第11話 過去を超えた剣
こんにちは初めまして 本作を開いて下さりありがとうございます、ぜひ最後まで読んで言ってくださると嬉しいです
この世界に降りて以来多分初めてだろう昨日の日常は、今までの日常とはかけ離れつつも、どこか落ち着く懐かしさがあった
「何もかも違ったんだけどな、」
朝起きてそんな感想をこぼし昨日と同じように窓下の庭へと飛び降りる。
あの日、雲の上に来てしばらく経った時、ラナンさんにある提案をされていた。
「心残りのあるもの、何かあれば今ならとって来れるよ、どうする?」
そう言われた時、真っ先に口をついて出たのは、そういったものは数年前に燃えてしまっていると言った。
が、ただ一つだけ使いもせず、目にも移さず、だが今言われてあれだけはと思った物があった。
「ふたつだけ、取りに行ってきます」
降りた時、世界の終焉を見た、空には得体の知れないもうひとつ、いや複数の星が重なって月と同じように、
しかし地球を取り囲むようにしていた、空は星空と言うにはあまりにも明るかった、無数の星と異様な星の複数が浮かび、街、世界は大混乱に陥っていた。
しかしそんな中1人淡々と進み家を目指す、それなりの大きさの家だったのは父の稼ぎと保険金だ、残されたものだといい手渡された時、自身がどんな顔をしていたのかは既に覚えていない。
玄関に入りこれが最後だと、家を隅々まで見渡しながら目的のものへ足を進める。
屋根裏部屋の1番奥、外から差す光を浴びる二振りの刀が目に入った、定期的に状態維持のため専門家に出していたが、その時以外私がこれを目に移すことはなかった、
「今になって向き合うとか、そんな高尚な考えでもないけれど」
傍から見れば自責に駆られる、しかもそれはほんとに自分の責か分からないものであるのに、それを延々と枷にし続けた馬鹿者に私は映るだろう、父が死んだのは家族の誰のせいでもない、理屈でわかってても守れなかったことに酷く後悔していた、
「これから守るもののために使う、家族たちがこの先見えるのか分からないけど」
そういい強く握りしめた、真打と影打、2本を携え再び雲に戻してもらう、ラナンさんは刀を見た時ひとしきりはしゃいで、最後に良かったねと言った、あの言葉だけは未だに分からない。
庭におりて、仕舞っておいた"虚"を開き、二振りのうち影打を取り出す、オーガを斬った時も世話になったそれは、この世界になってからただの刀ではなくなっていた。
世界が変わり、神秘がより表出したこの世界で"私"が強く思いを込めていた武器は、神秘を込めることにより、刃こぼれせず、影打と真打でそれぞれ特性を持った。
雲の上で試した時、二振りとも空間を斬り飛ばす力を流せた、自身の使う神秘をやどせることが分かる、その後無造作に何回か降っていると頭に流れたイメージ、それが二振りの持つ違いだった。
影打はその刀自体の存在を本人以外に認識させないというものだった。真打にも特性があった、本来斬るということの出来ないものであっても認識さえできていれば"斬る"ことが出来る、真打に関してはラナンさんがそう言っていただけで試すことは出来ていない。
今回の戦いで使ったのはまだ1度、その時は焦って影打の特性を発動していなかったが、それでも腕が鈍っていないことだけは確認が出来た
「白鞘のままだとやりづらいし、やっぱりしっかりした柄と鞘が欲しいな」
この世界でその技術があるか、そもそも刀があるか怪しいが、似たような文化のあることは聞けたいずれ行きたいものだな
そう考えながら刀の状態を見て、鞘から抜き、また素振りを始めた、木刀とは違いしっかりとした重みがあり、しかし手に馴染む感覚はなかった、今まで木刀、竹刀でしか振っていなかったからだろう。
見られない内にしまって終わろうとして早起きしていたリリーにそれを見られてしまい、駆け寄ってくると不思議な顔をしながら聞いてくる
「これは剣?ですか?片方にしか刃がない上に、少し反っているように見えます」
「昔親に貰った武器でね、ここら辺では見ないかな」
「色々な所に行きましたが、それでも見た事はありません」
(まぁそうだよな〜)
「でもかっこいいというか、綺麗ですその武器」
「振ってみる?それなりに体力はあるようだし」
そう言われ目を輝かせながら刀を手に取る
