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第17話 望まない決別は明日を運ぶ

こんにちは、初めまして、本作を開いて下さりありがとうございます、是非最後まで読んでくださると嬉しいです

  「正解」


 ただでさえ冷たい空気が、さらに凍りつく、空気が重みを増しのしかかる、いつの間にか大剣は虚に戻っていた


「では、私を殺しますか? 」


「、最後はね」


「例え、世界が死んだとしても? 」


「それが目的だからね」


 絡んでいた、事実が、ほどかれる、たった数日ともにした、目の前の彼女、仲間意識のあったことにはさしておどろいていない


 驚いたのは、今までの会話や、接し方が全て嘘だったのかということ


「リリーや、レナイト様、ほかの人達と話した全てが、嘘だったと? 」


「いや、? 噓はつけないからね、話したことや思いは全部本当だよ? 」


 世界を守る、それに関して彼女本人は言及しなかった、だから嘘もボロもなかったと、サポートこそしたが、行動までにそれは反映されなかったのか


「あ〜ぁだからさっさと殺そうよって言ったのに、どうするの、君殺せるの? 」


 そうだ、災を殺さなきゃ、世界の滅ぶルールは適用され続ける一方、ある意味ではラナンさんのそれは優しさがあったのか?


「そうだよ、どうせ殺さなきゃならない、ッゴホッケホ」


 吐血、回生(かいせい)を回してもこれか、最後に出るはずというのは、やはりこの器としての体の状態もあったのだろう


「最後にラナンさんもうひとつ」


「なに? 」


 乾いた笑顔、何故だろう、もうそこから前のような温かみがない、あるいは最初から私の勘違いだったか


「ラナンさん、最初に貴女をこの世界に残しました、それは」


『この娘にも適用できるんじゃないですか? 』


「、なんでかな? 」


 嘘は言ってない、ならあの時確実にラナンさんはこの世界から消えることになっていた


「けれど、あの雲の上はそこだけで世界として成り立つ、ここと一緒だった」


 そしてその時ですら、ラナンさんを消えないようにできた、転生した先の世界にもいられるように


「世界から席が消されるなら、一度席を無くしてから、もう一度置き直せるのではないですか? 」


「、今回は本当に、天才が守護神になったわけだ」


「正解だよ、そしてそれをするなら」


 ラナンさんが扇子を持ち出す、見たことの無いそれは、周囲に突風が圧縮されているかのようで、桃色の髪は小さく靡く


「もう今からでも守護神を選び直さないと、私はそいつらにも死んで欲しいからさ」


 軽快に語るのとは裏腹に、扇子をこちらに向け、杖は後ろで神秘を流して待機させている、本気だ


「"私は歌、私は嘘、私は霧"」


 祝詞は風を呼ぶ、こんな何もない世界で、風が少女を中心に竜巻を起こす


「君、そんなに私が憎いの? 」


 ラナンさんの息が乱れる、唇から血が滲む、答えは明白だった


「当たり前じゃん!!」


 今までの彼女から想像もできない怒号が響き渡る、憎悪と怒り、全てがあの小さな体の何倍もの質量となって空間にこだまする


「君たち初代の産物と、初代が前守護神を殺した! だと言うのに、継承されたその時の恨むべき対象も私の恩人! 初代の貴方たちが私の恩人を、知る前から殺した!!」


 竜巻が収まり、風は少女の背中で羽となる、前の世界で聞いた妖精のようだ、なるほど妖精崩れというのはこういうことだったのか


「初代の過去は全て殺す、だから」


「世界も、助かる可能性があると知っても、彼女を殺すと」


「私は守るためじゃない、はなから君と、世界を殺すためにこの世界にいるんだよ、席なんて要らなかったのにね」


「災さん、止められますかね」


「無理、回生を今も回してるの気づいてるけど、どこかの誰かさんが、とんでもない不意打ちくれたから」


 後ろにある杖の神秘が少女にほとんど回される、まずい


「"天落(あまおとし)・級長戸飃(しなとかぜ)"」


 地面から天に風が登る、いや、どちらが天だ? どちらが地だ?


