895【マリアの鑑定結果】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
今話は、少し短めです。
すべてを食べ終えたマリアは、腹をパンパンと叩いている。
こちらは、お茶のおかわりをもらって啜る。
「見事な食べっぷりだな」
ごはん粒、ひとつも残っていない。
「やっぱ、美味いな」
「そうだな」
「まさか、こっちでごはんを食べられるとは思わなかったよ」
「もともとは、アズマノ国からの難民が、この近くに村を作ったんだ。オレもアズマノ国には行ったことはないが、こういうメシが主食らしい」
「アズマノ国? どっかのお伽噺みたいだな」
「どんな話なんだ?」
「とある島国国家で、独特の剣とか服装とかでな。とにかく、メシが美味い」
「どんな食べ物が出てくるんだ?」
「基本はこんな感じ。魚を生で食べたり、細かくした肉を食べるとか」
「細かくって、どんな風に?」
「包丁で叩いて細かくする感じかな」
「それをどうするの?」
「固めて焼くんだよ。で、そこにとろとろのスープを掛けるんだ。美味いぞ」
「あぁ、“ハンバーグ”か」
「そうそう、“ハンバーグ”」そこまで言って、マリアは固まった。
「さて、出ようか。ここから先は、“お口にチャック”だ」
それを聞いて、口をつぐむマリア。それからうなずく。
店を出て、しばらく歩く。
町門を前に尋ねる。
「町を離れても大丈夫か?」
「どこに行く?」
「オレたちが泊めてもらっている村だ。さっきの店の料理もそこのものだよ」
「わかった」
そのまま、町門を出て、しばらく歩く。
それなりに町から離れたので、口を開く。
「ここからは、“日本語”で話す。大丈夫か?」
「しばらくぶりだからな。“ヒアリング”もできるかどうか」
「なら、ふつうに話すか。単語なら“日本語”でも大丈夫だろ?」
うなずくマリア。
「よし。どこから話そうか」
「サブは、“日本人”か?」
「ああ。髪と瞳は、変装の魔導具で変えてる。マリアは“ブリーチ”したような感じだな」
彼女の髪は、金髪にしては明るさがない。茶髪だった髪をブリーチしたみたいになっている。
「自然となった。それで“日本”からはどうやって?」
「勇者召喚だ。そっちは?」
「聖女召喚だ。聖女に見えないってのは言うなよ。自覚はしてるんだから」
「了解。ひとりだけか?」
「ああ。召喚されて、すぐさまスキルが生えたのにはびっくりした」
「だろうな。こっちは“高校生”四人とオレだ。こっちに来て、三年になる。四人も二十歳になった」
「オレも“高校生”で来て、もうすぐ六年になる」
「おっ、先輩だ。じゃぁ、いろいろとつらかったんじゃないか?」
「ああ。言葉は異世界言語スキルで、大丈夫だったが、文化というか風習というか、もう“カルチャーショック”だった。“ホームシック”にもなるしな」
「頑張ったんだな」
「それはそちらも……あぁ、五人もいれば、それほどでもなかったのか」
「まぁね。それでも勇者召喚されたすぐあとに、逃げ出したんだ。相手が信頼できなくって」
「それは……大丈夫だったのか?」
「とりあえず、変装の魔導具で髪と瞳を変えて、王都の服屋で着替えて、冒険者の装備を整えた。オレは商業ギルドに登録し、彼らには冒険者ギルドに登録させた。身分は必要だからね」
「で?」
「ともかく、商人とその護衛という形で、王都を逃げ出した。馬車を購入したから、御者に借金奴隷の冒険者を買った。その彼にいろいろと教わったんだ」
「追っ手は?」
「来たよ。でも、とある町の両ギルドが協力してくれて、逆に国王と宰相を投獄できたんだ」
「ハァッ?」
「追っ手が偽金を使っていて、それを作ったのが宰相で、指示したのが国王だった」
「偽金か。そりゃ、大罪だな」
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)