「試しにその的に斬りつけてみて、難しいだろうけど」
「はい、」
リリーは何度か斬りつけるも大体は刃がまっすぐ通らず弾かれる。
「ほんとに難しいですね、リーベルさんは出来るんですか?」
「貸してごらん」
刀と鞘を貰い、鞘に収め腰に納める
「なんで仕舞うんです?さては出来ない?」
珍しくリリーが悪戯気な笑みを浮かべる、ラナンに似てきてるな
「違うよ、こうやって納めて、抜くのと同時に攻撃に移る、っていうやり方があるんだ」
深く息を吸い、吐き出す、前に移る景色は敵だけ、振り抜くと同時に刀で斬りあげる。
「すごい、ほとんど目に写りませんでした」
関心し的と刀を交互に見やるリリーの頭を撫でる
「練習すればできるようになる、飲み込みが早いし身体能力も高いからねリリーは」
えへへ、と笑うリリーの手を取り、そろそろ朝食だと場内に戻る。
襲撃は明日、指輪での契約による結界が有用なこともわかっている、神秘の下賜もバレてはいないだろう
「多分...」
ベンチャーギルドにはローブストさんが話を通しているらしい。
「武器鍛治の店があるって言ってたな、」
ルーシアさんに言われたお店に行ってみるかと、足を運ぶ。
騎士団兵舎向かい側方向にあるもうひとつの通り、周囲は少し金臭い建物があり扉を開ける
「失礼します」
「そうかしこまんな、まぁみていけ」
そういった店主らしき人はゴーグルと金槌を持ったままカウンターにたっていた
その人の勧めもありしばらく並べられている武器を見る
(ん〜異文化すぎて鍛造方とか細かくわかんないなぁ、刃のところだけならかなり腕がいいことは分かるけど)
「結構細かく見てるなぁ、若そうだがわかるのか?こういうの」
「父が鍛冶師だったので、異国ではあるのでこの国のはあまり細かくまでは分かりませんが」
「なるほどな、そっちの国の武器もぜひ見てみたいものだな」
「というかまさにそれで来ました、」
そういい影打を見せる
「この武器の鞘や柄そういったものを作れないかと」
「どれどれ...なんだこれおかしな武器かと思ったが相当な代物だな、構造といいどんな作りしてんだこれ」
「今のこれは武器として振るうには扱いづらいので鞘と柄が欲しいんです」
「ん〜見本とかあればまだしもなぁ、こんな武器知らねぇし」
「刃の状態に影響しなければいいです、次ここに来た時にでも作っておいてもらえれば」
「わぁかったよ、なら採寸だけ取らせてくれ」
「あとこっちも」
真打も取り出すと呆れたような顔をし採寸を取りだした
「少し時間かかるから好きなの見てていいぞ、試し斬りしたけりゃ言ってからな」
そう言われ、また店内の武器を見渡すと目に止まったのはどす黒い赤色の鞘に収められたまま飾られている大剣だった。
他の武器が抜き身のまま飾られているのに対しそれだけが鞘だったことに対してもそうだが、なにか異様な雰囲気があった
「これ、少し試し斬りできますか?」
「それか?抜けるなら試してみろ、できねぇだろうが」
「抜けないんですか?これ」
「俺が作ったわけじゃねぇからな、500年ほど前に発見されたんだと、天と地を裂いた大剣なんて謳い文句がついてたんだが、買い取って数年抜けるやつを見たことがねぇ、酒場でその話を聞いた力自慢やらが抜きに来るが、その度に手の平真っ赤にして帰って行く、抜けるならタダでいいから貰って欲しいくらいだ」
そんな話を聞きながら大剣を手に取り抜こうとする、
「かった、ほんとに抜けませんね」
「だろ?ほんと勘弁して欲しいぜ、いっそ鞘のまま殴る武器にでもできないもんか」
(しかしこの感じ、神秘?なんでこの世界の剣に?)
不穏に思い神秘を流しまたその剣に触れると、声が頭に流れた
(久々だなこの感じは、混じり気のない神秘、守護神か?)
(喋った?というか直接)
(その通り頭の中での会話だ)
大剣の声なのだろう、頭に響く男の人ような声はそう語り掛けてきた
(お前はなんだ?なぜ神秘を持っている?)
(それは私が以前守護神の武器だったからだ)
(は?以前?これより一つ前のか?)
(すまないが私がいつの守護神の武器かは分からない、意識が飛び眠っている間私が覚えていることは、守護神の武器だったこと、それだけだ、眠っている間何代の守護神がいたかもわからん)
なぜ前の世界のものが?守護神のものだから?神秘があると残る?