「そういう技か」


 身体が天に落ちる、同時に、風が上からも吹き付けてくるのがわかる、私の矢より余程強い、恐らく当たれば


(バラバラか、良くて全身の骨が、)


「っ、"嵐凪の神盾(あらなぎのしんじゅん)"」


 再び天と地が戻る、吹きつける天からの風を盾で受けつつ、何とか地面に着地する、が


「甘いよ、永守くん」


 吹き落とす風は、より激しさを増す、盾にヒビが入る


(冗談だろ、この盾がダメなら、ほんとにバラバラに)


「手伝おう」


 大剣が、虚を勝手に開き、手元に来る


「手加減してくださいね」


「なるほどなぁ、甘い、が好きだぞそういう甘さは」


 中心のヒビが白く光る、同時に頭に大剣の声が響く


(特別だ、託そう、上手く使え、守るものよ)


「いい技ですね、"世喰・天壊(よぐい てんがい)"」


 盾を支える手を離し、片腕を犠牲にする


「な、腕が折れてるのに何を」


「この空間が好きじゃないので、吹き飛ばします! 」


 左手で振り上げたそれを、残る力全てを振り絞って地面に叩きつける、白い地面、黒い空に大剣の白いヒビが伝播する


「なっまさか」


 恐怖を閉じ込めた世界が壊れる、この冷たい空間も、鳥籠も、さっきから思ってた


 うんざりだ


「まさか、小さいとはいえ、世界を壊すなんて」


 大剣をそのままラナンさんに向ける


「気づきましたか、ラナンさん、災、いやこの子はこの世界にいますよ?」


「無理やり連れ出しただけでしょう? 」


「それでもここにいるなら、"私の守るものです"」


「そっか」


 尚も、ラナンさんは杖と扇子を構える、勝ち目なんてない、と、ラナンさんは思っているだろう、だが


「"契約は成された"」


 王都の結界を解く、その神秘を自身に回す


「へぇそこまでするんだ、でも私が王都を滅ぼすとは考えなかったの? 」


「ごめん、それはさせない」


 ラナンさんの背後には、消え掛かりながらも立っている少女、のコピーが弓を構えている


「、勝ち目はあるけど、負け筋もあるね〜仕方ない」


 風が吹き上がり、ラナンさんは上空に飛び上がる


「最後まで、君を殺すまでそばにいてあげようと思ったけど、残念叶わなかったね」


「今からでも、目指す場所を変えませんか、ラナンさん」


「嫌だよ、君の目指す場所は私が見たい景色じゃない」


「名前も、返すよ、ラナン、好きだったけどね」


「私は、妖精崩れ、シー・グウェディ、前の名前だよ」


 名前と、狂気的、いやどこか貼り付けるような笑顔をして去っていった、仲間が、一人居なくなった


 握りしめた拳は、もう力なんか入らないと思ってたのに


「なんだよ、まだ引っ張るくらいの力あったのか…」


 手のひらが、軽く赤みがかった


「っ、あの、さ」


「あっ、すみません」


 災が困った顔と声をして、助けを求めるような、どうしたらいいのと? 言う顔でこちらを見てくる


ーー


「もう、動ける」


 災に神秘を送り回復させる、次にやらなきゃいけないのは


「一応聞きます、生きれるなら、この世界をまだ見たいですか? 」


 沈黙、だがそれは悩むと言うより、どこか懐かしむような、目線は崩れた月を、その先にある過去を眺めていたのだろうか


「初めて本物の青い空を見た」


 初めて、この世界を見たんだろう、感情のなかった灰色の目に青空が映り、風が白い髪を撫でる


「初めて、私は世界をこの身に宿した気がするよ」


 だからさ、と言い、なれない足取りで立ち上がり、歩いてくる、その目には希望が宿っていた


「もっと見せてよ、そして見せてあげてよ、みんなが望むなら、他の」


「他の災に、ですか」


「そう、みんな私とは違うけど、私よりも深く堅い鳥籠にいるんだ」


 息を呑む、あの時のように上手くいくだろうか


「"指輪よ、契約をここに、彼女の席をこの世に、そして彼女は"」


「"この世に剣は向けず、守護を貫こう"」


