887【魔人について】
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今話は、少し短めです。
「なんでもありっすね、サブさんの索敵さんは」
「魔力の薄いものは、反応できないがな」
「魔力?」
「そうだ。以前、グエダラ国に行った際に、魔人の女性と会ったことがあるんだが」
「魔人?」と反応するダルトン。「まぁ、いいや。続けて」
「彼女は、ツノを折られて、魔力が低い状態だった。その彼女には索敵さんは反応しなかったんだ」
「ツノを折られた?」とダルトン。「なんでまた」
「確か、戦争で魔人と戦った際に、魔人から彼女を託されたそうだ。折ったのは、父親だって。子どもの命だけはって感じだったみたいだな」
「そんなことがあったんだ」
「それで、彼女がよくオレの背後に立つことがあってな。それがわからなかったんだ」
「索敵さんでも?」
「そう。だから、まわりの人間の反応を見てた。平民だから反応が素直なんだよな」
「あぁ、なるほどね。その女性は、魔人としては、脅威じゃないんだね」
「もちろん。長年、貴族家の屋敷に勤めてるしな」
「魔人は、怖いからねぇ」とダルトン。
「やりあったことが?」
「いや。でも聞こえてくるのは、ほとんど一緒だよ」
「例えば、どんな?」
「攻撃魔法をバンバン撃つし、軽い攻撃魔法も防御魔法で防ぐし。ともかく、師団規模で闘って、ようやくひとり倒せるかって感じ?」
「あぁ、圧倒的な強者か」
「しかも剣技も優れてるってなったら、どうにもならんでしょ」
「剣技もか。そりゃ、倒すの、難しいな」
「でしょ。そんな魔人が、子どもを?」
「人それぞれなんじゃないの?」
納得いかないダルトン。それでも否定の言葉は出てこなかった。
***
ともかく、就寝。
今日は、マナミが同じマットにいる。
カップル的な感じで、マナミは来た。
のだが、ちと違う感じ。
「どうした?」と耳元で尋ねる。
「エイジとハルキ」とマナミもオレの耳元にささやき掛ける。くすぐったい。「独立、というか、パーティーから離れたいみたい」
ん?
「どゆこと?」
「サブさんの指揮下から、外れたいみたい」
「反抗期?」
「あぁ……近いかも」
「反発というほどじゃない?」
「うん」
「具体的な話には?」
「まだ。なんとなくって感じ」
「ふたりのひとり立ちは歓迎だけど、それでもふたりなんだよな?」
「うん」
「まぁ、それはいいとしても、ふたり旅か」
「そこはちょっと心配」
「だな……もしかして、自分の力量を知りたいとか?」
「それもあるとは思う。でも、サブさんの指揮下にいると、その指示に従えばいいって無条件に従っているのが、くすぶりになっているんだと思う」
「まぁ、そうされても文句はないんだが……ふたりで徒歩?」
「護衛依頼がいいと思う。できれば、ほかのパーティーと一緒に」
「そうだな。ちなみに、キヨミは?」
「気付いてる。けど、キヨミはどうするか決めてるみたい。聞いても答えてくれないけど」
「あぁ……そりゃ、一緒に行くつもりかな?」
「たぶん」
「屋敷に戻ってくると思う?」
「……たぶん」
「わかった。これは、本人たちに訊かないとわからないな」
「うん」
「なら、心配してもはじまらない。もう寝よう」
「うん」
マナミは、オレの胸に抱き着いて眠った。
エイジとハルキの独立かぁ。となると、キヨミも一緒にか。まぁ、三人とももうオトナだから、その判断は本人たちに任せるしかないが。
その旅先を思うと、心配になる。
悩んでも仕方ないが、覚悟はしておかないとダメだな。
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