疑問が頭を渦巻き中心から新たな疑問がまた出てくる、今考えても無駄か
(貴方は先代の守護神の武器ということだったが、今の世界にあなたが必要になるかもしれない、今の守護神として私がいるが、正直自信が無い)
その後近況を全て情報として送る、
「どうした?もう採寸は終わったぞ、こっち来て見てくれーー」
店主さんが戻り、目にしたのは、部屋に舞う黒い風、あの禍々しい鞘から抜き放たれた刀身は刃の部分までどす黒く、剣の中心から先端にかけては白銀のヒビが入っていた。
「お、おいそれ、抜けたのか?というか何だこの風!?」
はっと気づき、神秘を止め、鞘に戻す
「抜けましたね、はい」
「まじか、すげぇ現代の勇者ですら抜けなかったんだぞ!?」
(勇者、そんなのもいるのか)
「とりあえず宣言通りだ、そいつはやる金は要らねぇよ、どうせこの先使えるやつがいるかも分からねぇんだ」
「ありがとうございます、ここまでの業物をいただけるとは」
「俺の名前はレギンだ、明後日までには仕上げておく取りに来な」
店を後にし、城の後ろの城壁外の小高い丘で再び剣との会話を試みる
(状況はわかった、旅の判断もまぁ正しいだろう。元は守護神の武器だったからだろう、やはり守りたいと思う気持ちが私にもある、力を貸そう、おそらく前の所持者もそう願うはずだ)
(感謝する、正直今力はあるに越したことがない)
(その通りだが見誤るな、力を求めるな、守りたいものを求めろ、守りたいものを見ろ、無駄な力は行き先を失い最終的な行き場は決まって不幸なものばかりだ)
(記憶ないのでは?)
(その通りだが経験を失ったわけではない、そう思ったから言っただけだ、今言ったこと忘れるな)
〜一方ラナン〜
「明日が決戦だな」
ルーシアはそういい振っていた剣を下ろし休憩に入った
「姉さんも気をつけて」
「多少の怪我はレナイトが治せるだろ?頼んだぜ兵のみんなも」
「はい!」
「私も戦えればいいのですが」
「リリーはダメだよ、まだ鍛えてる途中でしょ?」
「ラナンさんも、とは言えませんね、前の戦いを聞くと」
「弱いとは言わないけど私からしたら過大評価な感じも、噂はね」
私も魔法の練習を止めてリリーたちの元へ行く、飲水を貰い会話に参加する、団欒の中笑顔ながらも3人からは決意がまじる言葉が飛び交う、私の決意と比べて小さいのに明確でどこか
「羨ましい...」
不意に出た言葉に自分ですら驚いている、なぜ羨ましいと感じたのか分からなかった
「何か言いましたか?ラナンさん」
レナイトさんに顔をのぞき込まれ我に返る
「なんでもないよ、明日絶対にここを守りきろう!」
そう決意を固める、あの災いにこの国を、永守を殺させやしない、それは災いの仕事じゃない
「当たり前だ、急に来てここを滅ぼすなんて絶対させねぇ」
「大好きなこの国を、暖かいこの国を、失いたくないから」
「救ってくれた人に、恩を返したい」
そういいみんなも決意を固めたようだった、明日は一先ず大丈夫だろう守護神である彼も、天才という他ない強さと飲み込みの早さだった、ここでこの世界が潰れることは無いだろうし、前の守護神のような手段にも走らないだろう
その日の夜私はありえないものを永守から見せられた、いつかの守護神の武器、それは大剣の形を成していた
「こんなのあるなんて信じられない、これは大きい力になるよ、やったね!」
見た目は禍々しかったけど、込められている神秘は確かに守護神の武器のそれだった
ラナンさんに武器を見せたあと、武器がまた語り掛けてきた
(ふむ、あれはなんなのだ?守護神と同様の力を持っている、世界に1人だけのはずだが?守護神は)
(前の守護神の付き人?のようなものだったらしく、私の指輪の力で留まれているとか?まだこれ(指輪)に関してよくわかってない部分も多いので原理までは)
(お前の神器は武器ではないのだな、私にもわからんというより記憶がないからすまんな)
話を終え眠りにつく、直後大剣はおかしなことを言っていたが眠気でよく聞き取れなかった
「しかしなぜ妖精崩れが」
夜が明け、騎士たちの怒号が響き渡る
「異形だ!!災厄がきたぞ!」
最後まで読んでくださりとても嬉しいです、次回のお話もお待ちください
(ここに他にどんなことを書けば良いのか、全くわからない)