 少女が手の指輪に手を重ね、後の文を引き継いだ、これで万事うまくいくと、そう思ったが


「! くっそ、足りない」


 神秘が足りない、契約を成立させるだけの、神秘が足りない、このままじゃ


「罰、かな、もういくつも殺したから」


「星空、見てみたかったなぁ」


 晴れ渡った空は、感動も、悲劇も持ってきた、空は星がなく、でも綺麗だったはずなのに


 少女の涙は空色に染まった




 馬の足音が響く、この音は


「リーベル殿!遅れてすまない」


 騎士団だ、団長も、副団長も、馬車も見える


「リーベルよ、無事か!?」


「王様!?」


「わしも戦えない訳じゃないんだ、不思議な水面も消えたしなぁ!!」


 意気揚々と馬車から飛び出る、最前線に、しかも馬車で出てくる王様なんて聞いたこともない


「ご無事ですか、リーベル様」


 レナイト様が馬車から降りて、そばに走ってくる


「酷い傷、今すぐ回復魔法を」


 気づかなかった、いや我慢がここまで身体を持たせてくれた、今更痛むことはないが、流れる血が、体力を漏らしていくように感じた


「いや、今は魔力を温存してください! 」


「どうして」


 目の前で消えかける少女を指さす、が


「何がいるのです? 」


 そうか、まだこの世界にいないんだ、だから見えない


「助けたい人がいます、そのために魔力を貸してください皆さん! 」


 みなが首を傾げる、当たり前だ、助けたいものはその目に映っていない、見えない何かを助けろと言われたところで


「いいわ、傷だらけで尚もそういうなら、信じる他ないわね」


 ティナさんが真っ先に肩に手を置く


「リーベルさんが言うなら、私も力を貸します、それに私の魔力は回復に適していますから」


 続いてレナイト様が手を置く


「私は魔力少ないけどな、まぁ力になれるなら貸すよ」


 ルーシア様も背中に手を置く


「旦那は魔力の明け渡しができませんからね、私(わたくし)が変わりにお貸しします」


「全く失礼な、何も貸せないが、頑張れ、なにか大変な事態なのだろう」


 国王、王妃が背中に手を添える


 それならと、魔法部隊、他にも魔力を持たないものが、連結して手を合わせる、背中から多くの魔力を感じる


(誤魔化す余裕なんてない)


 渡された魔力を全て、体内で変換する、大量の魔力は徐々に総量を減らし、神秘へと変換される


「足りた、これなら」


『指輪よ、契約を果たせ、この者を世界へと迎えよ』


 消え入りそうにかすれながらも、はっきりと発音したはずだ、


 喉の奥が鉄臭い、鼻の奥から血の匂いがする、限界が近い


 が、成功した、後ろのみんなの反応を見ればわかる、少女も、地に足を付き、笑っていた


「ありがとう、守護神様」


 日本語、なるほど聞こえないよう配慮か、だがもうほとんど耳も遠い


「よかっ、た」


 また天と地が反転する、倒れた、同時に目の前に血が見えた、回生を回してはいるが


(死にはしないだろう、だがしばらくは起きれ、ないな)


「リーベルさ、リーール! ーーーー」


 なんて言ってるのだろうか、最後に見えたのは、レナイト様と、災の少女の顔だった


 守れたのかな、これを守っていくんだ、一先ず


 恐怖は残った、けどそんなのは人と同じだ、恐怖を無くせる人間なんか居ない、人が生きる場所なら


 これが正しい、これが私の守護だ







最後まで読んでくださりありがとうございます


ラナンは本当は裏切る予定で設定してはいなかったんです

ただ物語の設定や、世界観の構築中に、いやこれ裏切らんと変か、となってしまいました


このあたりも追々やりますが、強いて言うのであれば、環境が人を殺すなら、そりゃその環境を変えるか、無くさないとと、私達も考えるはずなので


それでは次回も、本作を読みに来て下さると嬉しいです

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