894【アキタ村料理のお店】
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今話は、少し短めです。
冒険者ギルドを出て、まずしたのが、自警団を見つけることだった。
声を掛けて、店の場所を尋ねた。
店の特徴を教えると、微妙な表情をする彼ら。
「マズいのか?」
「温かい泥水がなぁ。ほかも何が材料なのかもわからんし」「味は悪くないんじゃないかな」
「わかった。とりあえず、行ってみるよ。自分で確かめる」
「そうしてくれ」
店を探しながら歩く。
「どう思う?」とマリア。
「彼らの感想か?」
うなずくマリア。
「まぁ、妥当かな。変わった料理ってのは確かだから。まずければ、奢るよ」
それを聞いて、安心するマリア。
***
歩くこと、十五分ほど。
商店街の奥の一角に、その店はあった。
時間帯もお昼を過ぎたからか、並んではいない。
もとからかもしれないが。
店構えは、ふつうの店だ。
開いた窓からは、美味そうなニオイ。
そのニオイをクンクンと嗅ぐマリア。
その顔が輝く。
思わずといった感じに、ドアを開けるマリア。そのまま、入っていく。
えっ、と思いながらオレも続く。
中から、いらっしゃいませと元気な声。
ふたり組がふた組、テーブルに座っていた。
オレたちもテーブルに座る。
店内は、小料理屋を彷彿とさせる見た目。
町民と思われる女性スタッフが、メニュー板を差し出す。それとお茶を出してくれた。
メニュー板には、三つの定食があった。どんなものが提供されるのかがわかる。値段は三つとも同じだ。
「説明が必要ですか?」とスタッフ。
「三つともくれ!」とマリアが叫ぶ。
それに驚くスタッフとオレ。大声にも驚いたが、まさか三種を同時に頼むとは。
「オレは、これを」とメニュー板のひとつを指差す。
スタッフが我に返り、うなずくと、奥へと注文を出す。
「味も知らないのに、食べれるの?」
「あぁ、ここなら、奢らせる心配はないぞ」とニコニコだ。
「初めての店だよな?」
「ああ」
「なのに、どこから来るんだ、その安心感は?」
「オレの知ってるメシとよく似てるんだ」
「似てる?」
「だから、マズいってこたぁない。もし、マズかったら、オレが奢る」
ここのって、アキタ村の食事だから、こっちの人間は、眉唾物のはずなんだけどなぁ。
疑問に思いながらも、お茶を啜る。
しばらくすると、テーブルが料理で埋められた。というか、一食ごとに四角いトレイに食事が載せられ、それでテーブルが埋まったのだ。
「おい」とスタッフに尋ねるマリア。「ハシはないのか?」
キョトンとするスタッフ。
「たぶん」とオレ。「この町で店を出すにあたって、カトラリーにお箸を入れなかったんだと思うぞ。貸そうか?」
「おっ、あるのか? くれ」
二膳のお箸を出して、片方を渡す。
「用意がいいな」とニコニコだ。
「今、宿泊している村の料理だからな」
「そうなのか。いただきます」とナマステすると、メシにぱくついたマリア。
嫌な予感がして、鑑定してみた。
アイタッ! またかよ。
ぱくつくマリアを放っといて、オレも食べはじめた。
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