながら、それぞれの器に、スープとパン、コップに水を注いで渡す
「「「「いただきます」」」」
みんなの声が揃う、ほんと、いい人達と同行ができたものだ
「今日は私も手伝ったからね」
とっても、誇らしげにしている
たしかにこのスープは、ルナさんが切らなければ出来なかったものだ
「ソウデスネ」
「おふたりとも、ありがとうございます、夜は私たちがやりますから」
「そうだよ、にい、リーベルも、今日と昨日やってるし、夜はリリーとレナイトお姉ちゃんでやるから」
お姉ちゃん、そう呼ばれ嬉しそうにリリーの頭を撫でるレナイト、と何故か一緒に撫でるルナ
「なら夜はお願いしますね」
そういい、食べ終わった食器を洗い、片付ける、と同時に荷をまとめ、出立の準備をする
「では、少し休憩して、出立しましょう」
「「はーい」」
元気に答えるレナイトとリリー、静かに頷くルナであった
(いや違うな、まだ食べてる)
もぐもぐしていただけだった
〜出立後しばらく〜
移動途中、馬車の中は和気あいあいとしていた
風に揺れる平原に、吹き抜ける空、聞こえる笑い声に、馬車の音
どんな音色にも引けを取らない、綺麗な音楽だった
「ぼーっと気持ちよさそうな時にごめんだけど、」
「わかってますルナ、魔物ですね」
こちらを囲むように、十数匹の小さい足音が街道外の平原から
「さて、私がやっていいものか」
「いえ、私がやります」
「私も! 」
リリーと、レナイトが飛び出す、咄嗟に引き留めようとするが
「大丈夫、あの二人は強いよ」
そうルナに引き止められ、こらえる
「敵はゴブリン、数は13、いけますか?」
ふたりは、自信のある表情で頷く、それならと、辺りを警戒しながら、二人を見守る
「ギギギ、ギギャァァ」
最初に襲いかかる、5匹
「身体強化・瞬足」
飛びかかる5匹が、宙で仕留められる、魔法による強化、だろう
しかしここまで練度が高いとは
「天才、ですかね、やはり」
「違う、攻撃への強化の分もスピードに回す、偏った強化なんだ、でも今のリリーには、ピッタリだったから」
なるほど、確かにローブスト団長は身体強化で驚異的な速度や攻撃力があった
が、リリーの仕留めた相手は首元を一閃、切り落としてるわけではない、このやり方なら確かに
「リリーでも仕留められますね」
暗殺者、のような戦い方になってるが、所々教えた剣技を短剣で行っているのが見えた
「! リリー後ろ」
「風の盾」
間一髪のところを、風の盾でレナイトが弾く
弾かれた一匹に、リリーが短剣を投げ仕留める
刺さった短剣を引き抜きざまに迫った二匹を切り伏せる
「残り5匹! 」
「任せてください、"ウィンド"!」
レナイトが、地面に杖を打ち付け、風の魔法を流す
ただ風を吹き上げるだけだった、が宙に4体、ゴブリンが打ち上がる
「瞬閃」
リリーは打ち上がった敵に、確実に致命傷を切りつけ仕留める
「残り、一体は? 」
数十メートル先、一匹が矢を番え、リリーに構える
「させるか! 」
地を蹴り、間合いを詰める
平原の草が、一直線に吹き飛ぶ
掌底を、ゴブリンの腹に入れる、風圧で遥か彼方に吹き飛んでいく
まさに星となった、だろう
「ふぅ、終わりですかね」
そう3人の方を見ると、何か化け物でも見たかのような顔をしていた
「身体強化もなしに、どうやって」
「私のラピッドよりも速いのなんで!?」
苦笑しながら、馬車に戻る
今更ながら鎧纏をせずとも、基本の的な身体の強化はほぼノータイムで出来る様になった
「しかし2人とも、相当強いですね、やっぱり」
魔力の操作に関しては、騎士団の魔法部隊に引けを取らないレナイト
アンバランスな強化とはいえ、尋常じゃない速度、的確に急所を狙える剣技のリリー
この世界の騎士団や冒険者の平均を知らないが、相当強いのではなかろうか、このパーティ
~しばらくして〜
「2人とも、後ろに乗って、馬車出すよ」
「ルナさん、馬車もうできるんですか? 」
「ずっと見てたし、今戦った人に任せる訳には行かないよ」
そういいながら、馬車を出すルナは、鼻歌混じりでどこか楽しそうだった
隣では短剣を磨くリリーが、鼻歌を一緒に歌っていた、なんならほんとに歌いだしそうである
「しかし、さっきの風で打ち上げるのは、よく思いつきましたね」
「ティナさんに教えてもらったんです、下手に魔法を使うより、元素をどう使うかの方が強いって」
なるほど、ティナ副団長か、実践慣れした戦い方だったのは、彼女の教えだからか
にしても
「魔力のコントロールは難しいですし、素直にすごいですよ」
「あ、ありがとうございます? 」
「褒めちぎるのも大概にね、永守、あ」
「? 永守? 」
「永守って? 」
リリーと、レナイトが首を傾げる、はてさてどうしたものか
「もう隠すことないよ、そんな仲でもないし」
「そうですね」
ため息を吐きながら、水をレナイトに渡す
後方に入ってきたリリーにも渡しながら、口を開く
「私の名前はですね、鈴木 永守と言います、リーベルは偽名なんですよ」
「偽名、その名前の響は、東の国の」
「まぁそんなところです、詳細はややこしいですが、そこから旅をしてきたと思ってください」
「今度行ってみたい〜東の国!」
そういえば、この国の東の国、所謂日本のようなところは、どうなってるのか
「東の国は航海するのにも一苦労らしいです、色々変わった国らしいですね」
聞くところによると、魔法の体系も、大陸とは若干異なるらしい
更には航海の難しさから、船の出入りも極端に少なく、文化も独自のものが確立されているらしい
そんなことを話していると、前に1人の青年がたっていた
夜空のような深い蒼の髪色、忘れるはずがない
青年が馬車を見つけ、手を振るので、ルナが止めた
「お前は、なんだもうここで会うとはな」
「再会が早かったですね、アースディーさん」
最後まで読んでくださりありがとうございます、
以前仲間が揃った的なことを書きましたが、これでようやく全員ですね、しばらくはこの4人がパーティになると思います
身体強化についての補足をしておきます
設定上、魔力の操作の精密さ、あるいは魔力そのものの現在の質によって強化具合が変わります
なので基本は全体満遍なくのシンプルな強化が強いです
ただそればかりでは一矢報いる、あるいは格上相手にもやり合える可能性がほぼゼロに等しくなります
なので強化を偏らせる、例えば威力を捨ててスピードに振る、逆は今回やったラピッド、威力を捨てた速度極振りですね
こういった方法で自信にあった戦術、喰らいつく方法を編み出します
ただ例えば質や精密さが高度であればあるほど、速度に振れている者と同速でかつ満遍なく強化されてるなんてこともあります、なので基本は強い人であればあるほど、偏らせる意味はなくなる感じです
今回を読んでくださりありがとうございます、また次回も投稿しますので、良ければブックマークをしていて待ってくださると嬉しいです
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ではまた次回も読みに来てください!




